「アメリカにはびこる不正選挙」の衝撃レポート 
 大統領戦は大丈夫か?

ゼロから学ぶ・不思議の国アメリカ
ジャーナリスト・長田美穂のシアトル通信
http://www.news-r.jp/column/column_list.php?cat=7


アメリカの投票システムは操作されている話というのは、あのアホ面の子ブッシュの時に言われたことだが、その仕組みの詳細については知らなかった。

電子投票システムの危険性は中南米の問題に触れた際にも、南米の国民の多くは、アメリカの電子投票は操作されているというのが共通認識、というような話を聞いたような覚えがあるが、

と思ったら、下記、長田さんの記事はメキシコの市民運動家でもある作家のビクトリア・コリアーさんが執筆した記事、ということだから、記憶はあながち間違ってなかった。

ということで、とにかく分かりやすくかつ詳細な内容、非常に重要なので必読である。これまで日本でも、不正選挙の疑惑は幾度となく起こっていることを念頭に読むとリアルである。

ゼロから学ぶ・不思議の国アメリカジャーナリスト

・長田美穂のシアトル通信 No.11
「アメリカにはびこる不正選挙」の衝撃レポートを読む--大統領戦は大丈夫か?
(上)http://www.news-r.jp/column/column_disp.php?id=8549&cat=7


(一部省略)2000年、共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアが、接戦の末、票の数えなしをゴアが要求するといった大紛糾の末、ブッシュが勝利した。

投票用紙のパンチカードの穴の空き方がおかしいとか、日本では考えられない実態が明かされ驚かされたのは、記憶にあたらしい。
 
そんな中、「いかに選挙で不正をするか--国を赤く塗り変えようとする共和党」と題した記事が、月刊誌「ハーパーズ・マガジン」の11月号に掲載された。
 
「赤」とはアメリカでは保守派、共和党支持のことを指す。
 青は民主党、リベラルだ。
 
筆者のビクトリア・コリアーさんはメキシコ在住の作家。選挙の透明性を求める市民活動家でもある。この筆者が調べ挙げたアメリカの選挙不正疑惑のレポートの内容は、すさまじい。

日本は、まかり間違ってもこういう事態にならないで欲しいとの願いを込めて、その内容を紹介したい。
 
筆者によると、アメリカの選挙不正は構造的に、継続的に、80年代から続いてきた。選挙不正、と以下でも書くが、正確には、きわめて黒に近い灰色レベルの疑惑だ。
 
疑惑を暴こうとした人は何人もいた。連邦政府の一部門が、メスを入れようとさえした。
 
しかし、反骨の弁護士が裁判をおこしたものの、予定していた証言者が突然、飛行機で墜落死するなど、小説のような事態まで引き起こしながら、かろうじて「疑惑」のレベルにとどまっている。
 
コリアーさんの趣旨を、ざっくりまとめると、次のようになる。
 
アメリカでは、2000年の大統領戦紛糾をうけて、障害者や高齢者など、だれもが投票しやすい投票システムを開発すべし、とのプロジェクトが始まった。

02年のことだ。
提唱者のジョージ・W・ブッシュ大統領は、投票システムを改善する州に補助金を出すといったため、各州は、コンピューター投票システムを導入した。
 
ところが、アメリカの投票コンピューターシステムは、共和党とつながりの深い、若干の私企業によって開発を牛耳られている。

そして彼らの開発したシステム自体が、きわめて脆弱なものであり、ちょっとした知識があればはっキング可能なものだった。
 
投票方法には、紙でする方法と、コンピューター画面をタッチして投票する方法がある。票よみには、選挙管理委員会の監督のもと、手で数える方法と、コンピューター集計がある。
 
選挙不正を追求するNPOの調査では、コンピューターを導入した選挙区では、共和党候補が優勢になるという傾向があるという。

ではレポートで記されている具体例を紹介しよう。
コンピューター投票システム開発を握っているのは、主に2社。

その1つは、ボブとトッド・ユロセビッチという兄弟が1979年にネブラスカ州で創設した会社だ。その会社ES&Sは、企業買収を繰り返しながら、いまも、アメリカの投票システムの開発を握っている。
 
彼らのお膝元、ネブラスカ州ではこんなことがあった。

96年の選挙で上院議員に当選した共和党のチャック・ヘーゲルは、立候補表明の2週間前まで、ES&Sの会長だった。候補表明後は会長職は退いたものの、同社の親会社の大株主ではあり続けた。
 
