50年前の英国の精神医療の姿をお伝えした。

これは、野田正彰氏の著書『犯罪と精神医療』の中で取り上げられていたWHOの調査レポートに記載されたものである。
この件を野田先生に直接聞いた。
生物学的精神医学の隆盛とともに、英国も多少後戻りしていないかと聞いたら、思いっきり否定された。
50年遅れているどころではない。ますます広がっていると。
英国でも、生物学的精神医学と精神医学の暴走はもちろんある。その点はチャールズ・メダワーの著書『暴走するクスリ』に詳しい。
しかし、根本的な問題はそこではない。私の問題追及の視点もそこにあった。

薬害被害者や人権侵害被害者が一向に救済されないのも、自死遺族が借家の大家からいわれのない損害賠償請求を受けるのも、日本国民全体が巨大な棄民システムに組み込まれているからだという。
自分が当事者になってみれば分かる。

自死は一体誰の責任か?
中毒死は一体誰の責任か?
うつ症状になったのは誰の責任か?
ひきこもったのは誰の責任か?
いじめられたのは誰の責任か?

全ての責任は、当事者と家族が負うのだ。
残された選択肢は、精神疾患患者となり、薬漬けの精神疾患患者として医療と福祉のメシの種となり下がって生きていくほかない。

これは実は、巨大な棄民システムではないか?

ADHDで薬漬けにされる子供の将来は、更なる薬漬けである。
ADHDだけではない、薬漬け地獄は些細な躓きから始まるのだ。
多剤大量処方が薬漬けの原因なのではない。薬そのものがそうした性質を持っている。
そして、一旦、泥沼にはまってしまえば、一生障害者としての人生を送ることになる。そして50代、60代で人生の終焉を迎える。

医師や看護師、そしてPSWや福祉従事者、さらには福祉行政に携わる人、教師やスクールカウンセラーは、自分自身がこの巨大な棄民システムに組み込まれていることに気が付いているのだろうか。
さらに言えば、当事者もその家族も、そのシステムの中でのわずかな支援で飼い慣らされている現状に気が付かない。
これだけ広がると、政治家や役人もお仲間や親族に1人ぐらい被害者はいるはず。
それでも、動かないのは何故なのか?

今一度、英国の現状に目を向けるべきだ。
有名なイタリアの話ではない。地域社会が精神疾患患者を受け入れている現状(入院患者数を見れば分かる)に注目すべきだ。
そもそも、英国は、ビッグファーマ(巨大製薬会社)の拠点である。そうであるにもかかわらず、英国を含む全ての先進国が地域精神保健の改革に成功している。
この日本の惨状は、製薬会社や一部の御用学者や悪徳精神科病院の悪だくみだけでは説明できない。
座敷牢の時代から、この国にはほんとの人権を守ろうとする考えは皆無だ。

気が遠くなってきた。

しかし、やらないよりはマシ。数万人単位で棄民されているこの現状をしっかり把握して頂きたい。
棄民されるのは、明日は我が身である。

5月18日、衆議院議員会館で、5月18日  12時から15時まで
衆議院第一議員会館 1階  多目的ホール
自死への差別と偏見を考えるシンポジュウムにて野田先生が講演されます。
どなたでも参加出来ます。是非参加ください。私も行きます。

5月17日 名古屋
市民の為の精神医療の知識

5月23日 北九州
市民の為の精神医療の知識
ゲスト 長峰医師(北九州総合病院救急救命センター、センター長)

5月24日 大分
市民の為の精神医療の知識