調布シネマガジン

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$調布シネマガジン-もうひとりのシェイクスピア

『インデペンデンス・デイ』や『2012』などケレン味あふれる作品を世に送り出してきたローランド・エメリッヒが製作・監督を務めた作品。今回は一転して歴史ミステリーだが、謎多き劇作家ウィリアム・シェイクスピアの謎に迫りながら、それをイギリス王家を取り巻く陰謀と絡めて描き切るあたり、歴史が醸し出すスケール感と言う意味ではエメリッヒ監督らしいと言えるだろう。

$調布シネマガジン-もうひとりのシェイクスピア01シェイクスピアが別人だという説は歴史の中では良くある伝説のようなもので、それ自体は知っていた。だからエドワードが貴族でありながら本物の劇作家シェイクスピアその人であり、ジョンソンが彼の作品を託されると言う展開自体だけならそうたいして引込まれなかったと思う。しかし本作では、真のシェイクスピア=エドワードが一体どういう人物であったのかと言う所がつまびらかにされていく。

エリザベス一世とエドワードの関係、2人の隠し子ヘンリーの存在、エセックス伯ロバートと宰相セシルの王位をかけたどす黒い陰謀…。客観的に観るとよくある話ではあるが、ラストまで観ているとその全てに人間の本質が深く絡んでくる。権力欲、愛情、憎しみ、信頼、裏切り、これでもかと描かれる登場人物たちのある種人間臭い行動が、ミステリーの秘密以上に観ているものを惹きつけるのだ。

セシル親子が胡散臭く陰謀家であることを知りながらも彼らを頼らざるをえないエリザベス。若き時代から個人としてのアイデンティティを、愛する人を奪われ、詩に没頭せざるを得なかったエドワード。しかしそれ故に期待の劇作家シェイクスピアが出現したのだから、人生のなんと皮肉なことか。全てが上手く行っていたらシェイクスピアは存在しなかったかもしれないのである。

$調布シネマガジン-もうひとりのシェイクスピア02ところで余談だが、エリザベス一世の母はアン・ブーリンという。ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンによる映画『ブーリン家の姉妹』ではアンとメアリーがヘンリー8世を寵愛を奪い合うさまが描かれているのだが、ヨーロッパの歴史映画の醍醐味はこういう所にもあると思う。様々な作品を観ながら一つの歴史が繋がって行く面白さ、しかもその繋がりがイングランド一国にとどまらない。

そう、観ていて一つ感じたことがあった。今でこそシェイクスピアの芝居といえば芸術的な高尚さで敷居が高いが、この時代は芝居は庶民のものだったのである。実際に高貴な人間として生き、しかし実はその高貴な人間も一皮むけば庶民と全く同じであることを知るエドワードだからこそこれだけ多くの人々に受け入れられる作品が残せたのかもしれない。普通にそう思えてしまった。

『もうひとりのシェイクスピア』公式サイト

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ストーリー:時は16世紀のイングランド、アイルランド女王として君臨していたエリザベス一世が統治していたころのロンドン。サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー(ゼイヴィア・サミュエル)に招待されて、芝居を鑑賞しにやって来たオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア(リス・アイファンズ)は、ベン・ジョンソン(セバスチャン・アルメストロ)執筆による作品の素晴らしさに感服していた。しかし、芝居を忌み嫌うエリザベス一世の宰相ウィリアム・セシル(デヴィッド・シューリス)が兵士と共に劇場へと乗り込んできて、芝居を中止するように圧力を掛ける。
(シネマトゥデイ)

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