開票3日前までの世論調査では、へーゲルと民主党の現職候補の支持率はともに47%と拮抗していた。ギャロップ誌も「結果は読めない」と言っていた。
 
しかし開票結果は、15%もの大差でへーゲルの勝利だった。
 
02年の選挙では、民主党から出馬したチャーリー・マツルカに対して、へーゲルは83%もの票を獲得、歴史的大勝をおさめた。
 
しかしである。
ネブラスカ州では民主党員は40万人もの登録があるのに、
マツルカが獲得したのはわずか7万票。

マツルカは建設労働者で、資金も知名度も低い。

それにしても、あまりにおかしいと、
マツルカは上院倫理委員会に調査を要求した。
 
ところが倫理委員会は要求を拒否。

マツルカが手で票を数え直してほしいと要求したら、州法は「票の再集計は、初回と同じ機械を使って行わなければならない」と定めているという。
 
同じ機械を使う、とはすなわちES&Sの投票用紙スキャナーを使う、ということ。全く、マツルカにとっては意味がない。
 
要するに、ネブラスカ州では、選挙投票コンピュータ会社の元会長が上院議員になり、その会社のコンピューターを使って投票・集計していた。

「おかしい」と対抗馬が声を上げても、「その会社のコンピューターしか使えない」と突き返された、というはなし。
 
けれども、一上院の議席を巡る疑惑なら、まだ「ネブラスカの問題」だと片づけられるかもしれない。

しかし話はさらに広がる。

(中)http://www.news-r.jp/column/column_disp.php?id=8555&cat=7>
 
前回の続きで、アメリカの選挙不正疑惑についてのレポート(ハーパーズ・マガジン11月号、ヴィクトリア・コリアー氏著)の内容を紹介する。
 
アメリカの選挙の投票・集計コンピューター大手2社のうち、最大手ES&S社製品が使われた、同社のお膝元ネブラスカ州での選挙不正疑惑の話を、前回、紹介した。
 
第二位のドミニオン社にも、著者コリアー氏のレポートによると、きな臭い事実が挙がっている。

ドミニオン社の誕生の経緯は、複雑だ。
その前身は、Swing Stateとして有名な
オハイオ州に居を置くディーボールド社だった。

ディーボールド社のCEOは、ジョージ・W・ブッシュ大統領のトップ・ファンドレーザーだった人物。そのCEOは2003年、大統領戦の前年に、オハイオの票をブッシュに「届ける(deliver)」と公言、世を驚かせた。
 
カリフォルニア州はディーボールド社のタッチスクリーン投票システムの使用を禁止。カリフォルニア州のケビン・シェリー州務長官は、ディーボールド社を「詐欺的」と批判した。

当該のCEOは05年、
ディーボールド社に対して起こされた
集団訴訟の直前に、職務を辞任した。
 
非難轟々のディーボールド社は、その後、選挙システム部門の名前をプリミア・エレクション・ソルーションズと変えた。

そして09年、プリミア部門を業界第一位のES&Sに売却した。
 
ここで、前回紹介したES&Sの創始者、ユロセビッチ兄弟が登場する。兄のボブは、02年に、ES&Sからディーボールドへ「逃亡」していた。弟のトッドはES&Sに残っていた。 
 
ディーボールドによるES&Sへの選挙システム売却は、まるで兄弟間でのやりとりのよう。おまけにES&Sへの集中が進む。
 
そこで司法省が介入し、プリミアは、ES&Sと別の大手ドミニオンとで分割所有することになった。 
 
そしてその一ヶ月後、ドミニオンは、別の選挙システム大手Sequoia社を買収した。こうして、ES&Sとドミニオンが、選挙システムの大手2社となった。
 
ユロセビッチ兄弟の兄ボブは、ウェブを使った投票技術を開発するスペイン系企業のアメリカ支社役員になり、選挙システムに関わっているという。
 
この大統領戦では、ES&Sの投票システムが20州、2600万人の有権者に使われる予定だ。ドミニオン傘下のSequoiaのシステムは4州、900万人によって使用される。
 
国家の基幹をなす選挙システムが、このような形で私企業に牛耳られていてよいのかと、レポートの筆者は疑問を呈している。
 
さらに筆者が問題視するのは、この2企業の開発する選挙システムの安全性がきわめて脆弱だと、これまでに指摘されてきた経緯があることだ。
 
議会の超党派グループ、ジョンズ・ホプキンス大やプリンストン大などの研究者グループなど、公私にわたるいくつもの団体・組織が、ディーボールド社のシステムが、簡単にハッキングできると警告してきた。

2011年11月には、連邦政府の一部門、エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所のグループが、ディーボールド社製の旧型タッチスクリーン投票システムAccuvoteは、26ドルの部品と中学生なみの知識があれば、選挙結果を操作できるものだった、と調査報告した。
 
