調布シネマガジン

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$調布シネマガジン-東京家族


モチーフにしたと言われる小津安二郎監督の『東京物語』は見たことがないから、オマージュを捧げていようが全くその辺は解らない。そもそも俺は山田洋次監督が好きではない。古臭い古色蒼然とした脚本が今の時代にあってはもう合っていないとすら思っている。だがこの作品に関して言えば、その古色蒼然とした部分が、昔ながらの家族の情景を描き出すうえでとても良い具合に作用していたと思う。

$調布シネマガジン-東京家族01『東京家族』というタイトルだが、そもそも登場人物に本当の意味での東京人はいないし、現代に跋扈する大都会の住人的な思考を持った人間も登場しない。しかし、この作品を観ることで、都会に生まれ育った人間や若者は日本の家族の本質を垣間見られるだろうし、今も地方に住んでいたり、田舎で生まれ育った人間は古き良き家族の姿を思い出すことが出来るのではないだろうか。

年老いた両親をちょっと邪険に扱ってしまったり、両親そのものが子供に世話をかけまいと遠慮したりと言った姿は俺にすれば自分で経験した事そのものだ。幸一(西村雅彦)は自分の父親に、その妻・文代(夏川結衣)は自分の母に、滋子(中嶋朋子)は自分の叔母にそのまま重なる。特に妻夫木聡演じる昌次が母親と婚約者との出会いを語るくだりは心に響くものを感じた。自分も同じように母に話したものだから…。

$調布シネマガジン-東京家族02自分の大切な人に関して母親と話せることは実に素敵なことだと俺は思うのだけれど、今は中々そうできない若い人も多いと聞く。でももしかしたら新しい家族になるかもしれないほどの大切な人の事は素直に親に話したいし話すべきだと思うのだ。と言うより、自分の惚れた相手位堂々と親に自慢したいじゃないか。昌次が母に話すときのちょっと自慢げな顔が何とも言えず嬉しくなってしまう。

それだけに蒼井優が演じた紀子があまりにイイ子なのにも思わず頬が緩んでしまった。また黒髪の彼女の素朴な風貌と演技が紀子のキャラクターイメージそのままで、まるで彼女自身に見えてしまったほどである。だからこそ彼女が父。周吉(橋詰功)に認められたときは思わずこちらまで涙してしまった。母・とみこ(吉行和子)が死に、葬式の話を始める部分も、まるでデジャヴ。

$調布シネマガジン-東京家族03残った親族は哀しくても実際にやらなければならないことがある、それも実際に俺は目にしてきた。悲しみの中でも故人を忍びつつ酒を飲みながら語り合う。田舎の葬式とはそういうものだし、それが日本の文化だと思うし、日本の家族だと思う。素晴らしい俳優たちによる素晴らしい演技、家族の本当を見事なまでに表現した彼らに拍手を送りたい気分で一杯になった。




『東京家族』公式サイト

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ストーリー:瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、個人病院を開く長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させようとする。そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。
(シネマトゥデイ)

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