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『砂に咲く花』(皓星社,2011年)は,香川県まんのう町出身の詩人,古川賢一郎さん(1903-1955)が,亡くなる前年に書かれた作品です。



その作品は,古川さんが詩を教えていた女子少年院「丸亀少女の家」(丸亀市)の少女達を描いたものです。



古川さんは,1954年4月から翌年の4月までの間,毎週土曜日に,丸亀少女の家に出向いて詩を教えたそうです。そしてその経験に基づき,『砂に咲く花』を書かれました。



同作品は,殺人未遂罪で収容された18歳の「まさちゃん」の日記の形をとっています。まさちゃんと施設で親しくなった少女間の友情や,繰り返される脱走など,少年院での日々が描かれる一方で,少女達が作った短歌や詩が織り込まれた作品です。






丸亀少女の家に収容された少女達には,それぞれに犯罪を行ってしまったいきさつがあり,そしてそれぞれに後悔の念があります。それを感じることができる,同作品に掲載された少女の詩を一点,引用させていただきます。



「朝礼の庭に



実科の教室に



学校とはちがった匂いがある



私たちのかなしみの匂い



私たちの罪の匂い」






上述しましたように,古川さんは丸亀少女の家での経験を元に作品を書いたのですが,同書に書かれた数々のエピソードの中でも,私が特に心を打たれた箇所があります。少女の家に収用されている少女達は,低年齢の段階で異性との性交渉の経験がある少女が多いのですが,少女達が実際に作った詩には,恋愛の歌がないそうなのです。



古川さんは同作品の中で,「平均14,15歳で性経験を有し,転落の中で多くの異性に接していながら,恋愛の作品がないということは,彼女たちの不幸の一つだと思いました。不良化の原因が,経済的貧困と共に,正しい愛情の貧困をも物語っているもので,彼女達のため哀しいことであります。」(同所213頁)と書かれています。



作品に描かれているのは,愛し合ったはずの異性と心を通じ合わせることがなく,家族からの愛情も感じることなく育ち,そして犯罪に向かった少女達の姿なのです。






作品に掲載されている少女達の詩から,いくつか引用させていただきたいと思います。



「わびしきとき天に向いて



ぐちこぼす



わが行く道の



けわしきことに」



「共に泣き共に笑える



友だちが



欲しくてならぬ



一人ぽっちぞ我は」






これら少女達の辛い心が映し出された詩の一方で,私たちと同じような日々の生活の喜びを感じていることを伺わせる詩もあります。



「週に二度風呂のある日の



うれしければ



汗にじませて



お掃除をする」






実は古川さんは,丸亀少女の家で詩を教えた後,闘病生活を送られました。そして病院で闘病中の古川さんに,丸亀少女の家の教え子達は,多くの励ましの手紙を送ったのでした。その手紙も本には収められています。


同書は,少年院に入った頃には生きる意味を失い,将来への希望を失っていた少女達が,古川さんと出会い,詩を作る喜び,詩に自分の思いを込める喜びを覚え,生きる希望を見いだしていく過程を感じることができる作品となっています。書店からも取り寄せることができる作品ですので,ご関心をお持ちの方は,是非お読みください。

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