鳥肌音楽 Chicken Skin Music

WRITING ABOUT MUSIC IS LIKE DANCING ABOUT ARCHITECTURE.


テーマ:
しつこいかも知れませんが、鈴木茂の大麻所持事件についてもう少し。

今回は鈴木茂のCDだけでなく鈴木が40年近く前にメンバーだったはっぴいえんどのCDが出荷停止とな
ったことが一部音楽ファンの間で大きな波紋を生んでいるようです。ボクは刑事事件になっているので鈴木茂のCDが出荷停止になるのは致し方ないと思うのですが、はっぴいえんどまで出荷停止にする必要なないのではないかという意見です。メーカーはいかなる理由で出荷停止の措置を取ったのか各メーカーのHPを見てみることにしました。

該当するメーカーは新聞記事によればキング・レコードと日本クラウン、ポニーキャニオンの3社ですがキングについては特に出荷停止の案内をHPにあげていないようで、実際出荷停止にしたのかどうか確認できませんでした。残りの2社に関してはHPに告知が載せられていました。

まず日本クラウン。こちらははっぴいえんど解散後の鈴木が1974年にソロ契約を行い5年間所属しバンド名義を含め6枚のアルバム(ハックルバックいれたら7枚かな)を残しています。日本クラウンのHPには以下のような告知がアップされていました。(画像をクリックすると拡大されます。)

鳥肌音楽 Chicken Skin Music-info

出荷停止となったのは上記案内に明記された5タイトルと鈴木茂名義の作品(ということはティン・パン・アレーはセーフ?)ということですが明記された5タイトルのうちアニバーサリーものの3タイトルについては初回生産限定での発売であった記憶がありますからおそらくはファースト・プレスのほとんどが市場に出回っており、メーカー側としてはペイできている状態と予想できますし、明記されていない鈴木茂名義の作品はおそらくメーカ在庫については完売に近い状態と思われ、出荷停止措置を取ることによってメーカーがこうむる損失といったものはほとんど無いと想像します。

鳥肌音楽 Chicken Skin Music-ss-鳥肌音楽 Chicken Skin Music-lagoon-鳥肌音楽 Chicken Skin Music-sigeru

いやいや、停止にしてしまえば日常的にお店からのオーダーが入らなくなるから、将来売れる分が売れなくなるのでその分が損失になるやないかとおっしゃる方もいるかもしれません。しかしながらいかに”日本のロックの草分け”(らしいです、新聞記事によると)の鈴木茂とはいえ例えば「バンドワゴン」のCDが年間に売れる枚数といえば数百枚といったところではないでしょうか。お店としてはCDが売れたら在庫を補充したいところでしょうが売れた枚数だけ仕入れていると新譜とあわせ在庫はどんどん膨らみます。そのため数百枚売れたとしてもメーカーへのバック・オーダーは何割か減った枚数となります。そんな状況でお店からオーダーが入りメーカー在庫が無くなり再プレスするよりは生産中止状態にして出荷停止にしたほうがメーカーにとっては都合の良い場合もあります。

分かりやすく言うと
「バンド・ワゴン」の再発でイニシャル・オーダーが2000枚あったとします。CDの制作費や宣伝費を含め必要経費がペイできる売上枚数が1000枚とすると、この時点で1000枚分の売上は利益となります。つまりメーカーは「バンド・ワゴン」を再発しお店からオーダーをとった段階で利益が出ているということです。はっきり言って「バンド・ワゴン」がお店で売れようが売れまいが関係なくメーカーの利益は得られるということです。

限定版ではなく通常のカタログとして発売した場合にはお店でCDが売れた場合にお店から在庫補充のために入るオーダー(バック・オーダーといいます)に対応するためにメーカーは出荷された枚数と消化見込みに基づき在庫分を持たなければなりません。ここでは1年間で初回出荷2000枚のうち1500枚が売れるとします。お店は店頭の在庫が売れたからといって100%補充をすれば次から次へと発売される新譜と合わせあっという間に在庫が膨らんでしまいますから、当然売れてもバック・オーダーをしない店も出てきます。同じように外資系などで1店で初回10枚入れていた店も10枚売れたからといって10枚バック・オーダーするわけではなく3枚だけといった具合にオーダーは減ってしまいます。

1500枚売れたとしてバック・オーダーは半分の750枚という見込みを立てたとするとメーカーは在庫として750枚をオーダー分にプラスでプレスします。さて順調にバックが入り予想通りに750枚の在庫がなくなってしまったとします。ここでメーカーは「バンド・ワゴン」を再プレスするかどうかの決断にせまられます。前述したように経費をペイするために売らなければいけない枚数は1000枚ですから、それ以上の枚数を再プレスし最低1000枚売れなければいけません。1200枚プレスしたとして計算上年間750枚のバックが入る商品ですから1年4ヶ月でペイ・ラインの1000枚が消化し、それ以降は利益がでることにはなります。言い換えれば再プレスした「バンド・ワゴン」で利益を出すまで1年4ヶ月以上待たなければいけないことになります。

