吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために


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◎山下達郎ライヴ2010、39本終演~物質に付加価値を与える「体験」

【Yamashita Tatsuro Live 2010 Closing】

エクスペリエンス。

2008年からツアーに復帰した山下達郎の2010年ツアーが、2010年11月8日(月)青森県八戸の公演で終了した。8月6日神奈川県厚木からスタートし、当初はデビュー35周年にかけて35本だったが、結局追加が出て総計39本のライヴを敢行した。終演にて、ネタバレのお許しが出るということで改めて感想文を。

約3時間半、充実のトークと感動の音楽。それは、CDでは決して得られない「エクスペリエンス(体験)」という至宝。

ステージセットは、アメリカンなカントリー風の小屋が左右に一棟ずつ。その中央に芝生が敷かれ、ミュージシャンたちが立つ。サックスの土岐さんだけ、ピックアップトラックの荷台。主役はジーンズに青いシャツ。

山下達郎の音楽は、第一義にポップ・ミュージックという形態を取るために、一見重いメッセージを伝えないように見えるが、しかし、奥深いところで、普遍的なメッセージが横たわっている。

「平和じゃないと、音楽なんてやってられませんから」山下達郎はコンサート終盤、そう語った。そして、最近の政治屋(せいじや)に苦言を呈した。これはまさに真理で、音楽や芸術などというものは、世の中が平和で余裕がなければゆっくり楽しめない。そして、こうも言った。「私のファンの方は、40代、50代の方が多くなっています。この人たちの中には、今、とても厳しい状況の中に生きている人もいるかと思います。でも、がんばっていきましょう」 ひょっとして、自殺したワーナー社長へのメッセージでもあったのか。

「若いときには、てらいや照れがあって書けない曲も、年を重ねて、書けるようになったりします。この曲をナインティナインの岡村さんと、友人の桑田佳祐さんに捧げます」(「希望という名の光」~「蒼氓」の曲中での語り)

彼が35年以上にもわたって音楽という余裕の芸術をやり続けられてきているのは、彼の頑固一徹のブレない信念が強いためだ。

彼は常々言う。その3大信条。「テレビには出ない」「本は書かない」「武道館はやらない」。今年、ワーナーのお祭りで武道館に初登場した。だが、あれは彼のコンサートではなく、2曲だけの余興ということなのだろう。

しかし、ステージでこう宣言した。「還暦までは、毎年ツアーやっていきますから。それと、ライヴハウスもやります」「ライヴは毎年やってないと、だめなんです」 観客からいっせいに歓声があがる。3時間半の中の、達郎語録だけ集めても示唆に富んだものになる。

彼のライヴを見ていると、ライヴとは、まさにその場、その瞬間にいて感じる「エクスペリエンス(体験)」ということを強く思う。ヴァーチャルではなく、インタラクティヴ。これはCDでは味わえないもので、アーティストと観客とのやりとり、会場の空気感、照明や音響、におい、ステージに見えるセット、そうしたものすべてを含めての「体験」だ。場所と時間と演奏者と観客。これらが一体となり、出来上がる時間と空間。CDをはじめとするデジタルものは、コピーが簡単になればなるほど、その価値は少なくなる。だが、こうしたライヴ体験というものは決してコピーできない。まさに一期一会だ。

12年前翻訳した『未来地球へのメール』(エスター・ダイソン著=1998年)では、「コピーが簡単なものはその価値が低くなる。それに代わって価値が出てくるのがコピーのできない『エクスペリエンス』だ」といった趣旨が語られる。音楽業界におけるライヴ・パフォーマンスというのは、まさに決してコピーができない「エクスペリエンス」。そして、それをしっかりこなせるミュージシャンだけが、21世紀に生き残れる。山下達郎はそうしたことも証明している。

そして、「エクスペリエンス(体験)」には、物質的なもの(たとえばCD音楽)にさらに、付加価値が加わっている。しかも、山下達郎の場合は、極上の「エクスペリエンス」だ。

■ 山下達郎・過去関連記事

2010年11月07日(日)
山下達郎、デビュー35周年ライヴ・ツアー~刻まれ続ける音楽と人生の年輪
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101107.html

今回のツアー、アカペラ・コーナーで語られたハーヴィー・フークエについて↓ 
2010年07月08日(木)
ハーヴィー・フークワ80歳で死去~ムーングロウズのリード・シンガー:マーヴィン・ゲイの育ての親
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10584608240.html

前回ツアー最終日↓

2009年05月12日(火) 12時46分04秒
soulsearchinの投稿
○全身全霊でかけぬけた50本~山下達郎2008-2009ツアー最終日終了
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090512.html

大阪フェスティヴァル・ホール最後の日↓

December 29, 2008
Yamashita Tatsuro @ Osaka Festival Hall Final
【山下達郎~フェスティヴァル・ホール最後の日】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081229.html

May 07, 2008
Yamashita Tatsuro Live At Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎~素晴らしき人生】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090507.html

May 11, 2008
Yamashita Tatsuro Acoustic Mini Live @ Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎・アコースティック・ミニ・ライヴ・セットリスト】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090511.html
(2008年5月アコースティック・ミニ・ライヴ記事)

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■ メンバー 山下達郎2010

山下達郎 (歌、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
土岐英史 (サックス)
小笠原拓海 (ドラムス)
国分友里恵 (バックヴォーカル)
佐々木久美 (バックヴォーカル)
三谷泰弘 (バックヴォーカル)

■セットリスト 山下達郎 NHKホール 2010年11月4日(木)
Setlist : Yamashita Tatsuro, NHK Hall

show started 18:36
00. Intro: 希望という名の光(コーラス・アカペラ)
01. Happy Happy Greeting
02. Sparkle
03. Daydream
04. Donut Song ~ A riff of Iko Iko
05. 僕らの夏の夢
06. Windy Lady (シュガーベイブ・ヴァージョン)
07. 砂の女 [鈴木茂]
08. Solid Slider
09. 潮騒
アカペラ (10-11)
10. Most Of All [Moongrows]
11. I Only Have Eyes For You [Flamingos]
12. O Come All Ye Faithful~
13. クリスマスイブ
14. 希望という名の光~蒼氓~
15. さよなら夏の日
16. 今日はなんだか
17. Let’s Dance Baby ~ 吉岡治メドレー:おもちゃのチャチャチャ~真っ赤な太陽~大阪しぐれ~命くれない~天城越え~北酒場~東京砂漠~津軽海峡冬景色 ~Let’s Dance Baby
18. アトムの子 ~ A riff of ウルトラマンのテーマ ~ アトムの子
19. Loveland Island
Enc. 街物語
Enc. Ride On Time
Enc. Downtown
Enc. いつか
Enc. Your Eyes
CD That’s My Desire [Frankie Laine, The Channels, Dion & The Belmonts etc]
Show ended 22:01

■セットリスト 山下達郎 NHKホール 2010年11月5日
Setlist : Yamashita Tatsuro, NHK Hall

show started 18:35
4日と同じ
show ended 22:00

ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro

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