吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために


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○【全身全霊でかけぬけた50本~山下達郎ツアー最終日終了】

千穐楽。

2008年12月末に大阪に行ってきた後、僕の母親が「大阪に何しにいったの」と聞いてきたので、「山下達郎のコンサートを見に行ってきた」というと、「あら、いいわね、私も見てみたいわ」と言う。そこで、東京での最終公演に母親を連れて行くことになった。どうやら名前は知っていて、「クリスマス・イブ」などの曲も知っているらしい。

「今日、初めて山下達郎のコンサートに来た人、ちょっと手をあげてください」 母親も手を上げる。全体で1割から2割くらいだろうか。それを見て、達郎さん、「それでも、まだこんなにいる…」(会場・爆笑) 「では、今回のツアー、2回目以上の人?」 客電がついたサンプラザの観客の手が一斉にあがる。7~8割、いや9割と言ってもいいだろうか。ほとんどリピーターばかりではないか。(笑)すごい。「番組のほうには、何度もいろいろやったけれど、チケットが取れなかった、なんていう葉書がたくさん来るんですが、みなさん、どうやってチケット取ってるんですか? 親戚縁者の名前、みんな使ってるんですか?」(笑) (発言はいずれも大意)

「今日は千穐楽ということで、予定調和がないかもしれません。(拍手) でも、ツアーですので、セットリストは変わりません。ライヴというのはそういうものです」(きっぱり) 千穐楽ということもあり、達郎さん自身が最初の部分はけっこうナーヴァスになっていたかもしれない。しかし達郎さんはこの日、雄弁だった。よく語った。

セットリストについては、毎回自分がツアーをするときは、新譜アルバムの発売と関連し、そのプロモーションでやるために、新譜からの作品を中心に組んだが、今回は新譜がないので、これまでの自分の好きな曲からベストのものを選んだ、ある意味「ベスト・セットリスト」になった、というような説明をした。それにしても、50本かたくなにセットリストを変えずにやり続けるというところがすごい。ツアーとはそういうものなんだ…。

「でも、最近はインターネットなどで事前にセットリストなどを予習してから来る人もいるようだが、予習なんかしないほうが、いい。ライヴというのは何が(次に)来るかわからないのがいいんです」とも言う。



吉岡正晴のソウル・サーチン

ホームグラウンド。

元々は札幌で終了の予定だった6年ぶりのツアーのちょうど50本目は本当に最後の最後。僕自身は大阪の12月28日以来の鑑賞だ。(その感想文は下記参照) 達郎さんは、1980年5月1日、ここ中野サンプラザのステージに初めて立ったという。以来、彼はここを「自分のホームグラウンド」にすることに決めたそうだ。フェスティヴァル・ホールでのライヴ中に彼は何度も「フェスティヴァル・ホールの(音楽の)神様」と言った。この日も何度か「中野サンプラザの音楽の神様」という言い方をした。ひょっとすると今回がサンプラでの最後になるかもしれない、などということも思ってしまう、とも。それは最近のホール事情がひじょうによくないためだそうだ。このサンプラにも取り壊しの話があるらしい。

また、最近は年になって、という話の中で、森光子さんから10年くらい前にきいた話しとして、「自分が年のことを言っている間は、まだぜんぜん年じゃない。しばらくして年を重ねると、年の話をしなくなる。さらに、年になると、今度は年のことを自慢するようになる」と言われたそうだ。また森さんからは、鼻うがいの方法を習い、それをやって以来、10年以上風邪知らずとのこと。

年の話しの関連で後半には清志郎さんについてもひとことあった。「沖縄でやっているときに、忌野清志郎さんの急逝を知りました。彼とは2つしか違わないので、彼の人生と(自分の人生)がかぶって思えることがあります。この年になると、このライヴがひょっとしたら最後になるのではないか、などといろいろ考えたりすることもある」

こんなことも言った。「このバンド・メンバーはここ20年以上やっている中で一番自分にあってるような気がする。今でも月に何度か新曲のリハーサルなどを続けていて、これで、レパートリーが50曲くらいに増えたら、ライヴハウスでやってみたい。夏フェスみたいのにも出てみたい」 ライヴハウスはイメージがわくが、夏フェスはどうにも想像がつかない。(笑)

「自分は漫才より落語派で、アドリブで何かをポンポンしゃべれるような人間ではない。だけど(落語と一緒で)、いいものは何度聴いてもいいんです」(受ける) 確かにこれだけのリピーターたちは、いいものは何度聴いてもいいんです、というのを強烈に実感していることだろう。

バンドはタイトに、歌声は力強く、山下達郎が空間と時間を完全に支配する。この10人は、まさにひとつの音楽(山下達郎の音楽)を人に聴かせるために、イメージを共有し、完璧に一点に集中しているマグニフィセント10だ。「ライド・オン・タイム」で本編が終った時点で3時間を超えていた。演奏家たちが高いレヴェルで集中しているため、聴き手も集中し、時が経つのがあっという間に感じられる。


感動源。

しかし、これだけの長さのライヴで観客を飽きさせない構成力、歌力、バンド力は圧巻だ。もちろん、声がいい、歌唱・バンド演奏(パフォーマンス)がいい、曲がいい、という基本三原則が堂々とそこに横たわっているが、それ以上にこの4時間という時間が与えてくれる感動の源は何なのだろうか。

