2009年6月19日、西松建設の前社長である国沢幹雄被告(70)に、禁固1年6カ月が求刑されました。そして、元副社長の藤巻恵次被告(68)には、懲役6カ月が求刑されました。
「悪質・巧妙な違法献金に主導的に関与していた責任は重い」との判断による求刑です。7月14日午前10時からの判決公判で刑が確定すると、禁固の場合は刑務作業を行い、刑務所で暮らすことになるようです。
国沢被告が『天の声』について話した調書が公表されました。
◇国沢被告
「岩手、秋田の工事については、小沢事務所がいわゆる『天の声』を出しており、小沢先生の歓心を買い、業績を上げるために違法な献金を行っていました」
小沢事務所=『天の声』ですから、小沢一郎民主党代表代行は『天』に住む『神』と言えそうです。今回の公判の内容は、小沢代表代行の資金管理団体「陸山会」などに、ダミーの政治団体により献金が行われたことや、海外での裏金を税関を通さず日本に持ち込んだ件についてです。
2人の被告は起訴事実を認めていました。
公判では、西松建設が5月に公表した内部調査で、使途秘匿金が約26億円存在したと指摘されています。これら全てに国沢被告が決定権を持っていたとのこと。
公判の中、検察の言葉にこのようなものがありました。
「12年には、小沢事務所から『多額の献金として社会の耳目を引かないように分散してほしい』と依頼を受け、12年から14年分については、未来産業研究会(未来研)名義の献金を加えるほか、関連会社にも負担させることにした」
小沢事務所から、目に付かないようにとの指示があったとのことです。そして、西松建設の東北支店長以下、談合を担当した社員の調書の内容も発表されました。平成15年に西松建設が落札した岩手県発注の簗川(やながわ)ダムに関連するトンネル工事についてです。
「西松建設は5件について『天の声』を得て、このうち4件を受注しました。簗川については、東北支店長が何度も東京の小沢事務所を訪ね、大久保(隆規・小沢氏の公設第1)秘書に『簗川トンネルの件はよろしくお願いします』と述べ、西松建設が受注することができました」
当時の支店長の証言として、以下のような言葉も。
「何度も大久保秘書を訪ね『どうぞお力添えをお願いします』と頼みました。大久保秘書は『他のところも来ている』と色よい返事はしてくれませんでしたが、再度1人で訪ねたところ、『よし、わかった。西松にしてやる』と言ってくれました。しかし、脱談合宣言もあり、結局受注はできませんでした」
小沢一郎民主党前代表の公設第1秘書大久保隆規被告は、『よし分かった。西松にしてやる』と伝えたのです。西松側がこのような嘘をついても意味はないので、恐らくは事実でしょう。
弁護人による被告人質問ではこのようなやり取りがありました。
弁護人 「政治献金は誰のために行ったものですか」
国沢被告 「会社のためになると思ってやったことです」
弁護人 「外為法違反は誰のためにやったことですか」
国沢被告 「会社のためになると思ってやったことです」
⇒情状酌量のために個人ではなく会社を前面に出す
弁護人「最後に何か、言っておきたいことはありませんか」
国沢被告 「大変ご迷惑をかけました。他のゼネコンが大なり小なり行っているから競争に勝つための必要悪と思っていましたが…。今回起訴されて、なぜ談合をなくすために何かしようとしなかったのか、何かできることはないか、そういう観点でできなかったのか、私の経営者として不徳の致すところです」
ありきたりな発言ですが、個人の責任を問われるべきことではなく、会社という組織の中、仕方なく行ったことであることを伝えています。
今回はっきりと分かったことは、西松関連の捜査は国策捜査などではなく、被告両名が認める、犯罪であったということです。そして、確実に小沢事務所は、この動きの中に存在したということです。
弁護人の最終弁論でのこの言葉は、重要な一言でした。
「小沢氏側から『献金先を分散させるために陸山会以外にも寄付をするように』と要請があったため、これに応じました」
小沢事務所側からの要請により被告は犯罪をおかした為、執行猶予付きの判決をお願いしますと弁護人は伝えています。
ずいぶん前からこのブログでは書いてますが、これが当たり前なら世の中腐りきっているとしか言いようがありません。小沢さん、このままで良いのですか?そして鳩山代表も放置ですか?
