ブルゴー=デュクドレー(Louis-Albert Bourgault-Ducoudray) | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Louis-Albert Bourgault-Ducoudray


※画像は、Wikipediaより拝借。


ルイ=アルベール・ブルゴー=デュクドレー

Louis-Albert Bourgault-Ducoudray


1840年2月2日、フランス、ナント(Nantes)生まれのブルトン人(Breton)。

作曲家、ピアニスト、パリ音楽院教授(音楽史、音楽理論)、ローマ賞(Prix de Rome)受賞者。


バス=グレーヌ(Basse-Goulaine)で育ったデュクドレーは、

ブルトンの民間伝承、音楽、文化などに魅了され、影響を受けた。


1862年、

カンタータ『ルイーズ・ドゥ・メズィエール』

Cantata “Louise de Mézière”

で、ローマ賞第一等受賞。


普仏戦争に於けるパリ包囲戦(Siege of Paris, 1870–71)で負傷。

軍メダル(Médaille militaire)を授与される。


1878年、パリ音楽院(Conservatoire de Paris)の音楽史の教授となる。

門人に、

アシル=クロード・ドゥビュスィー(ドビュッシー)(Achille-Claude Debussy)

シャルル・ルイ・ウジェーヌ・ケクラン (Charles Louis Eugène Koechlin)

らがいる。


ローマのヴィッラ・メディチ(Villa Medici)に滞在して作曲にいそしむが、

そこで、ジュール・エミール・フレデリック・マスネー

(Jules Émile Frédéric Massenet)と親友となる。


1898年、アナトール・ル・ブラーズ(Anatole Le Braz)を中心に、

ブルトンの独立の理念、理想、文化の推進を目的として設立された、

『ブルターニュ地域主義連合』(Kevredigezh Vroadel Breizh)に参画。


1910年、ヴェルヌイエ(Vernouillet)にて没する。


【主な作品】

・交響曲(1861)

Symphonie

・カンタータ『ルイーズ・ドゥ・メズィエール』(1862)

Cantata “Louise de Mézière”

・歌劇『メオ・パタッカ』台本:ジュゼッペ・ベルネーリ(1864)

Opéra “Meo Patacca”, Giuseppe Berneri

・信仰交響曲(1868)

Symphonie religieuse

・ギリシャと東洋の30の通俗旋律(民謡収集)(1876)

Trente mélodies populaires de Grèce et d'Orient

・歌劇『アンヌ・ドゥ・ブルターニュ』(1879?)

Opéra “Anne de Bretagne”

・歌劇『タマラ』(1881)

Opéra “Thamara”

・カンボジア狂詩曲(管弦楽とガムラン)(1882)

Rhapsodie cambodgienne pour orchestre avec gamelan

・低地ブルターニュの30の通俗旋律(民謡収集)(1885)

Trente mélodies populaires de Basse Bretagne

・歌劇『ミルディン』(1905)

Opéra “Myrdhin”

・14のケルトの旋律(民謡収集)(1909)

Quatorze mélodies Celtiques

・交響詩『アテネの謝肉祭』

Poème symphonique “Carnaval d'Athènes”

・交響詩『エジプトの踊り』

Poème symphonique “Danse égyptienne”

・交響詩『オフィーリアの埋葬』

Poème symphonique “L'enterrement d'Ophélie”

・交響詩『サウルの息子』

Poème symphonique “Le fils de Saül”


【資料】

Louis-Albert Bourgault-Ducoudray - Wikipedia English


カンボジア狂詩曲(Rhapsodie cambodgienne)1882

http://www.youtube.com/watch?v=RNLXLCbD75A


フランスにも、超が付く程のマイナー作曲家はまだいます。


国はメジャーでも、無名な人はいるのです。

私はそういった人に光を当てるのです。


例えば、スカンジナビア交響曲(Symphonie Scandinave)を書いた、

フランソワ=ルイ・フランスィス(フランシス)・カザドスュ

(カザドジュ、カサドシュ)(François-Louis Francis Casadesus)

とか(ネタバレ失礼)。


それはいずれ紹介するとして、今回紹介するのは、ブルトン人作曲家です。


ブルトン人作曲家と言えば他に、ポール・ラドミロー(Paul Ladmirault)

がいて、半年か1年前頃に弊ブログで取り上げようと思っていましたが、

他に優先して取り上げたいネタが色々あって、先延ばしになっております。


まず、デュクドレーを取り上げようと思った一番の理由というのが、

『カンボジア狂詩曲』という、カンボジアの民族旋律を用いて作曲された曲が、

とてもユニークではないかと思ったから。


作曲された当時としても、かなり画期的だったのかも知れません。


1889年に、ドビュッシーがパリ万博でガムランの演奏を聴いて、

カルチャーショックを受けたという話は有名ですが、『カンボジア狂詩曲』は、

その7年前に作曲されているというだけではなく、編成の中に、

ガムラン(インドネシアやその近辺の、民族楽器や民族音楽の合奏形態をさす)

