◇ジェリー・ウェクスラー自伝、日本版登場~ソウルを創った人物の豊富なエピソード満載 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◇ジェリー・ウェクスラー自伝、日本版登場~ソウルを創った人物の豊富なエピソード満載

【Jerry Wexler’s Bio Japanese Edition Released】

発刊。

「リズム&ブルーズ」という言葉を発明し、現在のブラック・ミュージック、R&Bのシーンを作ることに大きく寄与した音楽プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーの自伝の日本語版が2014年5月31日リリースされた。

私はリズム&ブルースを創った ―― 〈ソウルのゴッドファーザー〉自伝
ジェリー・ウェクスラー デヴィッド・リッツ
みすず書房
売り上げランキング: 38,214


サイズ21 x 14.2 x 3.6 cm、ハードカヴァー、364ページ 約42万字 索引あり 4500円+税(消費税8%で4860円)

この原書はRhythm & The Blues : A Life In American Music (Double Day)で、ジェリー・ウェクスラーに話を聞いたデイヴィッド・リッツがまとめ、1993年に刊行したもの。

ジェリーは1917年生まれなので、刊行当時でもすでに76歳、執筆時は75歳。1940年代後期から約半世紀の「ミュージックマン」としてのキャリアを振り返っている。

ジェリー・ウェクスラーとはどんな人物か、彼が残した業績などは下記のブログ記事にまとめてあるので、ぜひ参照されたい。

レイ・チャールズ、アリーサ・フランクリン、ウィルソン・ピケットら多くのR&Bアーティストを育てあげた名プロデューサー。2014年7月に日本公開予定の映画『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』でも、アーカイブ映像で本人が登場する。マッスル・ショールズが世界的な有名スタジオになったのは、リック・ホールとこのジェリー・ウェクスラーの功績が大きい。

ジェリー・ウェクスラー評伝。彼の訃報記事↓
「R&B」生みの親~ジェリー・ウェクスラー死去(パート1)
2008年08月16日(土)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10127858175.html

ジェリー・ウェクスラーの業績について↓
ジェリー・ウェクスラーの業績
2008年08月17日(日
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10128222006.html

この邦題は、『私はリズム&ブルースを創った ソウルのゴッドファーザー自伝』。

本書は、43章に分かれている。もちろん、1ページ目から読んでいっても、彼の自伝として楽しめるが、1章がそれぞれ独立した形の読み物、コラムとしても読め、つまみ食い的な読み物としても読める。

僕は1993年にアメリカで出たときに原書を入手し、ちょこちょこつまみ食い的に読んでいたが、さすがにすごいヴォリュームなので全編を通して読むまでにはいかなかった。今回、とてもタイミングもよいので改めて日本語で読んでみようと思う。

なにしろ40万字超のへヴィーな作品だが、まさに文章の間から、メロディーが流れてくるような内容だ。これは、昨日紹介した松尾潔本(『松尾潔のメロウな日々』)にも共通する。

音楽やミュージシャンについて書いた本は、やはり、その音楽、曲などが浮かび上がってくる。本を読みながら、そこにでてきた曲を聴く。聴きながら読む。そして、読んだ後に、あらためてその曲を聴くと、その曲がまた違って聴こえてきたりする。それが音楽書の面白いところだ。

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マッスル・ショールズでウィルソン・ピケットのレコーディングをしているときのエピソード。ピケットとジェリーらがスタジオで録音していると、やはり、マッスル・ショールズで「男が女を愛するとき」の大ヒットを放つパーシー・スレッジがひょっこりはいってくる。パーシーが言う。「おお、いいじゃんか、オーティスみたいだぜ」 ピケットが言い返す。「俺は誰みたいでもねえ。俺は俺なんだ」。

それからしばらくするとまたパーシーがやってきた。「おおっ、ここにはオーティスがいるぜ。こんどはちょっとジェームス(・ブラウン)もいるぞ」

ピケットはジェームス・ブラウンと女性のことでもめていて大嫌いだったら、そこで大喧嘩になり、ジェリーが間に入って取り持った。

あるいは、ジェリーがストーンズがマッスル・ショールズに来た時の話、エピソードなど。

それらがそこかしこに出てくる。

1960年代からのR&Bに興味のある人、それからさらに1970年代、ソウル、ロックなどに興味がある方にはおすすめの一冊だ。

この著者、デイヴィッド・リッツは、『レイ・チャールズ物語』、さらに、『マーヴィン・ゲイ物語』を書いた人物。音楽関係者のバイオグラフィーを書かせたらこの人の右に出るものはいないという定評のある人物である。

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■ 映画についてのブログ

映画『マッスル・ショールズ』について

映画日本版予告編

http://youtu.be/uaE6Xf91LBU



この映画予告編には、ウィルソン・ピケットもパーシー・スレッジも、ローリング・ストーンズも登場する。

映画オフィシャル・サイト
http://muscleshoals-movie.com/

映画『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』~南部ソウルの旅への誘い
2014年05月24日(土)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11856958127.html

映画『マッスル・ショールズ』2014年7月日本公開決定
2014年03月10日(月)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11791905171.html

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その他のデイヴィッド・リッツ作品

レイ・チャールズ物語

わが心のジョージア―レイ・チャールズ物語
レイ チャールズ デイヴィッド リッツ
戎光祥出版
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マーヴィン・ゲイ物語

マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル (P‐Vine BOOKs)
デイヴィッド・リッツ
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文字からメロディーが浮かび上がる著作『松尾潔のメロウな日々』

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