調布シネマガジン

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イランの巨匠、アッバス・キアロスタミ監督作品。氏の作品といえば最近ではジュリエット・ビノシュを主演に迎えた『トスカーナの贋作』が記憶に新しい。ただ今回面白いのはジュリエットと異なり、名優ではあるものの脇役街道を歩いてきた奥野匡を主演に据えたこと。正直言って加瀬亮以外はヒロインの高梨臨ですら知らなかったのだけれど、劇中妙にリアルな心の距離感を感じられたのが驚いてる。

$調布シネマガジン主人公タカシ(奥野匡)と女子大生・明子(高梨臨)の出会いは至極簡単で、デリヘル嬢だった明子をタカシが呼んだから。ただ彼が彼女を呼んだ細かい経緯は一切明らかにされない。色々と推測させる材料は出てくるのだけれど、そこは色々と観る側が想像力を働かせるのが楽しいと思う。何とも心地良いのが、男性が女性に求めるものは必ずしも性的刺激だけじゃないことが描かれていること。

いや、この作品の場合、求めるのではなく与えたい欲求なんじゃないかとすら思うんだよね。無論最初は仕事として身体を差し出す明子だけれど、タカシは最初からその気はない。孤独な老人だからなのか、男としてなのか、年長者としてなのか、そこは局面によって変わるのだと思うけど、とにかくタカシの心は広く暖かく明子を包み込む。そしてささくれ立った彼女の心は癒されていく。

$調布シネマガジンささくれの原因は恋人のノリアキ(加瀬亮)なんだけど、こいつの存在は世の中の男性の醜悪さを凝縮したようなものだったな。こんな風に丁寧に丁寧に人間を見つめて描き出すキアロスタミ監督なんだけどただ一点良くわからないところが。明子はタカシの家に向かう途中に駅に立ち寄る途中、そこで登場するのが徳川家康の銅像で、背景には明らかに静岡駅が映ってるんだよね。

バーから派遣されるときに1時間位かかるて言われてるし、そもそも明子もタカシも東京に住んでいる設定だからこれは辻褄が合わない。ま、理屈じゃないのか(笑)何だかたゆとう様に流れる映像にのせられてこの2人の恋ならぬ恋を眺めているんだけど、タイトルの意味「恋をしている様な人」の意味が良く解ったよ。結局登場人物全員がそうなんだ。タカシと明子はあの後どうなったんだろう…。

『ライク・サムワン・イン・ラブ』公式サイト

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