いやあ、例の「パクリ問題」が大きな注目を集めていますね。
弊ブログでは基本的に、話題のものは紹介しない方針なのですが、
その例の話題の話から面白い現代アートなアイデアが浮かんで来たので、
やってみる事にしました。
私は基本的に、何か面白いアイデアやデザインが浮かんでくると、
既に誰かがやっているのかどうか、作っているのかどうか、
確認のため検索する等して調べてみます。
「パクってる」と誤解されたくないですもんね。
で、もし、既に存在するのであれば、諦めるか、
更に改変、進化させて独自のものと言える位のものを作り上げます。
後者の場合、「既にこういうものがありますが」という風に、
先例を出します。
これは「礼儀」です。
こういう状況の時、往々にして、
黙っているという人が少なくない気もするのですが、
(その対象が無名のものである場合は特に)
私は「黙殺」する様な真似はいたしません!!
「パクリ」というのは、パクッた本人はそれを黙っているわけですけど、
今回思いついたアイデアというのは、逆転の発想で、
人から指摘されるのではなく、作者自らが、
自分のものと似たデザインをわざわざ探し出そうという試みです。
これは、或る意味「墓穴」を掘る様な行為なのかも知れませんが、
私は現代美術に関わっている人間ですので、
寧ろ現代アートのネタとして愉しもうというわけです!!
また、もし偶然何かと似てしまっても大丈夫な様に、
前もって、「○○からインスパイアされています」とか、
「誰からも影響は受けていません」という様に、
言っておくのも必要なのではないかと思いました。
そんなわけで、「自作品と似たもの」や、
「浮かんで来たデザインが既出なので独自に進化させたもの」
等をご紹介いたします!!
鬼目羅の犭夜太郎(きめらのぬえたろう)
↓初出:2009年6月20日
鬼目羅の鵺太郎(1)『液体石』(Liquid Stone, the first half)前半
犭夜太郎調査團(ぬえたろうちょうさだん)
↓初出:2013年4月12日
内容的に有り得なさそうだなと思う言葉を思いつき、
でも念の為本当にあるのかどうかをネット検索で確認し、
その結果を漫画にするという、一種の実験漫画。
例えば、「常温の炎」とか、「やわらかい石」など。
まず最初に、「オリジナルの妖怪をデザインしたい」
という強烈な欲求が湧いたのが誕生の切っ掛け。
「獣偏に夜」の字は存在しないので、
「犭夜」という字を勝手に造字し、「ぬえ」と呼ばせています。
「先が手になっている耳」は、
「扌耳」(手扁に耳)と書いて「てみ」と呼ぶ事にしています。
「先が手になっている鼻」は、
「擤」(手偏に鼻)と書いて「てな」と呼ぶ事にしています。
「擤」には元々は「鼻をかむ」という意味がありますが、
意味を勝手に改変しています。
「先が手になっている尻尾」は、
「扌尾」(手扁に尾)と書いて「てお」と呼ぶ事にしています。
ちなみに子供の頃は、造語癖が盛んにありましたわ。
まず、「鬼目羅の犭夜太郎」が、
2009年6月20日にスタートしたのですが、
第7話が完結しないうちに、
「犭夜太郎調査團」として、
2013年4月12日にリニューアル。
旧版の第7話は未だに完結していません。
さて、このオリジナリティ溢れる(?)犭夜太郎に似たキャラとは?
吾妻ひでおさんの『ぶらっとバニー』のバニーくんです!!
外見が似ているというわけではないのですが、
耳が手になっているという設定が同じです!!
しかもこの漫画、既に1970年代に登場しているのです!!
でも、「耳の先が手になっている」という設定はとても魅力的なので、
何とかしようと模索し続け、耳だけではなく、
鼻や尻尾まで手になっている妖怪を創出!!
オリジナルの要素も込める事で、
パクリとは言えないものができました。
勿論、犭夜太郎誕生の経緯を人に紹介する時、
「ぶらっとバニー」との関係性についても必ず触れる事にしています。
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てのひらあたまのねこ(仮称)
↓初出:2015年7月30日
最近デザインしたばっかりの自作ゆるキャラ。
頭部に5本耳が伸びているのですが、
手の指の様に動かす事が出来、
頭部が大きな掌みたいになっています。
「指の様な耳」を、
「耳旨」(耳偏に旨)と書いて「みび」と呼ばせています。
名前が「仮称」なのは、名前が若干長過ぎると思うので、
もっと短い名前にしようと思っているのですけど、
中々良い名前が思いつかないからです。
パペットでも作って、岡田裕子団長主催の
オルタナティヴ人形劇団『劇団☆死期』
で活躍させるのが夢(一応私も団員です)。
指を1本1本稼動させられる様に作らないといけないので、
中々難しいとは思いますけど。
さて、頭部が手の様になっているキャラは他にもいるでしょうか?
『オレたちひょうきん族』の『パーデンネン』です!!
パーデンネンについては、
てのひらあたまのねこの記事中でも触れています。
でも、指が固定されていて動かないんですよね。
「てのひらあたまのねこ」は、指が動きます。
※撮影:Satos72(大塚聰)
続いて、岡本太郎さんの『呼ぶ 赤い手、青い手』です!!
