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$調布シネマガジン-遺体 明日への十日間

心が押し潰されそうな位苦しくなった。そして涙が止まらなかった。俺が泣いたってどうにもならんし、被災者の皆さんにとっては映画ではなく現実なのだから、ふざけるなと言われるかもしれない。しかし震災3日後に現地に入って事細かに取材した石井光太氏のルポ『遺体 震災、津波の果てに』を元に、『踊る大捜査線』の脚本・君塚良一が自ら監督までしたこの作品は、あの日から10日間の真実が描かれている。

$調布シネマガジン-遺体 明日への十日間01物語は震災後に遺体安置所として使われた中学校で働く相葉常夫の姿と、彼に感化されていく周囲の様子を中心に描かれている。観ていて一番感じたのは人としての優しさだ。例えば遺体の安置されている体育館に入るのに、相葉さんだけは靴を脱いで入る。遺体はモノではないし、寝かされている場所は地面ではない。家と一緒なのだから靴を脱いで上がるのは当然ということではないだろうか。

常に遺体に話しかけ、残された遺族に話しかける。日本人は、その死生観として死者の気持ちをも思いやり、そうすることで残された人間の気持ちを慮るという部分があるが、正に相葉さんはそのままだ。相葉さんの気持ちが徐々に周囲に浸透し、それと共に釜石市職員の平賀(筒井道隆)、照井(志田未来)らの上着が汚れていく。それはつまり亡くなった方々が人間の尊厳を取り戻していくことに等しい。

西田敏行、佐藤浩市、柳葉敏郎、筒井道隆、志田未来……登場するのは日本を代表する若手ベテラン俳優ばかりだが、今回彼らのセリフは殆どがアドリブなのだそうだ。その時その立場ならあなたなら何と言う?ということなのだろう。俳優が人として絞り出した言葉はセリフではなく言霊となり、だからこそ観ている我々の心に染み入ってくる。彼らとて演じていて苦しかったのではないだろうか。

$調布シネマガジン-遺体 明日への十日間02そう感じたのは國村隼演じる住職が安置所の中でお経をあげようとするシーンだ。突き上げる感情に読経が止まってしまうのだが、住職の彼は泣くわけにはいかない。必死で読経を続けようとする彼の姿に思わず嗚咽を漏らしてしまった。繰り返しになるが当然これは映画だ。だが、遺族の方々がどれほど辛い目に逢ったのか、その何十、何百分の一かは感じられる気がする。

とてつもなく重い、苦しい作品だ。だから観たくないという人もいると思う。まして被災者の皆さんには酷な作品だろう。しかし、たった2年で喉元過ぎてしまった俺のような人間は絶対観るべきだし、俺と似たような方々は多いのではないか。覚悟をもって観て、ここに描かれる10日間の真実をしっかり受け止めて欲しい。

『遺体 明日への十日間』公式サイト

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ストーリー:東日本大震災の発生直後。定年まで葬儀関係の仕事に就いていた相葉常夫(西田敏行)は、仕事柄遺体に接する機会が多かったことから、遺体安置所でボランティアとして働くことになる。一人一人の遺体に優しく話し掛ける相葉の姿を見て、膨大な遺体に当初は戸惑っていた市職員たちも、一人でも多く遺族のもとに帰してあげたいと奮闘し続ける。
(シネマトゥデイ)

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