の楽器が含まれているそうです。


しかも、ドビュッシーは、デュクドレーの門下生です。


その上、このパリ万博で『カンボジア狂詩曲』の一部が演奏されたそうです。

こちらをご覧ください↓

http://tombeau.exblog.jp/i4/


19世紀後半に東洋を題材にしたクラシック曲と言えば、他に、

イギリスの作曲家、アーサー・サリヴァン(Arthur Sullivan)

喜歌劇『ミカド』(Operetta “The Mikado” 1885)があります。


作曲当時のイギリスでは、

フランスのジャポニスムみたいに日本ブームだったそうで、

それに便乗して作られたといわれる、

ウィリアム・シュウェンク・ギルバート(William Schwenck Gilbert)脚本による、

イギリスでは人気のオペレッタだそうですが、

登場人物の名が、いかにも宇宙人みたいな奇妙な名前

(『ティティプ』『ナンキ・プー』など)の上に、歌詞もふざけた感じ。


やはりというか、中国と混同している部分もあります。

日本人がこれをみたらバカにされたと思うかも

(作者にはそのつもりは無いと思いますが)。


20年前に、このオペレッタについて書かれた本を読んだ記憶があって、

明治時代に日本で上演された時、聴衆から「ふざけるな」と

ブーイングが上がったとか書いてあったと記憶しているのですが、

改めてネットで裏付け確認してみた所、よく分かりませんでした。


記憶違いの可能性もあるので、鵜呑みにしないでくださいね。


天皇に対して不敬であるとして日本での上演が禁止されたのではないか

という話もあった様な無かった様な記憶もありますが、

Wikipediaにもその話は出ています。

ミカド (オペレッタ)(Wikipedia)

が、真偽の程は定かではないとのこと。

http://d.hatena.ne.jp/saebou/20110226/p1


映像を見てみましたが、一瞬「モンティ・パイソン」(Monty Python)かと思いました↓

http://www.youtube.com/watch?v=RBNAefAmrdU


いずれにしても、こういったわけなので、日本ではまともに上演されません。


話を元に戻します。


◎『カンボジア狂詩曲』を聴いた感想◎

Rapsodie cambodgienne (Bourgault-Ducoudray, Louis-Albert) - IMSLP

カンボジアの伝統音楽、民族旋律を、

後期ロマン派的味付けを施したオーケストラ作品にしたもの。

2楽章制。


冒頭には、フルートなどによって、東南アジアの農村風景を彷彿とさせる、

のんびりした旋律が奏でられますが、その後、

表情豊かな旋律が、確かなオーケストレーションに支えられて、

色々と繰り出されます。


西洋クラシック音楽の素材として、カンボジアの民族旋律を用いたという感じで、

露骨にアジアらしさを出すといった感じでは無いですが、

こういう試みは、1882年当時としてはかなり画期的な試みだったのかも

知れません。


アジア的なクラシック音楽の先駆けの一つ?

(中東や中央アジアではなく、極東とか東南アジアという意味)


こういうユニークな試みは好きですね。


『ずいずいずっころばし』等、日本の童謡を思わせるフレーズも出てきます。

(まあ、アジアという意味では同じですから)


因みに、カンボジアの伝統音楽はこんな感じ↓

http://www.youtube.com/watch?v=z1vBnjR7lko

『カンボジア狂詩曲』にも、これに近い雰囲気の旋律は出てきますね。




◎CD化状況◎

因みにこの曲は、「Marco Polo」からCD化されております。


エルネスト・ファヌリ(Ernest Fanelli)とのカップリングです。


Marco Polo 8.225234


交響的絵画『ミイラのロマンス』

Tableaux Symphoniques d'après “Le Roman de la Momie”

演奏:スロヴァキア放送交響楽団

Symfonický orchester Slovenského rozhlasu

指揮:アドリアーノ

Adriano

【MARCO POLO 8.225234】2002年




【関連エントリー】

ルトルフ(ルドルフ)・トビアス(Rudolf Tobias)(2)エストニアの作曲家

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11569053293.html

デヌィース・シチーンシクィイ(デニス・シチンスキー)(Денис Січинський)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11568878683.html

カレル・ベンドル(Karel Bendl)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11558913693.html

マッティン・ヴェゲリウス(Martin Wegelius)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11558904952.html

エルンスト・ミエルク(3)管弦楽と合唱作品集 近々日本発売予定!!

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11553727110.html

メアリー・カー・ムーア(Mary Carr Moore)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11541187020.html

バートラム・シャプレイフ(Bertram Shapleigh)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11517804126.html

エドワード・バーリンガム・ヒル(Edward Burlingame Hill)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11513373817.html

アーサー・バテル・ホワイティング(Arthur Battelle Whiting)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11513284202.html

アルメン・ティグラニャン(Արմեն Տիգրանյան)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11500069268.html

マーガレット・ルスヴェン(ルースヴェン)・ラング(Margaret Ruthven Lang)

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マイナークラシック音楽紹介記事アドレス保管庫(9)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11476019526.html