ちなみに今回の選挙で使われるのは、ES&Sに売却された後、新型になったAccuvote-TSXだ。
 
アルゴンヌ国立研究所は、Sequoiaのシステムもまた、
簡単にハッキングできるものだとレポートした。
 
しかし2社とも、アルゴンヌ研究所の調査報告は無視。
 
Sequoiaについては、企業の姿勢を疑問視する声もあがっている。07年に、有名テレビキャスター、ダン・ラザーによる同社の元従業員の内部告発証言を報じた。

2000年のゴア・ブッシュ大統領戦で、民主党優位だとみられていたフロリダ州のパーム・ビーチ郡の投票用紙パンチカードに、誤配列をほどこせと会社で指示された、という衝撃的なものだった。
 
次回は、なぜこのような事態が放置されているのかについて、
レポート筆者の分析を紹介したい。

(下)http://www.news-r.jp/column/column_disp.php?id=8558&cat=7 

(省略)選挙不正疑惑を描くこの記事の圧巻は、2004年の大統領線における、共和党ブッシュ大統領vs民主党のジョン・ケリーのオハイオ州での戦いだ。
 
オハイオ州は、両党の支持者が入り交じっていて、選挙の行く末を決する最大のSwing Stateの一つ。

そしてここは、共和党との関わりが強い、選挙投票・開票マシンの大手、ディーボールド社のお膝元である。
 
ディーボールドの黒い噂は、2年前、02年の上院戦でもあがっていた。

ディーボールド社の関係者が、創業者ボブ・ユロセビッチの指示で、ジョージア州の投票マシンにソフトウェアのパッチを施せ、と言われた、と暴露した。
 
そのパッチの名目は「時計システムの修理」だったが、実際はそうではなかったこと、州や郡の人間には口外が禁止されたこと、そしてボブのような上層部の人間から、パッチについて指示がくるなど通常ありえない、と内部告発者はローリングストーン誌に語った。
 
はたして、ジョージア州は共和党候補が勝利した。
さて大統領戦を鍵をにぎるオハイオ州では、04年、なにが起きたか。
 
タッチスクリーンの画面が、「ケリー」を押そうとしたら「ブッシュ」に飛ぶ。手で集計するある地域では、突然、集計作業が変更になり、非公開、監視なしで開票が行われたーー。
等々の、異常事態が多数、報告された。
 
この事態については、下院議員のジョン・コニャースらが、調査報告書「民主主義を守るーーオハイオはなにを誤ったのか」にまとめ、問題視した。
 
しかしこの報告書にさえ、触れられていない事実があると、筆者のコリアー氏は記す。ブッシュ陣営に雇われた、ITストラテジストのマイケル・コネルの役割だ。

コネルはブッシュ大統領の腹心、カール・ローブら共和党上層部からウェブサイト構築などの仕事を請け負ってきた。選挙時には、開票サイトのミラーサイトを作れ、と命じられていた。
 
しかしそのコーネルは、後に、不審死することになる。
 
選挙から4年後の08年、オハイオ州の弁護士が、カール・ローブが一連のコンピューターによる選挙不正を立案した疑いがあるとして、ローブに対して裁判を起こした。
 
そして不正疑惑の鍵をにぎるのはコネルとみて、弁護士は、コネルを尋問したいと考えていた。
 
ところがコネルは、ワシントンDCからオハイオへ向かう途上、自分で操縦する飛行機で墜落死したのだった。
 
オハイオ州の結果は、出口調査ではケリーが優位だったが、集計結果はブッシュだった。
 
出口調査では67%がケリー支持だったが、
ふたを開けると38%の得票だった、という地区さえあった。

出口調査と実際の結果のかい離がここまで大きくなるのは、
統計的には8億6720万分の1の確率なのだという。

さてなぜこのようなことが放置されているのか、素朴に疑問に思う。
 
一言でいうと、民主党、そしてメディアも、「陰謀説」を信じている人間だというレッテルを貼られたがらず、この問題を直視しようとしないのだと筆者はいう。
 
ニューヨーク大学で、共和党の選挙不正疑惑を研究してきたマーク・クリスピン・ミラー教授は、著書「Fooled Again Loser Take」を出版した際の、メディアの反応をこう筆者に語っている。

--大手メディアはどこもインタビューに来なかった。
左翼メディアには敵対視された、と。

バーモント州の元上院議員、ベン・プラシュニックは、
コリアー氏のインタビューに答えてこういった。

「民主党議員や候補者にとっては、アメリカの民主主義の清廉さに疑問を呈するようなことを、公に口にするのは、政治的自殺行為に等しい。

ほとんど誰も、この問題と戦おうとしてこなかった。でも証拠は山積している。民主党は目を覚まして、問題を直視しなければ、このままでは共和党帝国になってしまう」
 
来るべき大統領選では、オハイオ州は、
いや全米はどう結果を出すのだろうか。