78年6月、元WBA世界Sウェルター級王者三原 正 (三迫)選手と共にプロデビューを飾った大久保克弘選手は、アマ142戦のキャリアを持つ。メインカードでデビューを飾った大久保選手は、三原選手よりも期待されていた。
プロ第1戦は、4年のキャリアを持つ 森 俊夫(ヨネクラ)選手を僅か175秒で倒した大久保選手。さらに二つのKO勝利を重ね、プロキャリア僅か5ヶ月で元WBC世界Sライト級王者ぺリコ・フェルナンデス(スペイン)との対戦を迎えた。
この試合は、輪島功一選手の引退記念試合。世界へ。大久保選手への期待は大きかった。輪島選手の引退式。もちろん、観に行きました。
フェルナンデスは貝のようにガードをきっちり固めるディフェンシブなスタイルから時折カウンター。5年前ライオン古山(笹崎)選手との世界王座決定戦では、このガードがポイントになって王座に就いている。解説の小林 弘 さん、悔し泣きしていましたねェ。
大久保選手のパンチは、ガードの上を叩くか空を切ることが多い。ガードマンの元世界王者はたまにカウンターを放つ程度なのだが、これがピシャリと決まる。
そして迎えた8回、調子よく撃って出た大久保選手を待っていたのは右クロス・カウンター。先の坂田選手同様、ゆっくり崩れ落ちた大久保選手。これは立ち上がったホープだったが、右フックで2度目のダウン。ここも立ったが、連打にさらされレフェリー・ストップ。冒険は裏目に出た。
「緊張して実力が出せなかったのが敗因」
敗軍の将・三迫会長はそう語った。
僅か2ヶ月後の再起戦は1ラウンドKO勝ち。3月、ベテラン中根光幸(船橋)選手を6回KO。そして4月、日本ライト級1位バトルホーク風間(池田)選手へ挑む。
この時、大久保選手はランキング3位。小差でアマの大先輩に敗れたこの日、三原選手はプロ5戦目でOPBFタイトルを手に入れている。
7月、大久保選手の再起戦の相手はデビュー戦で1回KOしている森選手との再戦。心に隙があったのか、ダメージかはわからぬが、大ドンデン返しになってしまうこの試合。
5回、大久保選手はダウンを奪われる。この日はボディ打ちが効果的だった森選手。6回、さらにダウンを追加されレフェリーに救われた大久保選手。森選手は長身でスマートなスタイルから鋭いストレートを打つ好選手であったが打たれ脆い面を持っていた。
2ヵ月後、日本王者となっていた風間選手と再戦するも1ラウンドKO負け。世界が期待されたホープも気がつけば5勝4敗の3KO負け。日本でのプロ生活僅か1年3ヶ月。傷心の大久保選手はハワイへ渡る。
元日本王者・清水 精 プロモーターの後押しを受け、”キャッツ”大久保のリングネームで戦ったが、世界ランカーゴンザロ・モンテラーノにはKO負け。4勝2敗。勝ちも負けも全てKOという記録を残し81年帰国。
帰国後2連続KO負けの後、ラストファイトは82年2月守安竜也(平沼)選手の持つ日本Sライト級王座への挑戦。ホープが噛ませになった。
杉谷 実 (協栄)選手に勝ち、初防衛に成功していた王者は世界ランクにも名を連ねる。10勝13敗の戦績。しかし、この試合でも打たれ脆さをさらけ出した元ホープは5回でマットに沈む。
華々しくデビューを飾ったアマ王者の最後が雑草王者に踏み潰されるとはなんとも皮肉。先を急ぎすぎたのか、ぺリコの一発でおかしくなってしまったのか、心の問題か。随分と考えさせられる大久保選手のキャリアであります。
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★カカアコジム・ハワイ合宿参加者感想
雑草王者はどうだといわんばかり。マットに沈む大久保選手と、コーナーから見つめる三迫会長。
「もう限界。気迫も覇気も全くない」
この試合の翌日、沖縄のリングでは友利 正 選手が世界タイトル前哨戦を飾っている。
合宿所の同じ部屋からプロデビューした三原選手が世界王者になった事を思うと、なんともせつない。あせらず、くさらず、頑張る。むずかしい、ですね。
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