【今回の記事】
将棋、三浦九段に不正の証拠ないが処分妥当

【記事の概要】
   日本将棋連盟が第29期竜王戦の挑戦者に決まっていた三浦弘行九段(42)に下した年内の出場停止処分について、第三者調査委員会(委員長=但木敬一元検事総長)は26日、「(三浦九段が)不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はない」としたうえで、処分は「やむを得なかった」とする報告書を同連盟に提出した。
   報告書の概要によると、三浦九段は今年7~10月に行われた4局の対局中にコンピュータの将棋ソフトを不正使用した疑惑が持たれ、いったん休場の意向を示したにもかかわらず休場届を提出しなかったことなどから、10月12日、年内いっぱいの出場停止処分を受けた。三浦九段が不正を否定する中、同連盟は同月27日、不正行為の有無、処分が妥当だったか、の2点について、第三者調査委員会に調査を委嘱していた。
   三浦九段のソフト使用疑惑にあたっては、「不自然な離席が多い」「将棋ソフトとの指し手の一致率が非常に高い」などが根拠として挙げられていた。調査委員会で棋士からの聞き取り調査や対局映像などの分析を行った結果、離席については「不正行為に及んだことをうかがわせる痕跡は確認されなかった」などとし、「(一致率は)三浦九段の他の対局や他の棋士の指し手でも(同程度が)数多く認められた」などとした。
   さらに、提出されたスマートフォンやパソコンなどを解析した結果も、「不正行為の痕跡はなかった」などとし、「疑惑の根拠として指摘された点はいずれも実質的な証拠価値に乏しい」と結論づけた。
   一方で、三浦九段には処分当時、「ソフト指し疑惑が強く存在」し、「そのまま竜王戦七番勝負に出場させることとした場合、大きな混乱が生じることが必至」で「将棋連盟や将棋界に対する信頼や権威が傷つくことが容易に想像された」ことなどから、「出場停止処分を行う高い必要性・緊急性があった」とし、妥当性を認めた。竜王戦七番勝負は、対局規定に基づき、挑戦者を丸山忠久九段(46)に変更して実施した。

【感想】
   三浦九段の処分に至るまでには、「不自然な離席が多い」「将棋ソフトとの指し手の一致率が非常に高い」等の決定的な証拠がない、「疑わしい」ままの緊急的な処分年内の出場停止処分)が下されていました。これは、「疑わしきは罰せず」の原則に反する処分です。疑わしいのであれば、十分に時間をかけた客観的な事実確認をする必要がありました。
   特に、疑いを持った他の騎士からの情報やメディアの報道だけで判断せず、疑いをかけられた三浦九段の言い分も十分に聞くべきでした。一方から訴えられた疑惑のみによって一方的に処分が下されたことは、あまりにも軽々すぎる判断であったと言わざるを得ません。

   また、将棋連盟や将棋界に対する信頼や権威が傷つく」という考えで判断が下されたことは、これもやはりあまりにも保身的と言わざるを得えないところです。この将棋連盟の判断によって、三浦九段は騎士生命をふいにしかねない不名誉を被ったのです。まさに「人権の侵害」に当たるものです。


   さて、なぜ今回私がこのニュースをブログで取り上げたかというと、今回の将棋連盟のような判断を我々大人も子どもに対して下してしまっている面があるからです。

   学校においては、例えば、あるしっかり者の子どもから、普段問題行動を起こすことの多い子どもについてのある問題行動疑惑が報告された時に、私たち教師は、そのしっかり者のこどもの言い分だけを信じてしまい、すぐに疑惑を持たれた子どもを呼び出して説教をするということが往々にしてあります。まさに、一方からの情報だけに頼った、「疑わしきは罰せず」という原則に反した行動です。先の将棋連盟と同じように、教師の権威にかけても子どもに認めさせようにとばかりに、「先生はすべてわかっているのです。あなたがやりましたね!」と教師絶対主義の立場から見下すような叱責を下すようなことがあってはならないのです。

   また家庭においては、例えば、学校でいたずらをしたために先生から叱られて帰ってきた子どもが「何もしてないのに先生から叱られた」と話したのを聞いて、すぐに学校に抗議の電話をかける親御さんが時々いらっしゃいます。これも、子どもの言い分だけで決めつけた一方的な判断です。


   どの人間にも、そしてどの子どもにも、基本的な人権が認められなければいけません。その人権が無視された時の被害側の失望感は計り知れないくらい大きいからです。そのためには、「疑わしきは罰せず」の原則を忘れず、冷静に両者からの言い分を聞いて判断を下す必要があるのです。


AD