day off in 香港 | 大ぼら一代番外地

day off in 香港

午前5時起床。兄ぃのみ、本日帰国の途に就かれれど、残り4名は、珍しくも香港にて1日オフ、是も即ちレコード屋を巡らんとすればこそ。
扠、朝飯を食らわんと思えば、ホテル近隣にて軒を連ねるセブンイレブンとサークルK、先ずはセブンイレブンへ突入、カップ麺「滿漢大餐 珍味牛肉麺」に加え、本場中国人の如くトッピングに「麻辣牛腱粒」を添え、



いざ食らうや、矢張り広東料理圏なればこそか、花椒の効き弱くパンチ不足、然れどトッピングたる麻辣牛腱粒のみならず、そもそもカップ麺にも、大振りな牛肉塊同梱されれば、別所哲也宜しく両親指と人差し指を以てWサイン掲げ「今日のピアットはダブルトッピング!」なんぞといちびる訳もなけれど、何とも男の料理たるべく肉々しき味わいか。



今回投宿する佐敦(Jordan)とは、前回投宿せし旺角(Mong Kok)より、地下鉄にて2駅の距離と知れば、前回偶然にも発見せしレコード屋2軒を偵察せんと、東君共々出撃せり。然ればレコード屋「威店(Win Shop)」を急襲、然れど残念乍らレコード在庫全て新品にして、復刻盤こそあれど中古盤無し。



前回訪れし際には、2階に中古レコードの在庫抱えられしと記憶する「節拍唱片(The Beat Records)」は、午後1時開店なりけりて、然ればと飯を食らいて開店を待てど、結局休業日たりしか開かず終いにて万事休す、残念至極かな。



昼飯は、女人街界隈の四川料理屋にて「雑酱肉碎麺(Minced Meat Noodle)」を所望、云うなれば四川風ミートソーススパの如し、男らしく豪快に撹拌し食らえば、何とも上品な味わいにて、四川風と謳えども、是亦唐辛子や花椒の芳しさほぼ皆無、鶏ガラスープも添えられれば、中盤よりこのスープを少々投下、然れど大局に影響無し。何とも残念至極かな。



道すがらレコード屋「得記黑膠唱片(Ducky's Records)」の看板発見、然れど転居の貼紙あれば、いざ転居先を突撃せん。而してその地図に記されし場所に辿り着けば、該当するビルこそ発見すれど、肝心の店舗発見に至らず、已んぬる哉、残念至極かな。



一旦ホテルへ帰還、仕事明けのRolfが来れば、而して原盤原理主義同盟の御二人も合流され、いざ香港レコードハンティングの旅へ。先ずは、昨夜Joshより入手せしレコード屋情報を元に、1軒目へ突撃せん。入手せし住所を頼りに辿り着きしは、何とマンションの1室にして、看板もなければ、扉に「請按門鐘(ドアベルを押して下さい)」「遇上外出請電(電話番号が併記)」なる2種の貼紙あるのみ、斯くしてドアベルを押せば、解錠され中へ招き入れられし次第。



狭き1室にレコード箱山積みにして、防府の例の古本屋すら想起させるカオスぶり、正にサルガッソー、



果たして彼方のレコード棚なんぞ、如何にして物色し得らんと思えば、



これは往生しまっせ。



然れば店主自ら、積み上げられしレコードを足場に、客のリクエストを探し出される有様。世界中何処のレコード屋が、自分とこの商品たる在庫レコードを足場すんねんな。



然れど一見カオスなれども、何処のどの箱に何が埋蔵されるか記憶される様子にて、原盤原理主義者みつるちゃんが求める香港ガレージ原盤なんぞも、あれこれ御披露下さる次第。



Rushの香港盤発見すれば、均かAlex Lifesonの漢字サイン入りか、って思たら笑けるがな。



私の姿を見るや、店主曰く「おっ、あんたヒッピーじゃな!ワシもジェファーソン・エアプレインが大好きじゃよ。ワシも若い頃はバイカーだったんじゃ。ほれ、ここに写真もあるじゃろ。」



何ともナイスな店主なれば、随分勉強して下さり、ついついあれこれ散財せり。



続けてRolfの案内にて、電気屋街と思しき界隈へ突入せり。こんなもん誰が買うねんな、家電製品のリモコンばかり扱う店、電源アダプタばかり扱う店、家電製品より取り出されし磁石ばかりを扱う店、雨曝しの凡そ壊れし家電製品ばかり扱う店、その他意味不明な店がずらり軒を連ねられれば、この猥雑なガラクタ市場ぶり、懐かしいや韓国Seoulの「ゴミ市場」を想起せり。



