2012-02-20 11:42:22

+ 東電OL症候群【佐野 眞一】

テーマ:* 日記。
 最初の半ページを読んで「あれ?」と思った。

 その後も「あれ?」は続いた。山田悠介を読んだ時の感覚に近い。宮部みゆきをを読んだ時、その感覚の10倍希釈を感じるアレだ。

 どうして初っぱなから、この事件と911事件をコッテリと絡めた私説が続くのか。世界貿易センター関連の単語が何度も繰り返されるのか。
「淫靡なネオンサインがきらめくこの町は、戦後のダム建設によって水没した飛騨地方の村の住人たちが東京に移住してつくりあげたものだった。
彼女はダム=電力=東電、ダム=水没=円山町という、現代史の光と影をはらんだ二つの連想の交差点にたたずみ、この謎が解けるものならといてごらん、とでもいうように私を手招きしているかのようだった(P9」
 これらはかなり飛躍した作者の見立てであって、ノンフィクションとしては本全体の信憑性や作家の姿勢を疑われてしまうレベルではないか。
 思い入れの余り「私にとっては実の妹のようなもの」という記述もあり、なんというか距離感がおかしい。
 それに文章や表現が無駄にセクシャルであるのも鬱陶しかった。
 売春婦が性交の後に殺された事件だ・・・・・・セクシャルになるのは仕方ないのだろうが、事実のエロと筆者のエロフィルターの差は読んでいるものにはハッキリと分かる。

 そして「(裁判中に)耳が勃起した(耳を疑った とか耳をそばだてたの意味だろう)P29」で、「ああ、読まなくていいな。この本」と勝手ながら思ってしまった。「今の私にとっては・・・・・・」かも知れないが。
 何だか出がらしのお茶を飲んでいる気分で、もう良い成分はないのに無理に熱湯で量を増して出そうとしてる。調べてみたらこの前に「東電OL殺人事件」というものが一作あり、そちらの評価が高いとのこと。 

 「東電OLシンドローム」なのは、誰よりも作者なんだろうな。
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2012-02-15 23:32:46

+ 秋葉原事件―加藤智大の軌跡 【中島 岳志】

テーマ:* 最近読んだ本。
 秋葉原無差別殺傷事件の加藤被告を子供の頃から事件を起こすまでの家庭環境、友達、職場での振る舞い、ネット上での書き込みなど、とにかく調べ尽くした一冊で、とても興味深かった。

 掲示板で煽られたから抗議のつもりで犯行に及んだとか、作業着がなくなっていたからキレて仕事を辞めたとか・・・・・・それは飽くまで引き金であって、もしその日作業着が無くなっていなかったとしても、ネット上のトラブルがなかったとしても、同じ程度の事で、いつかは犯行が起きただろう。掲示板や作業着に罪はない。そのことを筆者は
 「引き金と弾は別」
 と表現していて、とても的確だと思う。
 加藤という人が、常時弾が装填された状態にあったという事が問題なのだ。

 思っていた加藤像と、この本の中のそれとは少し隔たりがあった。
 丁度社会的にも非正規雇用者の問題が上がっていた時期で、加藤が非正規雇用で弱そうな風貌だった事から、"元ガリ勉、友達も居ない変人弱者が派遣切りに遭って、大量殺人をしでかした"という視点からの報道さえあった。

 でも実はこの加藤は体育会系と言っても良いんじゃないかと思うほど運動神経も良く、どの職場に行っても取りあえず真面目さを評価されて職位を上げていく。
 子供時代の学力は教育ママの賜物としても、運動神経は持って生まれたものだ。少し変わり者ではあったようだが、その後の人生を見ても基本能力の高さが伺われる。


 苛められっ子というわけでもなく、親友も数人、行く先々でそれなりに友達も出来る。この年齢の男性なら十分恵まれている数だ。か弱いオタク青年ならキレても多分ひっそりと自殺して終りだっただろう。行動力が高かったから大量殺人になったってしまったのかも知れない。



 酒鬼薔薇聖斗の親が本を出した時に「これなら仕方ない。彼は家庭環境が異常だったんだ」と言った人が居て、私は全く意味が分からなかったのだが(ごく普通の家庭に思えたのだ)、加藤の家庭環境は分かりやすい。加藤の母は虐待の負の連鎖を解消しきれていない人だった。


 「不満が溜まると直接言葉で相手に伝えるのではなく、不満を持っていることを相手に知らせる為に行動を起こし「アピール」することを繰り返してきたという(p13)。


 これは彼の母によって育てられた社会スキルなのだろうな。
 こちらの言い分を絶対に聞いてくれない人、ごり押しする気満々な人・・・・・・というか関係性は確かにあって、幼い頃からその下だと「自分の意見を言ってみる」「相手を理解する」「相手に理解して貰う」という発想そのものがなくなるのだろう。
 一方的に言う事を聞かせるだけの相手の下では、態度で「アピール」し、発破をかけるしかないのだろう。
 ・・・・・・これって誰もが少しは身に覚えがあるのではないだろうか?


 ただ、加藤のアピールは「伝える手段」から一人歩きしてしまって、意味をなさないものも多い。
 たとえば交通整備のバイトで、トラックが自分の指示に従わなかったからといって「それなら交通整備は要らないだろう」と持ち場を離れてしまう。
 トラック運転手はその場にはもう居ないのから、相手にアピールが伝わる可能性はゼロだ。
 本人でさえ、その「アピール」を伝える手段だとは思っていなかったのではないだろうか。そもそも相手に自分の気持ちが伝わるとさえ、信じていなかったのではないだろうか。


 本の最後の方、犯行の日に近づくにつれ、彼はひとつひとつ関係を、自分の選択肢を、自分で潰していくように見える。
 顔を合わせづらい人が増えて、帰る場所がなくなって、出入り出来ない場所が増えていく。
 そうこうするうちに、多くの「普通の生活をしていたら成長していた筈の部分」が出来てしまい、さぁ普通に生きていこうと思った時、ハードルが上がりすぎて復帰出来なくなってしまっていたんだ。
 どこかで終わりにして、帳尻を合わせたかったのだと思う。



 第二の○○を出さない為に・・・・・・などという動機で、この手の犯罪の手記を読んだ事はない。
 それはとても深い理解が必要で、可能だとは思わないからだ。
 寧ろ表面的な「加藤モドキ狩り」という陰湿な遊びが出来上がってしまったり、潔癖症な人達が歪な世の中を作りそうで。


 加害者の人権を守る会や死刑制度廃止団体の類で、「加害者だって社会の被害者だ」などの主張がある。
 私は短絡的な人間なので、「被害者にだって人権はあったんだよね」と、加害者に制裁を加えたがる方だ。
 でも、なんだろう。
 遊ぶ金欲しさの殺人や、快楽犯罪、見苦しい裁判をする人達に比べて、加藤被告の生きにくさが伝わって、そこまでの憎む気持ちが生まれなかった。

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