調布シネマガジン

旧LOVE Cinemas 調布 からもっと気楽な映画記事に生まれ変わりました!よろしかったら読んでみてくださいな!


テーマ:
$調布シネマガジン-ゼロ・ダーク・サーティ

『アバター』と争ってアカデミー賞作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督最新作。今回は911全米同時多発テロの首謀者、アルカイダのビンラディン殺害計画をテーマにした物語だ。具体的には計画の実質的な責任者であるCIAの女性分析官マヤ(ジェシカ・チャステイン)を主人公に話は進んでいく。観終わって最初に感じたのは、本当に丁寧に良く取材してあるなということ。

$調布シネマガジン-ゼロ・ダーク・サーティ01関係者からの取材をもとに脚本が書かれているのだが、特に実際にビンラディンが潜伏している家に米海軍特殊部隊SEALsが突入するシークエンスなどは、結果が解っているのに素晴らしい緊張感だった。『ハート・ロッカー』の時もそうだったのだが、この監督は本当にディテールを大切に少しづつ積み上げる作り方をする。だからこそそれが一つの形を成した時に恐ろしいまでのリアリティを感じてしまうのだ。

ただ一点、捕虜の拷問シーンなどはややもするとヌルイ印象を受けるのだが、この辺は実際に取材から得た情報ではとても描けないほど酷かったのか、或いは決して表に出せない故に取材しても誰も真実を語らなかったのか。いずれにしても実際に表に出てきた情報だけ見てもこの作品ほど生易しいことはありえないとは思う。ともあれマヤは7年前に得た情報を元に少しづつ細い糸を手繰り寄せていくのだった。

$調布シネマガジン-ゼロ・ダーク・サーティ02特に親友をテロで失ってからの彼女の執念というより怨念にも似た感情は凄まじい。このあたりをジェシカ・チャステインが見事なほどに熱演している。何かに憑り付かれたかのように表情、血走った眼は観ていて疲れてしまうほどだった。SEALs隊員に「ビンラディンを殺して」と他に選択の余地などあり得ないほどサラリと言い放つマヤ。無論アメリカの立場からすれば正義だろうが、ある意味これも怖い。

一歩引いた目で見ると相手にもこれと同じ状態の人間がいるのだろうなと思ったりもするのだ。最後のマヤの涙はこれこそがビグロー監督が訴えたかったことなのだろう。ビンラディンを殺しても友は、大勢の罪なき命は戻ってはこないし、まして満足感などあるはずがない。どうしようもない虚無感から自らのアイデンティティを確立するには泣くことしかできなかったのかもしれない。ちなみにタイトル『ゼロ・ダーク・サーティ』は米軍の用語で午前0時30分、要するにSEALsの突入時間を指すのだそうだ。

『ゼロ・ダーク・サーティ』公式サイト

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

ストーリー:ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャスティン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……。
(シネマトゥデイ)

いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)

Cassiusさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります