吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002


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◎深町純キーボードパーティー第119回~主なきパーティー

【Fukamachi Jun Keyboard Party #119】

追悼。

孤高のピアニスト、深町純さんが2010年11月22日急逝され、27日(土)に予定されていた彼の定例演奏会が、急遽追悼会になった。当日夕方3時すぎ、ツイッターで、イチローさんという方が、僕のブログをお読みになり、映像を持ってきて流していただけないかとつぶやかれた。何度かやりとりをして、急遽、保存している深町映像から10本近くを選んで深町さんの祐天寺のお店「FJ’s」に持っていった。

お店の池田さん、これまでユーストーリームをされていたイチローさんこと鈴木さんと会い、流す映像について話をしたら、そのままそのお話してください、と言われ、結局集まったみなさんの前で深町さんの話と映像の解説をすることになった。

調べてみると、僕は2001年12月からライヴを収録していた。ブログを書き出すのは2002年からだから、それより前だった。ざっと数えて140本くらいあった。その中で、僕の記憶にある印象に残っていたものを選んで、それをお客さんの前で紹介した。

選んだ素材は、次の通り。

M1 2001年12月25日(土)恵比寿アートカフェ・第1部の1曲目。
M2  2007年6月29日(土)第78回、祐天寺FJ’sでの第1回目の1曲目。24分を超える超大作。
M3 2007年4月27日(土)第76回、アートカフェで、急死した深町ライヴの常連のお客さん、ジェームスさんへ捧げて歌った「誕生日」。トーマスさんの英語詩朗読つき。約9分。
M4 2007年10月27日(土)サントリーホール「ブルー・ローズ」での1曲目。約7分半。

この様子は、Ustreem中継され、その模様がアーカイブで残っているので、興味あるかたはどうぞ。
http://www.ustream.tv/recorded/11115523
映像ビデオを見ているところを映して、ユーストしたというのも時代だ。

アートカフェのライヴは、グランド・ピアノなので、今のお店でのCP80とは違う。もう9年前なので、懐かしい。だが、そのピアノのタッチは、今と変わらない。

ビデオなのに、満員のお客さんが、熱心に画面を見つめる。カメラは一台で、たいした動きもないシロートの映像なのでとても恐縮してしまったが、1曲終わるごとに、みなさんから拍手が巻き起こり、僕はそれに感動してしまった。

2曲目は、このFJ’sにおける記念すべき第一回の1曲目の映像。この日は過去118回の中で唯一、1部2部通しでやった日。そこで1曲目を流したが、これが24分もある超大作。終わりそうで終わらない組曲のような作品だ。深町さんは、かつて「(即興演奏も)自分が納得しないとなかなか終われない」と言っていた。それで、ひょっとしたら、こんなに長くなってしまったのかもしれない。

3曲目は、この日のハイライト。深町ピアノ会常連だったジェームス・マクドネルさんが、2006年11月に急逝され、その奥様が2007年4月初めてアートカフェにやってきた。そこで、深町さんが、ジェームスさんが好きだった「誕生日」を彼に捧げて歌った。この日は、同じく常連のトーマスさんの英詩の朗読を間にはさみ、深町さんが歌ったのだが、これが実に感動的で、多くの人の涙を誘った。昨日いらした常連の方からも、「ああ、あった、あった。ジェームス!」という声がかかった。これは、実は僕も何度か見ていて、見るたびに感動してしまう。深町さんが歌い終わったあたりで、一言、「ジェームス!」と声をかけるところが、なんとも言えずに味わい深い。

そのときの詳細↓
2007年04月29日(日)
夢&歌力
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070429.html

4曲目は、2007年10月28日にサントリーホールで行われたコンサートの1曲目。ピアノもスタインウェイ、響きも最高という演奏だ。ビデオについたマイクでも音がいいのだから、現場での音の良さは比較にならない。なお、このサントリー・ブルーローズでの演奏は、僕の友人の撮影チームが5台のカメラで撮影し、音声も、別の機材でデジタル録音している。始まる前に簡単なインタヴューもした。特に編集などはまだされていないのだが、いずれ編集して、みなさんにお披露目できればと思う。

その後、会はしばし歓談ということにあいなった。

このほかに、深町演奏では、彼がボコーダーのようなエレキピアノを弾く「カタストロフィー」、また、一時期、毎月1曲作品を書き、それを楽譜にし、演奏するという企画があり、それらの一連の作品、そのほかに飛び入りでやってきた多くのシンガー、アーティストたちとの即興コラボレーションなどたくさんある。また個人的には、僕の母を恵比寿アートカフェに連れて行き、確か、前月かなにかにリクエストしておいたNHKの「プロジェクトX」のテーマ曲を母のために弾いてくれたことが思い出深い。

今回は特に準備時間もなかったので、さっと思いついただけで、テープを選んできたが、いずれ、また深町さん映像上映会を改めてできればと思う。この日は、深町さんのトーク部分がほとんどなかったので、次回できるときには、おもしろいトーク部分などもお送りできればと思う。FJsの池田さんとも上映会ができればいいですね、という話をしているので、正式に決まったら、改めてご案内いたします。

+++++

告別式で、配られた紙に僕がサントリーホールでのライヴを前に毎日新聞に書いた文章が掲載された。感謝です。毎日新聞のウェッブ・リンクが切れているので、ここにその文章を再掲します。

2007年10月25日付け、毎日新聞夕刊・「楽庫」掲載

二度と同じ演奏はない即興演奏ライヴ

 即興演奏。

それは事前に用意された楽譜などない。リハーサルもない。こういうメロディー、コード進行でという決まりもない。その瞬間に演奏家にひらめいたものが、頭から神経を経て指先に伝わり、その指先がいくつかのキーを弾く。そして、弾かれた鍵盤がピアノの弦を打ち、音をだす。深町純はその即興演奏を行う。それが時にメロディアスに、力強く、あるいは繊細に、しっとりと、あるいはグルーヴ感あふれる。ジャズでもなければクラシックでもない。それは『深町純』というジャンル。

 即興演奏の魔術師、深町純は言う。「即興演奏が主流だった時代がある。モーツァルトなんかいろいろやっていたんだと思う。録音機材がないので、どんなものか(今となっては)わからない。でも彼らが今もし生きていたら、きっと即興演奏をふんだんにやっているだろうと思う。残念ながら最近では即興演奏は廃れて誰もやる人がいなくなった。それはたぶん、音楽が録音されるようになり、商業になったからだと思う」

 即興演奏の哲学者、深町語録は続く。「お客さんがつまらないと感じていたら、(演奏者はそれがよくわかるので)すぐ(僕は)演奏をやめる。逆にお客さんが楽しんでいるとわかれば、延々と演奏を続ける。僕は即興演奏だから、それができる。いわば、音楽っていうのは生きているんです。楽譜に書かれた音楽よりも、もっと生きている。人生そのものより生きてるってことですよ。(笑) だから好きです」

 即興演奏で泣かせるピアニストはこう解説する。「僕は、自分のピアノを聴いて何人かの人が泣いていることを知っています。でも、僕は一度も人を泣かせようと思ってピアノを弾いたことはありません。ちょっと意地悪く言うのは、聴いている人が勝手に泣いている、僕とは関係ない、ということです。だから、涙を流して僕に『深町さん、ありがとう』と言ってくれる人にいつもこう言っています。『それは、あなたにそういう能力があるんです』ってね。つまり僕のピアノを聴いて、何かを心に思い浮かべて、何かを感じて、涙を流せる、それはあなたの能力なんです。僕はそういうことを信じている。それはつまり、音楽の力です」

 彼は普段それほど演奏環境、ピアノについてうるさく言わない。弘法筆を選ばずだ。しかし、今回彼はサントリー・ホールという場所でライヴを行う機会を得て、スタインウェイという「世界3大ピアノ」のひとつを選んだ。即興演奏とは何か、あまりなじみのないものに触れる大変素晴らしい環境であり、いい機会だ。聴く人の能力も試され、そして、音楽の力も感じられる奇跡の一夜になることだろう。(吉岡正晴・音楽評論家)

2007年10月27日(土曜)サントリー・ホール・ブルー・ローズでライヴ

■過去関連記事

2010年11月24日(水)
ピアニスト深町純氏急死
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101124.html

2010年11月25日(木)
ピアニスト 深町純さん急死 (パート2)~これまでに書いたもの一覧
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101125.html
ここに、深町ライヴについて、見たもののほとんど書いてあります。膨大な量ですが、お時間あるとき、ゆっくりごらんください。

ENT>EVENT>Fukamachi, Jun
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