調布シネマガジン

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$調布シネマガジン-卵

トルコのセミフ・カプランオール監督によるユスフ三部作の一作目。実は俺は三作目の『蜂蜜』から観始めたんだよね。この三部作は一作目の本作『卵』で壮年期のユスフを、二作目の『ミルク』で青年期のユスフを、そして三作目の『蜂蜜』で幼年期のユスフを描くという、時代を遡ってユスフという人間を隅々まで見つめている。本来は順番通りが良いんだろうけど、まあ仕方ない(笑)

$調布シネマガジン-卵01『蜂蜜』でもそうだったんだけど、何かエモーショナルな展開を期待するとこの作品には肩透かしを喰らうだろう。特に本作は、詩人で古本屋の経営者のユスフが母の死の連絡を受け久方ぶりに帰郷、そこで出会ったアイラという少女に母の遺言を聞いて、それを実行に移すという一部始終を只黙って映し出すだけなんだよね。ただ表面上はそれ以上でも以下でもないけれど、ユスフの心の動きはしっかり伝わってくる。

ちなみにこのアイラを演じたサーデット・アクソイは『ソフィアの夜明け』というブルガリア映画で観た事があった。無論少女ではなくとても美しい女性だけどね(笑)ユスフの導き手としての彼女は、そのエキゾチックな面持ちで観るものをその世界観に引き込んでくれると思う。叔父の孫娘という設定だけれど、ユスフにチャイや食事を供する様子はまるで母親そのものにも見えたよ。

$調布シネマガジン-卵02自然音を活かしてBGMを排除した画作りは、俺はDVDだったから解りにくかったけれど、スクリーンで観たならまるで自分がトルコの片田舎にいるかのような錯覚を覚えたんじゃないだろうか。詩人として処女作が賞を受賞したにも関わらず、今の彼は書けなくなっているらしい。いわば“枯れた”状態のよう。しかし母の想いを知り、その枯れた心に徐々に水が溜まって行く。

ところで、この三部作。当然それぞれのタイトルにあたるものは登場する。卵も出てくるし、ミルクは行商人から買っていた。じゃあ蜂蜜は?劇中ユスフが手にしていた冊子には「BAL」の文字が。トルコ語で「蜂蜜」という意味だ。何ともにくい演出じゃないか。ただ俺はその意味をまだ掴みきれていない。『ミルク』を観て三部作全てが繋がって初めて理解できる気がする。

『卵』 goo 映画

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ストーリー:イスタンブールで暮らす詩人のユスフは、母親の死の知らせを受け、何年も帰っていなかった故郷に帰る。古びた家に帰るとアイラという美しい少女が彼を待っていた。ユスフは、5年間、母の面倒を見てくれていたというアイラの存在を知らず、アイラは母の遺言をユスフに告げる。そして、遺言を聞いたユスフは遺言を実行する為に旅に出る。失われていた記憶が甦ってくる。それは、ユスフ自身のルーツを辿る旅となった……。
(MovieWalker)
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