調布シネマガジン

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$調布シネマガジン-ミルク

セミフ・カプランオール監督によるユスフ三部作の第2作。高校を卒業してすぐのユスフを描いた作品だ。例によってBGMを一切排し自然音のみで見せてゆく詩的な手法なのだけれど、個人的には本作が一番解りやすい気がした。詩を書くことが大好きで書いては雑誌に投稿するも、別にそれで食べていけるわけでもなく、かといって家業の牛乳屋もさして儲かっているわけでもない。

$調布シネマガジン-ミルク01ユスフが詩を書くときのタイプライターの音に神経質になる母の言葉は、貧しい時代の日本でも良く見られたような光景に思えた。即ち、一文にもならない文化的営みなどより、少しでも体を動かして働けという意味においてだ。それにしてもこの次の作品『蜂蜜』では牛乳が飲めない幼少期のユスフが描かれるのだが、そのユスフが牛乳配達をしているというのが面白い。

『蜂蜜』では、戻らない父に代わって母を守ろうと決意したユスフが、嫌いな牛乳を飲み干すシーンがあるのだが、結局彼のその決意は青年期のこの時代でも続いているということなのだろう。ただ、彼の詩が雑誌に掲載されたあたりから風向きが変わる。それはユスフが社会に認められた証でもある。ところが、徴兵の健康診断で彼は不合格とされてしまう。何故か?てんかん持ちだったからだ。

$調布シネマガジン-ミルク02『卵』で突然昏倒した彼だが、この作品でも目をむいて倒れ泡を吹くのである。前作との繋がりでユスフの人生を遡る旅であることが実感できるのが嬉しいところだ。自分は一人前なのか?ユスフの気持ちは誰もがいつか来た道だろう。そんな折、彼は母が未だ一人の女性であることを目の当たりに…。明らかにショックを受けるユスフ。思うに彼は母を守るという幼少期の誓いを守っていたのではないか。

母の行動はユスフの想いに対する裏切りにも見える。むろんそんなことはないし、大抵の母親ならば息子の庇護だけを当てにするなどということがあるはずもないのだけれど。いずれにしても、『卵』で母の元にめったに顔を出さない彼の行動の理由がここで解った。三部作全てを見ると、この作品が一人の人間を描いた長い長い一篇の詩であると実感できる。

『ミルク』 goo映画


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ストーリー:高校を卒業したばかりのユスフは、何よりも詩を書くことが好きで、書いた詩のいくつかを文学雑誌で発表し始めている。しかし、彼の書く詩も、母親のゼーラと共に営んでいる牛乳屋も二人の生活の足しにはなっていない。そんな中、母と町の駅長との親密な関係を目にしたユスフは当惑する。これがきっかけとなり、また幼少期の病気のせいで兵役に不適と判定されたこともあって、急に大人になることが不安になってしまうユスフ。果たして彼は、大人への一歩を踏み出すことができるのだろか……。
(MovieWalker)
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