ザキズスタイル

☆★☆★☆★☆★


テーマ:

みたらし団子



みたらし団子みたいなじぃさんだな。

酔っ払って終電を乗り過ごし
仕方なく呼びとめた
タクシーの運転手。

ハゲていて丸顔で
まるで、みたらし団子みたいなじぃさんだった。




「どちらまで行かれます?」

およそ人を騙した事も無いような笑顔で俺に問いかける。



「新井薬師までお願いしゃす♪」

酔っ払った俺を乗せて
ゆっくりとタクシーは動き出した。


普段は人見知りな俺だが
酔っていたせいもあり
このみたらし団子似の運転手に話しかけてみた。



「いや~。うっかり最終電車を乗り過ごしちゃいました」


「あぁ・・・。そうなんですか。でも、そういったお客さん多いですよ」


目尻にしわを寄せた笑顔が
バックミラー越しに見える。



俺はなぜか
この人の良さそうなじぃさんを
困らせてやりたい衝動に駆られた。



・・・数秒考えて



会社で若い子たちが話していた
クイズを思い出した。


よし。このじいさんにクイズを出してみよう☆

(今思えば本当に迷惑な乗客である)



俺の思惑など露知らず
じぃさんは相変わらずの安全運転で
環七を右折した。




「それではここでクイズです!第1問!」




俺は
クイズ番組の
司会者がそうするように
少しだけ声を張った。






「うぇぷいつっ!らっつ!ぷはいっ!?」




じいさんは驚いた(笑)


遠くにライオンを見つけた
ガゼルのように


体を、ビクッ!とさせ
声を裏返して驚いた。


そんなじいさんの驚き方に
逆に驚きながらも(笑)

俺は強引にクイズを進めた。



「第1問。男はマンションの15階に住んでいます。出かける時はエレベーターだけで行けるのに、帰ってくる時は、エレベーターと、途中から階段を使わなければなりません。さて、それはなぜ?」



正解は・・・

 ↓




男は背が低いため、部屋から1階へエレベーターで降りる時は1階のボタンを押せば良いが、帰宅する時に15階のボタンまでは背が届かなくて押せないので、背が届くボタンの階で降りて、そこから上へは階段を使う。



賭けても良い!

絶対、じいさん解らない!!



じいさんの様子をうかがっていると
困ったように何度も首をかしげている。

俺は
どうせ解けない問題を出した時点で満足して
タクシーの車窓から空を見上げた。

月は出ていない。





「若い頃はね・・・」




!?




じいさんが
しぼり出すような小声で話し始めた。






「若い頃は元気だったんですがね。この歳になると足腰が弱っちゃって。へへっ。出来れば階段じゃなくて、エレベーターに乗りたいです」






!!??










これ、さっきのクイズの答え!?


クイズの主人公、

自分にしちゃった!(笑)


斬新!!!

クイズの答えになってねえし!(笑)





まさかの回答に
今度は俺が追いつめられた。



タクシーの車内が
変な空気になってるぞ。



俺はなんて言えばいいんだ?




こんな酔っ払いの戯言に

じいさんなりに
真剣に向き合ってくれた。



迷った挙句


俺は

じいさんと同じくらいの小声で











「正解」




と、呟いた(笑)




しかし、すぐさま
正解ではないだろうと。

そんなクイズ成立しねえよ!と。

ジャッジする己の甘さを痛感した。



じいさんの背中から
なんとなく難問を乗り切った安堵が伝わってきた。





俺は、
もう1問出そうと思った。





だって
1問目の正解は
おまけのおまけ。

予選1回戦負けの野球部が
いつもゴミ拾いしてるのが評価されて
甲子園出場できるくらいの
超特別大サービスだぜ?

勝負は次の問題よ。

今度は容赦しないぞ!
この、みたらし団子めっ!




「それでは第二問!ででんっ!」

「はっ、はい!」




「AさんとBさんの間に赤ちゃんが産まれました。A型でした。BさんとCさんの間に赤ちゃんが産まれました。B型でした。さて、AさんとCさんの間に赤ちゃんが産まれたら何型でしょう?」





正解は

 ↓



Aさんが男だった場合、Bさんは女で、Bさんと子供が出来るCさんは男となり、同姓であるAさんとCさんの間には何型の赤ちゃんも出来ない。




これはちょっと意地悪な問題ですなぁ♪



じいさん、先ほどよりも
多く首をかしげている。

これは解けないだろう。

タクシーを降りる時に
正解を教えてあげようと思っていると




まさかのまさか!





じいさんが、



ゆっくりと口を開いた。






「がんばったんですがね・・・」







「えっ?」









「嫁と二人でがんばったんですがね。わたしも嫁も子供が好きだから。でも、とうとう子供が出来なかった。今は嫁と二人で仲良く暮らしています。へへっ」














おいおいおいおいおいと。

勘弁してくださいよ。と(笑)






まともな回答は期待してなかったけども
初対面の相手に話すには
なかなかディープな思い出を語り出したよね(笑)




いや、きっかけを与えたのは俺だけども。



そもそも俺は、ただ
楽しいクイズをしたかっただけなんすよ。

酔った勢いで調子に乗っただけなんすよ。


それなのに
なんだか悪いこと聞いちゃった的な
罪悪感が津波のように押し寄せてるから(笑)




じじいの
「人生力」の前で
ただの酔っ払いの俺はあまりに無力!





そう、弱いガゼルは
じいさんでは無く
俺の方だったのだ!!!


ガゼルは
最後の力をふりしぼって
小さく呟いたよね。










「あっ、・・・正解っす」






正解の「せい」って言う時
緊張のあまり
ちょっと痰が絡まったもんね。


中学1年の時
ゲーセンで
高校生にかつあげされた時を
思い出したもんね。




失意の中
タクシーが俺のアパートの近くで停車する。


じいさんは最後まで安全運転だった。


金を払い
礼を言ってタクシーを降りる。


夜の向こうへ消えていくタクシー。


テールランプをしばらく見守っていた。



正解って、何なんだろうな。



そんなことを想った俺の目の前を


春でも夏でも無い

五月のぬるい風が横切っていった。






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