吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002


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★“Through The Fire” Is Chaka Khan’s Soul Searchin’ Song


【シャカ・カーン(チャカ・カーン)、多くの修羅場をくぐりぬけて】

修羅場。

まさに旋風を巻き起こしている感のあるビルボード・ライヴでのシャカ・カーン(チャカ・カーン)のライヴだが、多くのおなじみのヒット曲の中でイントロが始まるととびきり歓声があがる曲がある。そう、「スルー・ザ・ファイアー」だ。メロディアスな日本人受けするデイヴィッド・フォスター作品だが、これを歌う前に、シャカは、一言二言コメントした。

「今まで、修羅場をくぐってきたことがある人、いる?」 たぶん、バックのバンドが少さく音を流しながら話したために、英語が聞き取れなかったのだろう。彼女の問いかけはあまり伝わらなかった感じはあった。「修羅場」は、もちろん意訳だ。直訳では「あなたは、今まで火の中を通ったことある?」だ。「私は随分と火をくぐりぬけてきた。(修羅場を通ってきたわ)。でも、神様はみんなのことを愛してるのよ」 そして、ギターのイントロへ。その瞬間、客席から大歓声。

シャカ・カーンの歴史は修羅場の連続だったのかもしれない。シカゴの男ばかりのファンク・バンド、ルーファスに入った。1970年代初期、男性バンドに女性1人というのは、珍しかった。シャカはまだ20歳にもなっていなかった。当然、メンバーからは軽くあしらわれ、とてもきちんとリスペクトされてはこなかった。意見を言えば、女のくせに、若いくせに、と言ったことでないがしろにされメンバーとはしばしばぶつかった。そのころ大体音楽業界に限らず、どこでも男性社会だった。

アレサが歌う「リスペクト」(少しは女性に対してリスペクトの念を見せなさいよ、という歌)が、多くの女性のアンセムになったが、シャカにとっても「リスペクト」は希望の星だった。

そんなシャカはリード・シンガーとしてどんどんと力をつけ、人気も高まる。すると今度はそれはそれで、彼女だけにスポットが当たることをメンバーが嫉妬しねたんだりするようになる。やっとの思いでソロ活動を始めるも、その成功にこんどはシャカが入ったほうがレコードが売れるということで、グループへの復帰を望まれる。グループ、ソロ、グループ、ソロと彼女の立ち位置はリヴォルヴィング・ドアのように回り人生は翻弄される。彼女の思うようにはならない。

そうしたことをさせるマネージメントとともうまくいかなかった。子供も設けたが、その父親ともうまくいかなかった。1980年代初期から後期はそんなこともあって、かなり荒れ、酒におぼれることもあった。彼女のライヴ・パフォーマンスは彼女のそのときの精神状態を如実に表すために、ライヴは良いときも、悪いときもあった。図らずも、ライヴは彼女の人生のその瞬間のバロメーターになった。

もちろん、1970年代から1980年代にかけて音楽的には素晴らしい作品を残してきた。アリフ・マーディン、クインシー・ジョーンズら素晴らしきプロデューサーたちの厳しいガイダンスのもと、質の高いアルバムや楽曲が作られた。ファンク・バンドの一シンガーがジャズにも挑戦し、それがまた高い評価を得た。

1990年代に入り、少し状況が変わった。新しいマネージメント、新しいボーイフレンド。一時期彼女は新しいボーイフレンドとともにドイツに移り住んだ。ぎすぎすしたアメリカとは違ったフレンドリーなヨーロッパの空気は彼女に新たな命を与えた。嬉しいニュースも生まれた。40代で「おばあちゃん」になったのだ。

だが皮肉なもので、私生活の安定した充実とは裏腹に、2000年代に入ると、彼女のレコード(CD)作品はメジャー・レーベルからリリースされなくなる。しかし、レコードが出なくとも、彼女はシンガーとしてそれまでになく尊敬され、多くの若手から慕われ、崇められるようになる。が、かつてのようなヒット曲は生まれなくなった。