参考にした産経新聞の記事をリンクしておきます。
非常に長いですが、読み応えありますのでどうぞ。
大きな裁判の時には、私このシリーズを読むのが楽しみになってます。
【西松事件公判(1)】「間違いありません」…検察側、裏金捻出の実態指摘
【西松事件公判(2)】「ゼネコン、小沢事務所の『天の声』で談合取りまとめ」と検察側
【西松事件公判(3)】西松経営難で蜜月崩壊…「献金減額」に渋い顔の大久保被告
【西松事件公判(4)】西松の献金「ゼロ回答」に「そういう訳にはいきません」
【西松事件公判(5)】“力添え”を頼まれた大久保被告「よし、わかった。西松にしてやる」
【西松事件公判(6)】「会社のためとはいえ…悔悟の念で一杯」藤巻被告が吐露
【西松事件公判(7)】談合「あったほうが楽? なかったほうが楽?」裁判長の問いに国沢被告は…
【西松事件公判(8)】「規正法を踏みにじる犯行」「周到かつ巧妙な偽装工作」
【西松事件公判(9)】「トンネルの神様」の話で政治団体誕生
【西松事件公判(10)完】「競争に勝つため献金は不可欠 西松だけしないのは不可能」
一部気になった部分を抜き出しておきます。
◇検察の国沢被告への論告
検察官「本件は、西松建設が岩手県下などの公共工事の受注に掛かる談合について、小沢一郎衆院議員の事務所から天の声を得るために多額の寄付を行う中、平成7年から18年までの間、西松建設の献金であることを目的として新政治問題研究会(新政研)と未来産業研究会(未来研)の名義を使って総額1億2900万円の寄付を行った事案である」
「そもそも、政治資金規正法は、政治活動の公正を確保することを目的とした議会制民主主義の根幹をなす法律である。政治腐敗を防止するため、収支報告書提出を義務づけ、これを公開することで、資金をガラス張りにすることを目的に昭和23年に制定された。その当時から、虚偽記入については禁固5年を上限とする重い罰が定められていた」
(一部略)
「特に本件の寄付は、天の声を得ることを目的としたものであり、西松建設は多額の寄付をしながら、新政研、未来研の名義を使用して、寄付の主体を偽った。これは業者間の談合により、公共工事を受注してきたという談合の構造や実態を隠蔽(いんぺい)したものである。西松建設と小沢議員との関係を国民の目から覆い隠したという意味で、ヤミ献金と何ら異ならない」
「西松建設はこうして4件の公共工事を122億円で落札し、納税者である国民に負担を強いた。まさに政治資金規正法の目的を踏みにじる悪質な犯行である」
「なにより違法献金の形が巧妙で悪質だった。現役の社員を退職させて、新政研の代表者として届け出るとともに、新政研名義の献金規模が増えると、2つ目のダミー団体未来研を設立した。政治資金パーティーの開催を偽装し、関連会社からパーティー券購入名目で資金を移動させもした。きわめて周到かつ巧妙な偽装工作がなされていた」
「小沢議員側政治団体への献金は平成7年からの12年間で1億2900万円に上る。またその間、収支報告書に表れる現金額が高額となって社会の注目を集めないよう、西松建設側の献金名義、小沢議員側の受け皿のいずれについても複数に分割して、1口当たりの寄付金額を極力抑えるなどの工作も行われていた」
「事務部門のトップである事務本部長当時、献金スキームを構築し、その後も社長という立場から一貫して関与していた。その責任は重い」
◇検察側の求刑
「以上諸般の事情を考慮し、相当法条適用のうえ、国沢被告に禁固1年6月、藤巻被告に懲役6月を求刑する」
◇弁護側の最終弁論
弁護人「ゼネコン各社は、西松建設と方向は違うにせよ、小沢氏側に多額の献金をしています。西松建設以外に政治団体を持っているところがない、という確証はありません」
「公共工事の受注業者を決める際に影響を及ぼす政治家に、少なくとも嫌われたくないから多額の献金をするんです。ゼネコン各社にとって、競争に勝つためには献金は不可欠だと考えられてきました」
「西松建設だけが献金をしないことは不可能です。西松建設が政治団体を使って献金をしたのも、無理からぬことです」
「小沢氏側から『献金先を分散させるために陸山会以外にも寄付をするように』と要請があったため、これに応じました」
