岡山市内に,「人と科学の未来館サイピア」という施設があります。恐竜の化石や宇宙開発についての展示がされている,科学館です。



その未来館に,プラネタリウムがあるのです。そして,去る6月29日の土曜日には,そのプラネタリウムでとても興味深い催しが行われたのでした。「英語でプラネタリウムを聞いてみよう~Legend of the Star Festival~」という催しです。



人と科学の未来館サイピアHP/英語でプラネタリウムを聞いてみよう



この催しは,普段は日本語で行われているプラネタリウムの解説を,アメリカからの留学生であるサム・アレンさんが英語で行う,というものなのです。そして,ちょうど七夕の前の時期でもあり,投影される映像と解説は,「七夕の星たち」というテーマのものが選ばれたのでした。



「英語で七夕の星についての解説を耳にしながら,プラネタリウムで天の川の映像を楽しめる」と聞き,さっそく私も行って参りました。



普段は日本語で行われている解説が,耳心地の良い英語となり,美しい天の川をはじめとする夜空の映像とともに,心地良い時間が流れていきます。






この日のプラネタリウムでは,「七夕の星たち」というテーマで映像が映し出されました。





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七夕には,日本各地で,竹に願いを書いた短冊を飾る催しが行われますね。七夕は元々,わし座の牽牛星(アルタイル)とこと座の織女星(ベガ)の二星が,天の川を挟んで年に一度近づくことが物語となったものです。




この天の川にまつわるお話は,『古事記』や『万葉集』にも登場します。さらには,七夕伝説も『万葉集』や『竹取物語』など,多くの作品で描かれています。




日本の七夕伝説は,羽衣伝説と結びついた内容で語り継がれました。天女が地上で水浴びをしている姿を見て,男がその羽衣を隠し,天女は天に帰れなくなります。天女がその男と結婚して子供が生まれたのちに,隠されていた羽衣を見つけ,子供を連れて天に帰ります。天女は男が天に昇ってこれるように,瓜の種を残していき,男はその瓜を植えてつたをつたって天に行きます。ところが男が禁じられていた約束を破ったために瓜が割れ,水が流れてできたのが天の川だ,というものです。天の川に阻まれて男は天女と年に1度,7月7日だけにしか会えなくなったのです。



そのような七夕伝説は,もちろん日本にだけあるのではありません。中国でも,約束を破り真面目に働かなかった夫婦が,父親によって大きな川で引き裂かれてしまい,やはり年に1度だけしか会えないようになった,という伝承が語り継がれています。



ベトナムでも同じような七夕伝説があり,カラスが年に1度空に飛び立ち,二人が会うための橋になる,という言い伝えがあります。



さらに申すと,天の川を英語で「milky way」と言いますね。その言葉は元々天の川にまつわるギリシャ神話から来たものなのです。



そのギリシャ神話とは,次のようなものです。ゼウスは,自分とアルクネメの子であるヘラクレスを不死身にするために,女神ヘラの母乳をヘラクレスに飲ませようとしていました。でも,嫉妬深いヘラは,ヘラクレスを憎んでいたために,母乳を与えようとはしませんでした。



一計を案じたゼウスは,ヘラに眠り薬を飲ませて,ヘラが眠っている間にヘラクレスに母乳を飲ませました。この時,ヘラが目覚め,ヘラクレスが自分の母乳を飲んでいることに驚き,払いのけた際にヘラの母乳が流れだし,これが夜空のミルクの環になった,というものです。









夜空に輝く星々に対して,地球上で暮らすさまざまな国の人々が思いをはせて,それぞれの国の言葉で物語を編み出したのです。言葉や文化は違っていても,その星の輝きに与えられた人々の思い,そしてそれを語り継いできた人々の思いは変わらないのだと思います。



天の川から地球上を見ると,そこには国境線もなく,小さな1つの星である地球上で,言葉や文化は違えども,協力しながら共に暮らす私たちの姿が見えるのかもしれません。



サムさんの英語による解説を耳にしながら,プラネタリウムに映し出される美しい天の川を目にしながら,そんなことを思ったのです。