原油相場は4営業日振りに反落です。先週の戻りは$110/bblの大台に大きく及ばず、新規の支援材料も無いまま315億ドルに上った2月の中国の貿易赤字が原油需要の先行きに不安を与えています。

3月13日のNYMEX WTI 原油先物の終値は前日比$1.06安の$106.34/bblで、引け後の時間外取引は$106台半ばです。

中国税関当局によると、2月の同国の原油輸入量は2,364万トンで過去最大になっています。前年比では18.5%増と昨年10月以来の二桁増加です。
工業製品輸出が低調で巨額の貿易赤字を計上する一方での原油輸入増は奇異な感じもしますが、戦略備蓄施設への貯蔵分もかなり含まれているのでしょうね。

中国では2006年から2008年にかけて完成した第1期の備蓄設備に戦略備蓄1億バレルを貯蔵していますが、昨年第3四半期から今年第1四半期にかけて第2期の1億7千万バレルの施設のうち8千万バレル分の設備も完成予定となっています。

中国の1~2月の累計原油輸入量は前年比12.7%増ですが、一方で1~2月の原油処理量は同4%増に留まっていますから、消費が大きく伸びているとは考えにくいですね。

中国の原油需要は現在日量930万バレル程度になっていますから、1億8千万バレルの備蓄が完了しても20日分に満たない数字です。イラン情勢の緊張で供給懸念があるだけに、早期の備蓄引き上げが必要なのでしょう。

そのイラン情勢ですが、新展開がないため足元の原油相場を押し上げる力はありませんが、引き続き下値は支えるものと見られています。

タンカーへの保険契約の困難化で着実にイラン原油の出荷は縮小の方向のようで、シティグループもブレント原油相場の見通しを$125~$130/bblに引き上げています。ただ、シティは昨年8月には$86/bbl、昨年末には$100~$120/bblと予想していたので、あまり当てにはならない数字でしょうが。

2012/03/12
NYMEX WTI Apr $106.34/bbl ( -1.06 )
20日移動平均: $105.34 ( +0.11 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $110.44 / -2σ: $100.25
 幅: $10.19 ( -1.68 ) / 100日平均: $10.70
ボラティリティ
 20.93 ( -0.16 ) / 100日平均: 26.79

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