なんとなくですか、山や海などの自然の中で暮らす人々は、危険を人同士の繋がりの中で聞き、そしてまた誰かに伝え、歴史の中で食に対する安全を確保してきたような気がします。
山を歩き、このキノコは食べられないから採ってはいけないと知り。
海に泳ぎ、この魚には毒があるので触ってはいけないと知る。
情報化社会と呼ばれ、様々なことのデータを知ることが出来る様に見える現代社会ですが、実は今の社会の人間は、実際に生きる上で必要なデータを使いこなすことが出来ていないのかもしれません。
蓄積されたデータも、知りたい時に知るだけでは意味がないこともあるようです。
そんな事を考えさせられたのが、この事件です。
■うっかり食卓に… アジサイの葉で食中毒
このニュースのトピックス:食中毒 アジサイの葉は有毒なので、ご用心-。茨城県は22日、つくば市内の飲食店で料理に添えられていたアジサイの葉を食べた客8人が食中毒症状を訴えたと発表した。2人が病院で検査を受けたが、全員快方に向かっている。 県によると、アジサイの葉などには「青酸配糖体」と呼ばれる有毒成分が含まれ、胃の中の消化酵素と反応することで、青酸(シアン)が生成され、中毒症状を引き起こすという。 店はアジサイが有毒植物と知らず料理に使ったとみられ、県は「アジサイの葉による食中毒は極めて珍しい」(食の安全対策室)としている。 つくば保健所によると、13日夜、同市金田の飲食店にいたグループ19人のうち、34~60歳の男女8人が、食事を始めて約30分後におう吐などの症状を訴えた。8人はいずれも「鳥肉梅しそ和え」に添えられていたアジサイの葉を食べていたことが判明した。(産経新聞 2008.6.22)
アジサイの葉を、茨城県の飲食店が料理に添えて出してしまったそうです。
「青酸配当体」というのが、アジサイの葉などには含まれているとのこですが、これはバラ科の植物に含まれているもののようです。
梅やバラ科の植物の未成熟な果実(青梅など)に、アミグダリンという「青酸配当体」が存在し、それが動物の腸内の酵素により分解されることで、シアン化水素が形成されるようです。
アミグダリンは抗癌作用があるとされていたようですが、科学的な根拠はないようです。
シアン化水素は青梅に含まれている毒ですが、一般的には「青酸」と呼ばれる猛毒です。過去に、戦争などのガス室で使われることもあった物です。
種子を噛み砕くと危険性が増すようですが、青梅では中毒になることは少ないとされています。
しかし、植物の葉に「青酸配当体」含まれていることを知っている方は、少ないのではないでしょうか?
食べようと思ったことはありませんが、実際私は知りませんでしたからね。情けない話ですけど。
ジャガイモの芽にグリコアルカロイドという物質が存在し、その中のソラニンなどに毒性があることは知っていても、他の植物では知らないことがあるわけです。
政府は、今年の6月を「食育月間」に指定しています。
食育という言葉は、小泉前総理が演説などで使っていた言葉です。
そして、平成17年6月17日に食育基本法 が成立しました。
施行は、平成17年7月15日となっています。
国民が生涯、健全な心身、そして豊かな人間性を育む為に推進することが、この法律の課題です。
その中で、食品の安全性について書かれている部分があります。
■食品の安全性、栄養その他の食生活に関する調査、研究、情報の提供及び国際交流の推進
・第二十五条
国及び地方公共団体は、すべての世代の国民の適切な食生活の選択に資するよう、国民の食生活に関し、食品の安全性、栄養、食習慣、食料の生産、流通及び消費並びに食品廃棄物の発生及びその再生利用の状況等について調査及び研究を行うとともに、必要な各種の情報の収集、整理及び提供、データベースの整備その他食に関する正確な情報を迅速に提供するために必要な施策を講ずるものとする。2 国及び地方公共団体は、食育の推進に資するため、海外における食品の安全性、栄養、食習慣等の食生活に関する情報の収集、食育に関する研究者等の国際的交流、食育の推進に関する活動についての情報交換その他国際交流の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
データベースなどの中での食の安全性を整備しよう、というアクションが進められているようです。
重要なことではありますが、そのデータベースを使用しないことには、今回のようなケースは再び発生するような気もします。
海外の食品に頼るだけではなく、国内の食品の幅を拡げる為には、このような安全情報が重要です。
食べれるかどうかを学んでいないのなら、調べて安全を確認するという行動が必要なのです。
人から人へ、文字で伝わる情報は多くても、言葉で伝わる情報の少なくなった現代社会特有の問題は、食に限らず、様々発生していくのかもしれませんね。
自然界には存在しない「毒」が含まれるケースも、昨今では多いのですけどね。
↓条例により家庭内調理が罰せられる場合もあります

フグのさばき方 1
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