調布シネマガジン

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鬼才・園子温監督が東日本大震災と福島第一原発の事故をテーマに据えて描いた社会派ドラマ。舞台は架空の世界で、話を聞いているとどうやら福島の事故からまたしばらく時を経たという設定らしい。長島県で酪農を営む小野さん一家の事故後を見つめるというスタイルなのだが、個人的には福島を長島に変えて架空の世界にすることの意義がよくわからなかったな。そのままじゃだめなのか?

$調布シネマガジン描かれている出来事そのものは別にSFチックでも何でもなく、あの日からニュースを見ていたら誰でも知っているような出来事ばかり。ただそれを全て映像として見せられると、突きつけられる現実に心が重くなる。半径20kmの警戒区域の曖昧さ、洋一(村上淳)といづみ(神楽坂恵)に自主避難をさせる一家の主人・泰彦(夏八木勲)の苦渋の選択。でもそんな泰彦も国から強制退去命令が出る…。

自主避難した先でのいづみが放射能恐怖症になってしまう姿なんてまさに現在進行形の出来事だよ。そして最も象徴的でショックだったのが泰彦の認知症の妻・智恵子(大谷直子)の存在だった。千恵子は口癖のように「帰ろうよ、おウチに帰ろうよ」というんだけど、泰彦は「じゃあ10分したら帰ろうな」と答えるのね。何でかって言うと、でも認知症だから自分が言ったことをすぐ忘れるから。

$調布シネマガジンでもさ、帰りたくてももう帰れない、それはもう元には戻れない現実だろうし。言ったことすぐを忘れてしまう千恵子の姿はある意味俺たち自身をさしてないだろうか。生まれ来る子供を守るために全身防護服を着て歩くいづみをせせら笑う街の人々。確かに彼女は放射能恐怖症なのかもしれないけれど、だとしても何も間違ったことはしていない。少なくとも俺たちに笑う権利はない。

『希望の国』というタイトルとは裏腹にエンディングはやっぱり不条理帝王・園子温テイストだった。それがまた現実とリンクすることでより強烈に俺たちの心に訴えかけてくるのだけれど。いづみは「大丈夫よ」と笑いながら言うものの、実は大丈夫じゃない。でもどうしたらいいのか。「放射能と上手く付き合って生きろってことですか?」そんなセリフが劇中にあったけど、それも答えの一つだと俺は思う。

『希望の国』公式サイト

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