ここでちょっと視点を変えて在庫の750枚が売れた時点で「バンド・ワゴン」の再プレスを行わず生産中止(出荷停止状態)にしたとします。そしてもし再プレスした場合にペイできる1年4ヶ月後に商品番号を変え(音楽業界では商品番号が変わると同じ内容のCDでも別のCDの扱いとなります。)再発をしたとします。すると1年目で売れ残っていた500枚およびバック・オーダーされた750枚の店頭の在庫もある程度はけてしまっていることが予測されます。そのような状況で新譜として再発すれば「バンド・ワゴン」を何枚か売って現在は生産中止で商品が入らず店頭在庫がなくなっている店は勿論のこと2年余前に発売した際にイニシャル仕入したCDが売れてもバック・オーダーをかけなかったお店も新譜ならば仕入れようかということでオーダーする可能性があります。オーダーしないとすれば前回仕入れたが2年以上売れておらず在庫として残っているお店くらいでしょう。ただそんなお店でもあらたにボートラを付けたり紙ジャケで再発すればオーダーをする可能性はあります。

前回と同じ2000枚は無理でも1500枚、付加価値を付ければ1800枚くらいのイニシャル・オーダーが集まるかもしれません。つまり生産停止にせず再プレスした場合は再プレスした1000枚が順調に売れたとして前回の発売から2年4ヶ月で3750枚の売上が見込めます。そして発売1年でメーカー在庫が無くなった時点で生産中止にし前回発売から2年4ヵ月後に新譜として再発売したとするとメーカー側のリスクはほとんどない状態で2750枚+1800枚=4550枚が出荷されることとなり800枚分多く儲かることとなります。

以上、やしきたかじんのよくやるようなあくまでも机上の計算ではありますが、発売したCDを定番として再プレスしつづけるよりは、新譜としてオーダーを取り直した方がメーカーとしてはリスクも少ない場合があるということです。この場合メーカー側で減ったリスクは小売店に転化されています。お客は常に新しい商品を求めるため、内容が同じ古い商品番号の商品があってもお店は新しい商品を仕入れようとしますから在庫過多となり経営を圧迫し廃業に追い込まれる。そうして店数が減ると当然イニシャル・オーダーの絶対数は減少します、するとメーカーは再発を増やし、お店が廃業し、さらに再発が増え・・・悪循環です。

閑話休題

結局日本クラウンは今回の出荷停止措置ではほとんど損失はなく、将来的には鈴木茂作品を再発することで利益を得られる可能性があるということです。

次にポニーキャニオンについてです。HPにアップされた案内は以下のようなものでした。

2009/02/18 株式会社 ポニーキャニオン
お客様 各位 商品出荷および配信の停止、発売中止のお知らせ

拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨日、ミュージシャン鈴木茂容疑者が大麻取締法違反で逮捕されました。
この事実を受け、事件の重大性と社会的影響を考慮し、下記作品の出荷および配信の停止と、発売の中止を致します。
お買い上げ頂いたお客様には多大なご心配ならびにご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
お客様ならびに関係者の皆様にはご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 敬具

記 出荷および配信停止 作品
・はっぴぃえんど「はっぴぃえんど」CD:PCCA50021
・はっぴぃえんど「風街ろまん」  CD:PCCA50022
・はっぴぃえんど名義       着うた/着うたフル/音楽配信(パソコン・携帯サービス)
発売中止
・はっぴぃえんど「はっぴぃえんどLIVE ON STAGE」2009年5月20日発売予定 CD:PCCA50023
以上


鳥肌音楽 Chicken Skin Music-yudemen--鳥肌音楽 Chicken Skin Music-kazemachi

>お買い上げ頂いたお客様には多大なご心配ならびにご迷惑をおかけいたしました
これ、どういう意味なんでしょうね。ボクも「風街ろまん」もっていますが、大麻吸ってた人が弾いてたギターだから聴いていると自分も大麻吸いたいと思うようになるかも知れないと心配で心配で夜も眠れなくなったりするということなのでしょうか?