■検察側の冒頭陳述~
「東北地方では昭和50年鹿島が中心となって公共工事の受注業者を決めていた」 「そんな中、岩手県では50年代終わりごろから小沢事務所が影響力を強め、小沢事務所の意向が『天の声』とされるようになった。平成9年ごろから、秋田県の公共工事に対しても影響力を強め、一部では小沢事務所の意向が『天の声』となった」 「岩手県と一部秋田県で受注を希望するゼネコンは、小沢事務所に対して『天の声』を出してほしいと陳情し、了承を得られれば談合の仕切り役に連絡し、仕切り役が直接、事務所に確認の上、本命業者とする談合がとりまとめられていた。西松を含むゼネコンは、天の声を得るために、小沢議員側に献金を行わせるなどした」
「国沢被告は平成7年、○○(元総務部長兼経営企画部長、処分保留で釈放)らから東北地方、特に岩手県下の公共事業については、小沢事務所の意向で、受注業者が決定されることや、小沢事務所と西松建設は必ずしも関係良好ではなく、思うように公共事業を受注できない状況にあったと説明を受けた。さらに多額の献金をして便宜を図ってもらう必要があるとの説明も受けた」
「国沢被告は、同年中に小沢事務所からの要求に応じ、複数の名義を用いて1000万円を超える献金をすることについて、○○らから了承を求められた。そこで、新政研名義なども合わせて計1319万5000円を寄付した」
「そのうえで、西松建設は、平成8年の岩手県内の国道283号トンネル発注工事を受注したいことを小沢事務所に陳情して、その了解を得て、談合における本命業者となった。そして実際に西松建設側が25億3000万円で落札した。このことから8年は西松建設名義で1112万円、新政治問題研究会(新政研)名義で1700万円の計2812万円の寄付を行った」
「(西松建設は)9年、小沢事務所と交渉し、年間2500万円を継続的に支払っていくことを申し合わせを行った。1500万円は西松建設から支払うが、残りは西松建設から要請を受けた下請け企業群から寄付するという枠組みを取ることにした」
「(1500万円は)9年から11年は西松建設と新政研の2つの名義から支払った。12年には、小沢事務所から『多額の献金として社会の耳目を引かないように分散してほしい』と依頼を受け、12年から14年分については、未来産業研究会(未来研)名義の献金を加えるほか、関連会社にも負担させることにした」
「小沢事務所についてはそのころから、大久保隆規秘書が東京における秘書の取りまとめ役として、献金を巡る企業との交渉や談合における天の声に携わるようになった」
「○○は、どの名義でどの受け皿にいくら寄付を受けるか割り振り案を示した一覧表を大久保被告から示され、打ち合わせを行うようになった。15年以降は小沢事務所側の意向で、小沢議員側の受け皿は陸山会など3団体となった」
「17年、国沢被告は○○から、業績が悪化していることなどから、1500万円の寄付を減額したいとの相談を受けた。○○が大久保被告のもとに相談に行った。大久保は『急に減額といわれても困る』と難色を示したが、最終的には200万円の減額を受け入れた。この年は1300万円の寄付を行った」
「国沢被告は、平成18年に入ると、○○から『献金を終了させたい』という相談を受けた。国沢被告は、不快感を持たれない形で終了させるよう○○に指示した。同年10月、○○は大久保被告のもとへ相談に行ったが、大久保被告は、業績悪化については理解を示しつつも、ただちに寄付をやめられることには難色を示した」
「最終的には譲歩し、18年には500万円を寄付するがこれを最後にするということを申し向けて、(大久保被告から)了承を得た」
「こうして西松建設は7年から18年まで、小沢議員に対し、多額の寄付を行う一方、東北支店長や盛岡営業所長らが、東京の小沢事務所を訪れて工事受注に関して陳情し、天の声を得た。天の声を背景に談合が成立し、西松建設が落札したその落札額は合計122億7000万円。落札率は94・5~99・2%だった」
読めば読むほど小沢一郎
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