弁護士作花知志のブログ

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現在上映されている映画『闇金ウシジマくんpart2』を見る機会がありました。原作はコミック誌『ビックコミックオリジナル』で不定期に連載されており,それを映画化した作品です。



私は同作品を『part1』も拝見しているのですが,作品全体を覆うダークなメッセージは不変です。『ウシジマくん』というユーモラスなタイトルとは裏腹に,とても重く,さらには怖さをも感じる作品となっています。



その「怖さ」とは,「お金」という存在の怖さであり,同時に,その「お金」を手に入れようとする人の心の怖さでもあります。



映画では,「お金」さえあれば幸せになれる,「お金」さえあればこの苦しみから抜け出すことができる,という,人の病んだ心とその心の投影である行動が,次々と描かれていきます。その病んだ心と行動に,法外な利息で金を貸し付ける主人公であるヤミ金融業者の丑嶋が関わるのです。






そのヤミ金業者の丑嶋は,貸したお金の利息を,10日で5割取るのです。それはつまり,仮に100万円を借りると,10日後には150万円を返済しなければならないことを意味します。



もちろん,そのような高利は違法であります。お金を借りたいと考えている人の窮地に乗じる形で高利を求めることは,その借主の人間性を失わせる可能性が高いからです。契約自由の原則に,一定の歯止めがされているのが,金利の問題ということができます。



まず,ヤミ金業者による高利の貸付は,社会の公序良俗に反する,という理由で,契約そのものが無効となります(民法90条)。



では,契約が無効なのだから,ヤミ金業者は借主に貸し渡した元金の返金を求めることができるか,といいますと,それはできないのです(上の丑嶋の例で申しますと,借主は150万円全額を,返さなくてよいのです)。



これは,民法708条が規定する「不法原因給付」といわれる問題でありまして,同条項は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と規定しているのです。



それは,「クリーン・ハンズの原則」という法思想が現れた規定といわれています。他人に請求をする人は,きれいな手でそれを請求しなければならず,汚れた手で請求をしようとする人には,国家(裁判所)は手を貸さない,という意味です。



ヤミ金業者による貸付は,契約そのものが民法90条で公序良俗に違反して無効となり,ヤミ金業者が貸し渡した元金も,民法708条で返還請求ができなくなるのです(最高裁平成20年6月10日判決参照)。



いわば法律で二重にヤミ金を押さえつけようとしていることになるのでありまして,それはまさに,私たちが有する正義感の現れなのです。






本来,私達の社会においてお金は,現在の経済社会の潤滑油としての役割を担う存在です。ある教科書で,とても分かりやすい説明がされていますので,ご紹介いたします。



鈴木祿弥『債権法講義』(創文社,四訂版,2001年)127頁



「個人が生活を営んだりしてゆくためには,種々の財貨が必要で,社会的分業の進んだ今日では,財貨がそれを必要とする個人によって採取ないし製造されることは稀で,他人の所有している財貨を自己のために調達することが不可欠となる。



しかし,かかる他人も,当該財貨を必要とする者と平等の人格を有し,所有する財貨を自己の意思に反して手放すことを強制されることはなく,かつ,かれ自身もまた,自己の所有しない別の財貨の調達を必要としているはずである。



そこで,Aは,Bの所有する財貨①を調達するため,自己が所有し,かつBの調達しようとしている財貨②を供して,Bをして,財貨①を譲渡する意思表示をさせようとする。



かくて,AB間に財貨①と財貨②との交換契約が成立する(民法586条)。



しかし,Aの必要とする財貨①の所有者Bが,Aの所有する財貨②自体を必要とすることは,今日の社会では,まれで,Bはむしろ第三者Cの所有する財貨③を必要とする場合が多い。



そこに,一般的交換手段としての金銭の存在意義があり,Aは,財貨②をDに供してDからα円の金銭をえ,このα円の金銭を財貨①の所有者Bに供して,Bから財貨①をえ,他方,Bは,このα円を供してCから財貨③を調達するという形で,社会的規模での財貨の交換すなわち流通が行われるのである。」






このように,お金とはあくまでも経済社会の潤滑油として生み出された存在であって,それは私達の社会が便利になるための手段にすぎないはずなのです。



ところが現実には,お金とはそのような役割を超えた存在となっており(お金こそが目的となっており),人がお金に振り回され,そしてお金のために人生を棒に振る場合もあるわけです。



ベンジャミン・フランクリン(アメリカの建国期に活躍された政治家)は,「お金は良い召使いであり,かつ,悪い主人でもある。」と言われました。



お金では決して命を買うことはできません。お金をいくら積んでも,生命を生み出すこともできません。




お金はあくまでも手段です。私たちの心こそが目的です。それを違えないように,心をしっかりと持ってください。その心を忘れた時,ヤミ金業者の丑嶋君が現れますよ。



映画『闇金ウシジマくん』は,そんなメッセージが込められた作品のように感じました。ご関心をお持ちの方は,ぜひご覧いただければと思います。

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