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ぼくたちの家族

「船を編む」の石井裕也監督作品。お題の通りとある家族を描いた物語だ。主演の妻夫木聡は長男・浩介役なんだけど、面白いことに彼は山田洋次監督の「東京家族」にも次男役で出演してるんだよね。そんなことを思いながらこの作品を観ていると、超ベテラン監督と若手監督の現実の捉え方、見え方の違いがとても興味深かった。というのも「東京物語」の主人公は橋爪功演じる周吉で目線は明らかに監督そのもの。一方の妻夫木くん演じる浩介の目線は正に石井監督なんだ。

50歳近い歳の差がある監督2人は捉え方が違って当たり前で、映画的なドラマチックさ、言い換えればベタな人情味があるのは「東京物語」の方だと思う。まあこれは山田監督の作る映画全般に言えることだから、彼のテイストとも言えるよね。この作品はそういう特別ドラマチックな展開は特にないんだ。もちろん物語としてのクライマックスはあるけれど、それで感動で涙溢れるというよりは、ホッとすると表現したほうがいいかもしれない。そのぐらい身近なリアリティを感じる作品になってる。

もちろんどっちが良いとか悪いとかではなく持ち味の問題で、最終的には家族の絆であったり、家族はこうあって欲しいという作り手の願いみたいな部分では共通しているはずだ。さて、この物語では、母の玲子(原田美枝子)がある日突然病に倒れ余命一週間と宣告されてしまう。そこから引き起こる様々な問題、それは経済的なものであったり、家族それぞれが抱えていた悩みや不満だったりするんだけど、それを乗り越えて家族の絆が再生していく様子が描かれていた。

実感したのは、家族だからといって何の努力もなしにその絆や信頼関係が保てるものではないってこと。それぞれが家族というものに対する責任と覚悟を持って行動した時、そしてきちんとコミュニケーションを取った時、初めてそれらは成立するんだなと思った。子は親元にいる時には親の真の姿は見えないだろうし、親も見せないだろう。そして子が巣立つと、今度は物理的に見えなくなることも多い。夫は働き妻は家に、何でも話せているようでも実はそれぞれ別々の時間を生きているわけで本当にお互いを理解尊重してるのか。

これって程度の差や弱冠の違いはあっても、どこの家族にも当てはまるよね。とはいえ、この家族は結局はとても上手く行っている家族と言えると思う。何故かといえば、家族がそれぞれ覚悟を決めたから。この部分がこの作品での映画的なドラマチックさといえるかもしれない。実家に電話を掛けたくなった。

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ストーリー:重度の物忘れにより病院で検査を受けた玲子(原田美枝子)は、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。そして認知症のような状態になった玲子は、それまで話すことのなかった家族への本音をぶちまけ、長男・浩介(妻夫木聡)、次男・俊平(池松壮亮)、夫・克明(長塚京三)はうろたえてしまう。やがて経済破綻や家庭内不信など、ごく普通の家族に隠されていた問題が明るみに出てきて…。(シネマトゥデイ)

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