彼の語りや歌を見て、聴いて思ったことは、結局それは、山下達郎という人物の音楽に対する圧倒的、本質的な真摯な姿勢と、山下達郎という人間そのものの存在ではないかと思う。このブログのライヴ感想文でもしばしば書いているが、音楽とはそのミュージシャンの等身大の鏡、つまり、そのアーティストの人間そのもの、人間性を映し出すものだ。

そこに汚れ(けがれ)があればそれがシミとなり、悩みがあればそれが曇りとなり、苦しみや悲しみがあれば影となり、喜びがあれば太陽のような光が放たれる。本人もステージで「根が真面目なので、話が講演会みたいになってしまいますが」と話していたが、こと音楽に関して頑固で、誠実で、妥協を許さない、その真剣さが如実に露出され、その「気」が同じように音楽に真摯に向かう多くのファン、観客の胸を、心を打つのだ。全身全霊でライヴ・ツアー50本目のライヴをやっていた山下達郎は、「これ(50本のツアー)ができたので、まだまだ出来そうな気がします」と言った。

マイク・スタンドにしがみつく小さなタンバリン、ウィンドチャイムの前にちょこんと座るゴジラの人形。ドラムセットの前になにげなく置かれたハーシーズ・ショップの板。暗くなったステージでたったひとりになって中央のマイク・スタンドの前に立ち「ユア・アイズ」を歌うとき、彼のところに集中する天井からの5本のスポットライト。「ライド・オン・タイム」でのマイクから離れてのひとり生声歌い。どのシーンも、瞼に焼き付いて残る。 

最後に達郎さんは言った。「音楽で革命は起こせませんけど、人の心を慰めたり、励ましたりすることはできると思います。何かに悩んだりした時には、是非ともまた、山下達郎のライヴにおでかけください」 はい、でかけたいと思います。

アンコール後の「ザッツ・マイ・デザイアー」が終わるまで3時間54分。ノン・ストップ。ときおりオペラグラスでステージを見ていた母親が言った。「最初3時間半って聞いて、長いのねと思ったけど、(終わってみると)あっという間に時間が経った。知らない曲もあったけど、聴き入っちゃったわ」 「鉄腕アトム」やアカペラものが気に入ったようだ。母親は昭和3年8月生まれ。80歳である。

(セットリストは、ついに解禁です。(笑) 達郎さん曰く「これでツアーも終了ですので、後は煮てでも焼いてでもしてください」。)

■ 山下達郎ライヴ 過去関連記事

May 07, 2008
Yamashita Tatsuro Live At Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎~素晴らしき人生】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_05_07.html

May 11, 2008
Yamashita Tatsuro Acoustic Mini Live @ Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎・アコースティック・ミニ・ライヴ・セットリスト】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_05_11.html
(2008年5月アコースティック・ミニ・ライヴ記事)

December 29, 2008
Yamashita Tatsuro @ Osaka Festival Hall Final
【山下達郎~フェスティヴァル・ホール最後の日】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_12_29.html

■ メンバー 山下達郎2008~2009

山下達郎 (歌、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
土岐英史 (サックス)
小笠原拓海 (ドラムス)
国分友里恵 (バックヴォーカル)
佐々木久美 (バックヴォーカル)
三谷泰弘 (バックヴォーカル)
竹内まりや (特別ゲスト)

■セットリスト 山下達郎@中野サンプラザ 2009年5月11日(月)
Setlist : May 11, 2009 Monday @ Nakano Sunplaza

Show started 18:34 
Performance started 18:36
01. Sparkle
02. Jungle Swing
03. Blow
04. Donut Song
05. 夏への扉
06. ついておいで
07. Paper Doll
08. さよなら夏の日
09. Forever Mine
10. バラ色の人生 (ひとりアカペラ~13まで)
11. Chapel Of Dreams
12. Have Yourself A Merry Little Christmas
13. We Wish You A Merry Christmas
14. クリスマス・イブ
15. 蒼氓 ~ People Get Ready ~ A Ray of Hope ~ Blowin’In The Wind ~ 友よ ~ 蒼氓
16. Get Back In Love
17. Bomber
18. Let’s Dance Baby ~ Mean Woman Blues ~ Let’s Dance Baby
19. 高気圧ガール
20. Ride On Time
(Encore)
21. ずっと一緒さ
22. アトムの子 ~ 鉄腕アトムのテーマ ~ アトムの子
23. September (竹内まりや)
24. Downtown
25. Circus Town
26. Last Step
27. Your Eyes
CD That’s My Desire
Show ended 22:28

■ 参考資料 

セットリスト2008年12月28日大阪フェスティヴァル・ホール
アンコール以降が次の通り。

Show started 18:06
1~20は同じ。
(Encore)
21. ずっと一緒さ
22. 人生の扉(竹内まりや)
23. セプテンバー(竹内まりや)
24. アトムの子
25. Downtown
26. Circus Town
27. Last Step
28. Your Eyes
CD That’s My Desire
29. Let It Be Me (with竹内まりや)
CD That’s My Desire
Show ended 21:37

(2009年05月11日月曜、中野サンプラザ=山下達郎・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro
2009-42
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