クラウンとの契約が切れた鈴木茂はポニーキャニオンと契約をし1985年に「SEI DO YA」というソロ・アルバムを発売していますが、10年以上前にCD化され現在は廃盤状態なので今回の出荷停止には含まれていないようです。今回出荷停止となったはっぴいえんどの2タイトルはURCレコードの作品です。日本のインディーズのルーツともいえるURCレコードの販売権はエレック→東宝といったマイナー・レーベルを経てSMS→キティ(ポリドール傘下)→東芝EMI→AVEXと移り、昨年からポニーキャニオンに移行しています。すでにエレックの販売権を持っていたポニーキャニオンは日本のフォーク/ロックのルーツとも言うべき2大インディーズ・レーベルを獲得したことを受け”エレック/URC復刻プロジェクト”と銘打ち昨年末よりURCのカタログの復刻を開始していました。その第2弾の目玉新譜として2月18日に発売したのが今回出荷停止となった「はっぴいえんど」と「風街ろまん」なのです。

5月発売予定であった「LIVE」が発売中止となったのと混同したのか上記2タイトルも発売中止となったような書き方をしている記事もあり、ポニーキャニオンは大きな損失を受けたように思われる方もあったかも知れませんが、出荷停止の措置がとられたのが発売日の18日ということで、すでにイニシャル・オーダー分は17日にお店に届いており先に書いたようにイニシャル・オーダーですでに利益は出ているでしょうから、実質的な損失は無かったものと思います。それにしてもクラウンでもティン・パン・アレーを出荷停止にしていないのにティン・パンよりもさらに昔のはっぴいえんどを何故に出荷停止にしたのか疑問に残りませんか。

何故?その答えかもしれないことがポニーキャニオンのHPにアップされた鈴木茂の出荷停止の案内のすぐ下にお知らせとしてアップされていました。それは以下のようなものです。

2009/02/05 株式会社 ポニーキャニオン
お客様 各位 商品出荷および配信の停止のお知らせ
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
「練マザファッカー」リーダーの「D.O」こと須藤慈容 容疑者、「PIT Gob」こと平野力 容疑者が2009年2月4日に麻薬取締法違反容疑で逮捕されました。
この事実を受け、事件の重大性と社会的影響を考慮し、お客様に対し安心かつ、安全な音楽を届けることを使命とするレコードメーカーの観点から下記作品の出荷および配信を停止させて頂きます。
お買い上げ頂いたお客様には多大なご心配ならびにご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
お客様ならびに関係者の皆様にはご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。敬具

記 出荷および配信停止 作品
・CD   「なめんなよ/又吉&D.O」 PCCG.00924
・配信   D.O名義商品(パソコン・携帯サービス)
以上


鳥肌音楽 Chicken Skin Music-namennayo
なめんなよ

練マザファッカー(練馬・ザ・ファッカーとの掛詞?)というHIPHOPチームのメンバーが大麻所持で逮捕されたことに基づくCD出荷停止の案内です。ボクはよく知らなかったのですが逮捕されたPIT Gobというのが、あの若麒麟とCD販売店事務所で大麻を所持していたとして逮捕されたDJだったようなのです。相撲界の大麻問題はマスコミにとって格好のネタであり若麒麟問題も当然のごとくトップ・ニュースとして新聞をにぎわせていました。その若麒麟におそらくは大麻を渡していたのがドラッグとはなにかと縁のあるように思われているHIPHOPチームとなればマスコミ的にはそれみたことかと食いついてくるのは目に見えているし、その矛先はCDを発売しているポニーキャニオンに向いてくる恐れは大きいと思われたことでしょう。メーカーとしてはとにかくすばやく適切な措置を行ったことを見せておきたい、そんな気持ちが”お客様に対し安心かつ、安全な音楽を届けることを使命とするレコードメーカーの観点から”という言葉に表れているような気がします。

そんな出来事があってから一ヶ月もたたないうちにまた大麻事件。ポニーキャニオンとしてははっぴいえんどまでは出荷停止にしなくてもいいんじゃないかという気持ちはあったと思うのですが、またまたポニーキャニオンのアーチストがみたいに記事にかかれるのが嫌で過度の自主規制として出荷停止にしてしまった、そんなことなのではないかなぁと勝手に想像いたします。まぁ最近はブログの炎上などに見られるようにささいな過ちが異常なくらいに叩かれてしまうことがありますから、いたしかたのない自己防衛なのかもしれませんが・・・

最後にはっぴえんどが出荷停止になったことについてボクが皮肉だなぁと思うのは。このアルバムは元々はメジャーの流通では自主規制によって販売が拒否されてしまうような自由な表現を記録したレコードを音楽ファンに届けるために発足したURCから発売されていたということを思い出すとき、今回の出荷停止はその理念とはまったく相反する行為ではないかということです。理念の無いポニーキャニオンには”エレック/URC復刻プロジェクト”といった看板をかかげる資格はないと言っておきます。

だいたい画像をのせた1stアルバムのアーチスト表記を見ていただければお分かりのように”はっぴえんど”が正式表記なのに、公式の案内文で”はっぴえんど”と誤表記してしまうような失礼なメーカーですからね。

はっぴいえんど-花いちもんめ(作詞:松本隆 作曲:鈴木茂 ボーカル:鈴木茂) 


ひょっとしたらつづく
AD
いいね!した人  |  コメント(8)  |  リブログ(0)

sugarmountainさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。