これも指が稼動しませんよね。
この作品は、JR相模原駅(横浜線)の南口を降りて、
横浜方面に1kmほど歩いて行くと、
『西門商店街』というのが南北に通っているのですが、
その通りを南方面に歩いて行くと出会います。
という頁の解説によれば、
西門商店街の活性化を目的として制作を依頼され、
1981年に制作、1982年に設置されたそうです。
「てのひらあたまのねこ」は、「指が動く」という設定によって、
辛うじてオリジナリティが出せているかも?と思いました。
勿論、このゆるキャラを人に紹介する時、
「パーデンネン」や、岡本太郎の「手」についても触れるつもりです。
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ねぬさん(犬と猫のハーフ)インタビュー(絵随筆その5)
↓初出:2013年11月7日
イヌとネコのハーフとして生まれ、
その出自の事で思い悩む「ネヌさん」を描く漫画。
子供の頃から、「犬と猫の合いの子っていないのかな?」
みたいな、正直言って考えたところでしょうがない事を、
時々考えたりしていました。
2013年9月10日に、その事をブログ記事に書きました。
その時、「犬と猫のハーフ」を表わす固有名詞を発明しようとして、
「ネヌ」という言葉を思いついたんですけど、
既にその言葉が使用されているのかどうか検索で確認してみた所、
2008年9月17日に、「カラパイア」というブログが、
「犬顔の猫」を紹介する時に、
「ネヌ」という言葉を既に使用している事を知りました。
また、「犬と猫のハーフ」を題材にした創作物が
既に存在するのかどうかも検索で確認してみたのですが、
見つけられませんでした。
そして、苦労の末、2013年11月7日に「ねぬさん」の漫画を完成させ、
同日ブログに発表。
所が、それから約1~2週間後に再び検索してみた所、
『イヌとネコのハーフ展』という展覧会が、
2013年10月20日~27日に於いて、
デザインフェスタギャラリー(DESIGN FESTA GALLERY)
で既に行われていたという事を知り、愕然としました。
-ism「イヌとネコのハーフ展」[WEST1-F:2013/10/20~10/27]
※画像は「DESIGN FESTA GALLERY BLOG」より拝借
どうやら検索の仕方が悪かった様ですが、お蔭で、
「犬と猫のハーフを題材に誰かが既に表現活動をやっている」
事を知らない為に、その事が頭に引っ掛かかる事によって、
制作に支障が出たりする事が無かったのが救いかな、と。
でも話はこれで終わりません。
何と、私が漫画『ねぬさん』をブログで発表して2ヶ月後の2014年1月、
こしだミカさんによる、絵本の『ねぬ』(架空社)も登場!!
※画像はamazonより拝借
この絵本の存在は、ブラッディマリーさんにより、
ブログのコメント欄で教えていただきました。
お互い面識の無い3者が、
それぞれ同時期に同じ題材でものを作っていたという、
この奇遇さは一体何なんでしょうか?
一体、何分の一の確率なんでしょうね?
確認はしていないのですけど、恐らく、
こしだミカさんと、デザフェスギャラリーとの間に於ける、
犬と猫のハーフについての認識の共有も無かったと思います。
シンクロニシティ(共時性)体験はよくあるのですけど、
正直言って、これには驚きました。
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ルイヴィトン足袋
制作:1996~1999年
↓記事初出:2007年9月10日
この作品の制作の経緯の詳細については、
直ぐ上のリンク先の文章をご覧ください。
今でこそ、色んな現代美術家が、
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)を題材に作品を制作していますが、
本格的にやり始めたのが、どうやら私の様です。
西暦2000年、
まだ青山にあった頃のミヅマアートギャラリーの受付の後に置いた所、
特に外人さんからの「あれは一体何だ?」という反応があったそうです。
所が、雑誌掲載等の「物的証拠」が作られていなかった為に、逆に私の方が、
ルイヴィトンからデザインを依頼された某有名現代美術家の影響を
受けているのだと誤解された事が多々あります。
『GEISAI#1』(2002年)のミヅマブースにも置かれましたが、
(「ルイヴィトンヘルメット」「ルイヴィトンベスト」も一緒に発表)
『美術手帖』はこのイベントをレポートしていたにも拘らず、
私の作品だけでなく、名前すらも掲載されませんでした。
(当時、某現代美術家は未だルイヴィトンからデザインを依頼されていません)
無名作家であると、こういう事がよくあるのではないでしょうか?
今では、SNSが発達しているので、
出来上がった作品をブログやサイト等で発表すれば、
それが「証拠」となります。
なので、「オレの方が先なのに~!!」
と悔しい思いをする可能性は低くなっています。
でも今の私は、正直言って、
誰が先とか、誰が後とか、どうでもよくなっています。
出来の良い作品を作っていれば、先とか後とかに関係無く、
良い作品だと思います。
もし誰かとネタが被っていても、知らなかったのなら、
「知らなかった」と言えば良いでしょう。
勿論、嘘はダメですが。
【追記:2024/1/10】
作品画像6枚を新しくスキャンし直して上げ直し。