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$調布シネマガジン-渾身 KON-SHIN

地味な作品だがとてもいい作品だった。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の錦織良成監督の作品だが、この監督の作品は何だかとても優しいのが特徴的で気に入っている。この作品も『RAILWAYS』に続いて自身の地元島根県が舞台だった。具体的には隠岐諸島に伝わる古典相撲をテーマに取り上げながら、土地の人々の、家族の絆を描き出している。

$調布シネマガジン-渾身 KON-SHIN01家族の絆、主人公の多美子(伊藤歩)は親友・麻里(中村麻美)が病死した後、献身的に彼女の夫・英明(青柳翔)と一人娘・琴世(井上華月)の面倒をみる。少しづつ近づいていく多美子と英明の距離感、そして何より琴世との距離感を監督は決して焦ることなく小さな事実の積み重ねで丁寧に描いていた。物語は回想なので2人が結婚する結末は最初から見えているが、それでもこの描写あってのクライマックスである。

ここで何が素晴らしいといって、子役の井上華月ちゃんの芝居だ。可愛らしいのは子役だから当たり前。そうではなく嬉しい、哀しい、寂しいといった感情をその表情を中心に見事に表現してくれる。これほどまでに豊かな表情を見せられるとは芦田愛菜ちゃんに勝るとも劣らないだろう。多美子のことを“お母ちゃん”と呼びたいけれど恥ずかしくて“あの姉ちゃん”と呼ぶシーンなどは本当に心をくすぐられた。

$調布シネマガジン-渾身 KON-SHIN02さて、英明は麻里との結婚の際に起こした騒動のために島中の人から色眼鏡で見られているのだが、それを払拭するかのように古典相撲にまい進する。そして20年に一度の若酢神社の遷宮を祝う古典相撲大会では最高位の正三役大関に選ばれ、地区の名誉のために戦うことになるのだ。その土地に真の意味で受け入れられること、それは家族の幸せのためでもあり、自分のためでもあった。

勝ち負けではなく人の生き方としてのそれを証明するために戦う英明の姿には思わず胸打たれる。それにしてもこの古典相撲を観ていると、相撲がまさに神事であり、いわゆる大相撲が失ってしまった純粋な魂とでも言うべきものが息づいているように感じた。全てが上手く収まるのは出来過ぎかもしれない。しかし、この映画の場合はそれでいいし、そうあって欲しいと素直に納得できる。

『渾身 KON-SHIN』公式サイト

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ストーリー:隠岐諸島で育った多美子(伊藤歩)は英明(青柳翔)と結婚し、夫と前妻との間の子どもである琴世(井上華月)と一緒に幸福な日々を送っていた。だが、琴世はまだ一度も多美子のことを、お母さんと呼んでくれたことがなかった。そんな折り、島で20年に一度の古典相撲大会が開かれることになり、最高位の正三役大関に選出された英明が土俵に上がることに。
(シネマトゥデイ)

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