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債務危機に圧迫される欧州や米国の景気回復の不透明感などを受けて先進国の経済成長見通しは下方修正が相次いでいますが、世界の石油需要については中国をはじめとする新興国の成長に根強い期待が置かれています。

中国は2~3年内の世界の石油需要の伸びの半分近くを担うと期待されていますが、足元の指標はそれほど楽観的ではないことを示しています。

下のグラフは、米国と中国の生産活動と石油需要の前年比の伸びの推移を追ったものです。
米国の鉱工業生産指数の伸びは2010年半ばをピークに頭打ち傾向で、原油処理量も2011年は前年割れが目立ちますね。

油を売る日々-USChina

FRBの言う米国景気は緩やかながら回復を続けているという話は、どこまで信用できるものなのでしょうか。

そして米国は中国の最大の輸出相手国であり、米国の景気動向はやや時間差を置い中国に波及します。
米中の原油処理量の伸びの推移を比較すると、月毎の大きな振れが米国の動きから3か月程度遅れて中国に及んでいることが読み取れます。

米国の原油処理量は2011年8~10月にかけて持ち直していますが、12月は23日までの数値で前年比マイナスとなっています。
中国の原油処理の伸びが11月に持ち直しているのは米国の動きを後追いしているためで、今年の3月頃には再び落ち込むものと思われます。

米国の後追いとは別に、中国の原油処理量の伸び自体が2011年を通じて減速している点も気になります。

石油化学の主力製品でプラスチックや化繊などの原料となるエチレンの生産量の伸びを見ると、2011年の減速が顕著ですね。特に8月から10月は前年比マイナスです。

油を売る日々-Ethylene

世界の工場として電気製品や衣料品などの輸出を拡大してきた中国でプラスチック原料の生産が前年割れというのは、各地で工業地帯がシャッター街になっているという報道を裏付けるものでしょう。

中国の月間輸出額の推移を見ると一見順調に伸びているようですが、2011年の11月の数値は7月を下回っています。
リーマンショックのあった2008年を除いて年末の輸出額は7~9月のピーク期を超えるのが通例ですが、欧州債務危機の深刻化による輸出の伸びの減速が大きく響いているようですね。

油を売る日々-ChinaExports

仮に2012年の中国の石油消費の伸びがゼロ或いはマイナスとなった場合、中国に原材料や産業機械を輸出する日本などへの影響も大きく、日量120~130万バレル程度と予測されている2011年から2012年への世界の石油需要の伸びは半減どころではないのでしょう。

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