調布シネマガジン

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終戦のエンペラー


見逃していた話題作を今更鑑賞。
岡本嗣郎のノンフィクション「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」を原作にした作品だ。マッカーサーに天皇の戦争責任の追及を命じられたフェラーズ准将が、真実を追い求める姿に密着している。

よく「日本人は原子爆弾を落とされているのに、どうしてアメリカとそんなに仲がいいの?」という外国人の疑問をきくことがあるが様々な理由の中でもっとも根源的な理由がこれなのかと気付いた。要するに、彼らは天皇陛下の戦争責任を追及しなかった。今も昔も天皇陛下が我々日本人の心のなかで特別な存在であるのは言うまでもなく、そこに対する一定のリスペクトを維持したからこその現在まで続くアメリカとの仲があるのだろう。

面白いのは、欧米的な合理的思想と日本の曖昧さを良しとする思想のせめぎあいだ。そのせめぎあいをフェローズ准将という占領軍の高官でありながら、過去に日本人の恋人をもつ知日派の男の心に集約している点がうまかった。理屈で説明できない存在を日本人は“なんとなく”把握し受け止められる。フェローズ准将も恋人アヤを知るうちに、日本を学ぶうちにその感覚を少しは理解するものの、それをマッカーサーには説明できない。まあ仮に説明出来たとしてもマッカーサーにはそれは理解できなかっただろうが…。

いずれにしろラストで天皇がマッカーサーと会談するシーンは、どちらかと言えば地味以外のなにものでもないけれど、まるでその時のマッカーサーの心持ちが伝わってくるかのごとく心に迫るものがあった。それは天皇陛下が自然と体現する高貴な精神性というか、そこに存在するだけで周囲を特別な気持ちにさせてしまう何かであり、その前では小賢しい利己主義的な理屈など木っ端微塵にされてしまうのだ。この辺は片岡孝太郎の生まれ持った歌舞伎役者の上品さが一役買っているのかもしれない。
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