Rolfが案内下さりし中古カセット屋は、生憎の休業にして、カセットマニア津山さんは落胆されしやと思われれど、カセットマニア魂を嘗めるなかれ、路上に打ち捨てられしが如きより、カセットあれこれ物色中、これぞ真のカセットハンターたる姿なり。



カセット・ハンター心得の条、店のみならず路上であれゴミ溜めであれ、カセットある処探し当て、如何にてもカセット物色すべし、尚、死して屍拾う者なし、死してカセット拾う者あり。



整理整頓され、レア盤が壁貼りされる専門店にて、大枚切りてレア盤購入するも道なれど、真のレコードハンティングの醍醐味とは、斯様なガラクタや御ゴミと思しき中より、永きに渡り探し求めし1枚を発掘せんとする事なり。中古レコードとは一期一会、2度と御目に掛かれぬ代物も数知れねばこそ。



斯くして私も、今回最大の標的たる中国製作抗日ドラマDVDを、全く捨て値にて大量購入叶えど、そもそも斯様なプロパガンダ、殆どの方々はアホにあらねば、誰も一切興味なくして、敢え無くカスコーナーに打ち捨てられしも大いに納得。



Rolfの案内にて、更にレコード屋「恆聲黑膠唱片(Hang Sing LP REcords)」へ突撃せり。入口横の壁には、何と中森明菜のポスター貼られれば、齢31歳なるRolf曰く「昔、有名だった…。」



店内へ突入せしや一同思わず「おおっ!」歓声上がりし程、先のカオスなサルガッソーとは対照的、狭き店内なれど、奇麗に整頓されしレコード棚がずらり並べば、全員脳汁大噴出、



素晴らしき在庫ぶりに、あれこれ発掘叶えば、



店主の奥方と思しき女性が「2階もあるのよ、御覧になる?」この2階が是亦強烈な在庫ぶり、



在庫の9割近くが、新品デッドストックを寝かせしと思われれば、所謂香港ガレージサイケのオリジナル盤さえ、未開封新品状態にて豊富な在庫を誇られ、



香港ガレージを筆頭に、アジアン・サイケのオリジナル盤を標的とされる原盤原理主義者みつるちゃんなんぞ、店主夫婦の術中に嵌められれば、店主が無言にてあれこれレア盤を差し出して来ては、奥方が流暢なセールストークを展開、如何せんこの店主の香港ガレージに対する造詣の深さ尋常ならずして、60年代のガレージバンドのメンバーが、解散後にリリースせしソロ昨品のみならず参加作品まで、これでもかと次々出して来られれば、今や脳汁噴出土石流の如したるみつるちゃん、そもそも欲望の権化の如き性分なれば、今更冷静な判断なんぞし得る筈もなく、結局「香港オリジナル盤」なればこそ、原盤原理主義者の本懐たれと、破産覚悟大散財されしとは云わずもがな、いやはやこの夫婦、何とも商売上手ですなあ。片や、私が購入せしABBA香港限定ベスト盤の中古LPは、僅か50HKD(約550円)也、津山さんが購入されしDeep Purple「Stormbringer」香港盤の中古LPも亦同じ。



斯くして本日の売り上げ、下手すれば凡そ1週間分にすら匹敵せんや、然れば満面の微笑にて御見送り下さる店主之圖。



晩飯にせんと、界隈の飲茶屋へ。小籠包やら海老餃子やら二色焼売やら、あれこれ皆して堪能すれば、思わずビールなんぞ欲すれど、残念乍ら普洱茶しかあらねば、此処は飽くまで「飲茶」堪能すべしと知れ。











何と台風が接近中にして、雲行き怪しくなれば、ホテルへ帰還。ここまで大層御世話になりしRolfとは、亦の再会を誓い、今回は是にて左様なら。
愈々台風接近せしか、雨脚も強くなれば、風の音も窓越しに轟く有様、明日は帰国便搭乗なれば、無事フライトし得るや否や、仮令如何に憂慮すれど、結局は神のみぞ知ると思えば、ホテルの部屋にて、同室の東君共々、界隈のコンビニにてビールとアテを所望、取り敢えずはプチ打ち上げに興じん。



本日も香港は33℃なる酷暑たれど、狭きホテルの部屋にては、何を惜しむかクーラー全開、キンキンに冷えしビール、いと美味し。



斯くして香港の第2夜は、台風襲来と共に更け行きし。