2011年6月現在ヨウ素131は減衰しており今後はセシウムが放射線量の中心になりそうです。
「放射能はいつ無くなるの?」という問いに答える為には半減期約2年のCs134と
半減期約30年のCs137の比率と減衰を知る必要があります。

①再々掲になりますが、チェルノブイリの場合Cs134はCs137の半分程度(ペタBq)と
 評価されています。チェルノブイリの結果は参考になったりならなかったりしますが、
 この放出比は今後の日本では「常識」として知っておくべき歴史資料だろうと考えます。
 http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf
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②福島県内の汚染ではCs134とCs137はほぼ同定度の崩壊回数(Bq)と観測されています。
 福島市や伊達市のあたりではCs134も137も30万~60万Bq/m2の汚染レベルで、
 これはベラルーシの移住基準55万Bq/m2に匹敵する汚染レベルと言えます。
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③ただ、Cs134とCs137は崩壊の仕方が違う為1回の崩壊で放出する放射線の数も
 エネルギーもそれなりに違います。
 ・放射線の「本数(もしくは個数)」で約2.5倍
 ・被曝した時の「エネルギー(強力さ)」で約1.1倍
 ほどCs134の方が強力に被曝する線量率に寄与します(多少詳しく記載しておきます)
 http://nucleardata.nuclear.lu.se/nucleardata/toi/nuclide.asp?iZA=550134
 http://nucleardata.nuclear.lu.se/nucleardata/toi/nuclide.asp?iZA=550134
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④γ線のスペクトル測定でも予想されるエネルギー付近にピークが現れています。
 http://www.nirs.go.jp/information/press/2011/06_21.shtml
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⑤地上1mで測っている放射線計測が主にγ線でCs134とCs137の崩壊比率(Bq)が
 同じくらいだとすると放射線量率(μSv/h)の比は約2.7:1.0と考えられます。

 ちなみにCs134の主なγ線エネルギー0.5~0.8MeVの空中での減衰や体内での
 吸収率が同定度と大雑把に見積もると吸収エネルギーは平均5%程度Cs134が高く、
 Cs137を仮定したプログラムが書かれているとSv換算では5%程過小評価になる。

 すなわちカウンターに入るフォトンのうち約73%(=2.7/3.7)が5%過小評価だとすると、
 Cs137で較正した計測器での測定は最終的に約3.5%の過小評価とも言えそうです。
 http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/ComTab/water.html

 今後の放射線の減り具合は以下の図の様になると計算されます。
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⑥6月17日の福島市の一斉計測の結果です。一般公衆の居住には不適当だと考えます。
 http://ameblo.jp/study2007/entry-10934585314.html
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⑦セシウムが雨などで余り流出せず自然崩壊に任せた場合、今後5年~20年で
 福島市の汚染がどの程度減衰するか見積もってみました。
 ・10年待てば染色体の不安定型異常が有意に観測される程の高線量地域である
  中国陽江市程度以下にはなると期待されます。また、
 ・15年待てば地下鉱物による被曝で有名なインド・ケララ州程度になりそうです。
 ・ただし20年待っても国内では飛び抜けて線量の高い地域であることは免れません
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 さらに汚染源が放射性降下物であり内部被曝が懸念されることを考えると、
 20年後も再居住が推奨されるレベルとは言えないと思います。