2004年、再び事件は起きる。息子のダミアン・ホランドが銃で友人を誤って殺してしまいその損害賠償(約130万ドル=約1億3千万円=現在裁判中)の責任を負ってしまったのだ。(だから彼女はたくさん仕事をして、お金を稼がなくてはならないのかもしれない。だから、ギャラが高くて、チケット代が高いのかもしれない(笑))

彼女は過去35年以上、「炎の中をかけぬけて(through the fire)」人生を生きてきたのだ。シャカは、多くの修羅場をくぐり抜け、嫌なこともたくさん我慢し、自身が成長し、なぜ自分にこんな不幸が起こるのか自問自答し、日々ソウル・サーチンし、今、今日の日を迎えている。

だから、彼女がこの「スルー・ザ・ファイアー」を歌うとき、そこに彼女が自身の人生を投影し、ありったけの魂を込めて歌ったとしてもなんらおかしくない。ときにはこれを歌いながら、自身の人生における修羅場の一場面が走馬灯して涙する瞬間もあるかもしれない。この曲が1984年にレコーディングされたときから、すでに24年が経っている。2008年ライヴで聴く「スルー・ザ・ファイアー」は、CDからわれわれが聞ける「スルー・ザ・ファイアー」よりも24年の重みが加わっているのだ。だから、シャカのかつてのオウラの何倍もの強力なオウラが今そこで見事な光を放つのである。そして、会場でこの強力なオウラに満ち溢れた「スルー・ザ・ファイアー」が歌われると、観客に歓喜にも似た涙が訳もなくあふれ出るわけだ。

彼女は「スルー・ザ・ファイアー」の後半で「ハレル~~ヤ」「アイ・サンキュー」と声を張り上げる。これもまさにゴスペルだ。

「限界の限界まで火をくぐりぬけて、
あなたとともに生きることに賭けるわ
あらゆるリスクを負いましょう
何が起ころうと、何がどうなろうと
あなたを愛するためなら、
どこまでも行くわ
最後の最後までどんな火の中でもかけ抜けていくわ」
(「スルー・ザ・ファイアー」)

火を駈け抜けて、素晴らしき人生を進め、シャカ・カーン!
火を駈け抜けて、素晴らしき人生を切り開け、シャカ・カーン!
火を駈け抜けて、素晴らしき人生に火を灯せ、シャカ・カーン!

■ 「スルー・ザ・ファイアー」収録の『フィール・フォー・ユー』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HGC1/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 関連記事

June 03, 2008
Chaka Khan Live @ Hi Energy Performance
http://blog.soulsearchin.com/archives/002552.html
2008年6月2日(月)ビルボード・ライヴのライヴ評

2003/10/11 (Sat)
Chaka Khan Live @ Budoukan: One & Only Voice Still Shines
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/diary20031011.html
(前回来日ライヴ評)

+++++

Through The Fire (written by David Foster, Tom Keane and Cynthia Weil)

I look in your eyes and I can see
We’ve loved so dangerously
You’re not trusting your heart to anyone
You tell me you’re gonna play it smart
We’re through before we start
But I believe that we’ve only just begun

When it’s this good, there’s no saying no
I want you so, I’m ready to go

Chorus:

Through the fire
To the limit, to the wall
For a chance to be with you
I’d gladly risk it all
Through the fire
Through whatever, come what may
For a chance at loving you
I’d take it all the way
Right down to the wire
Even through the fire

I know you’re afraid of what you feel
You still need time to heal
And I can help if you’ll only let me try
You touch me and something in me knew
What I could have with you
Well I’m not ready to kiss that dream goodbye

When it’s this sweet, there’s no saying no
I need you so, I’m ready to go

Chorus

Through the test of time

Chorus

Through the fire, to the limit
Through the fire, through whatever
Through the fire, to the limit
Through the fire, through whatever

+++++

ENT>MUSIC>LIVE>Khan, Chaka
ENT>MUSIC>ARTIST>Khan, Chaka
ENT>MUSIC>SONG>Through The Fire
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