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生きていると、いろんなことがある。うれしいとき、悲しいとき、楽しいとき、辛いとき、、、

人間は様々な経験によって成長するんだと思う。机に向かって勉強していることで知識は得られるかもしれないけど、本当にそれがどういう意味を持っているのかは経験してみないと実際のところはわからない。痛い思いをして、初めて気づくこともあるし、一生懸命に頑張って、ようやく1つのことを成し遂げたときに、みんなから感謝されることだってある。

LIFE IS BEAUTIFUL

そういう風に言えるように、今日も僕は生きてます。

とあるラーメン屋の話しーマスター篇

テーマ:雑感
February 09, 2010
都内に小さな店を構えて、もう15年以上が経った。バブルがはじけた90年代前半に、会社から一方的にクビを宣告され、一念発起で始めたラーメン屋。大繁盛とまではいかないまでも、何とかこうして細々とやっていけているのだから、成功したといっていいのだろう。そもそも、こうして家族と一緒に生きていられることだけでも、十分成功したと言える。

俺の同僚で、バブル崩壊で一緒にクビになったやつは、その後働き口が見つからず、多額の借金を背負って、家族もろともどこかへ消えてしまった。もはや生きているのか死んでいるのかさえ、確認することはできない。また、会社の先輩は、会社を辞めて事業を興したが、景気が回復せずに、顧客を増やすことができずに、倒産。借金が10億だか、100億だかわからないが、とても払えそうにない額になったそうだ。闇金融にも手を出したらしく、もう後がなくなったのか、事業を興した翌年の年末、ちょうどその日は都心で雪もちらつくほどの寒さだったが、アパートで自殺したと聞いた。

こうして、多少の貧乏とはいえ、家族で何とか食べていけるだけでも自分は本当に幸せだったと今でも思う。自分は、昔から料理が得意で、暇さえあれば熱心に料理研究をしていたことが、こんなかたちで活かされるとは思わなかった。人生、何が起こるか全くわからない。


今日も、あと残り1杯ぐらいで終わりだ。時計をみると、すでに23時を回っていた。

俺は、残りのスープを確認し、最後の客を待っていた。

そこに、若い男が入ってきた。年は、おそらく20代前半ぐらいで、社会人になったばかりという感じだった。ちょっとイライラしている感じだったが、俺は、黙っていつものようにラーメンを作った。

若い男は、携帯をいじっている。何をそんなにいじることがあるのか俺にはわからないが、別に面白そうにやっているわけでもなく、ただ、なんとなくいじっているようにみえた。

「はい、ラーメン。今日最後だから、ありがたく食えよ。」

俺は、なるべく明るく元気よく言って見せた。なんか、若いのにめちゃくちゃ暗い雰囲気が俺にはすごく嫌だったから。俺が、同じ年ぐらいだった時は、もう少し希望に満ち溢れて、楽しくやってたような気がする。ちょうど今の奥さんと出会ったのも、このくらいの年だったし、毎日がとても楽しい日々だったことを思い出した。

「結構、遅くまで働いてるんだな、若いの?」

俺は、余計なお世話かもしれないが、なんか元気のないこいつをみていると、話しかけずにはいられなかった。

「そうですね、最近忙しくて。だいたい22時ぐらいまではやってますね。」

22時か、サラリーマンだった俺も22時なんて当たり前のように働いていた。残業なんて当たり前。かといって、残業代なんてちゃんと出ていたかどうかなんてわからない。でも、とにかく働いた。でも、今考えると、なぜ、自分はあそこまで頑張れたのか不思議に思うことがある。まだ、あの時は家庭を持っていたわけじゃないし、それほど仕事をしなければならないような環境ではなかった。ただ、今の奥さんと出会ったときに7歳の子供がいて、結婚する際にいろいろとあった。その気を紛らわすために仕事に集中したってこともあった。

俺は、少し考え込んでしまった。ただ、沈黙も苦手なので、適当に話すことにした。

「今日のラーメンは、いつもより味がちょっと違うんだが、わかるか?」

「う~ん、、、」

やっぱわからないか、そりゃ、そうだよな。毎回、味が微妙に変わってるんだから。日々、進化しているっていうのかな。昨日よりも今日のラーメンのほうがおいしくなきゃおかしい。今日よりも明日のラーメンのほうが、よりおいしくなければならない。俺は、常にそういうポリシーでやってるから、同じラーメンは二度と出さない。味が不安定だとお客さんに言われたが、全然お構いなし。でも、そういう姿勢を支持してくれるお客さんもいることは事実。とにかくおいしければいいんだ。うん。

「まぁ、おいしければそれでいい。」

自分で振っておいて、こんなこと言うなんて全く自分勝手だ。俺は、思わず笑ってしまって、気恥ずかしくなって、店の時計をじっとみて気を紛らわせた。それにしても、ホントこいつ大丈夫か?なんかあんまり深入りするとかえって面倒なことになりそうだから、立ち入るのはまずいけど、なんかもう少し楽しい顔できないものかなぁ。ラーメンぐらい、眉間にしわ寄せて食うのはやめてくれよな。

俺は、辛いときに辛い顔している奴があまり好きじゃない。かといって辛いときに笑顔なやつは変態だ。そうじゃなくて、辛くてもそれに向かっていって、必死で乗り越えようとするやつが好きだ。辛くたって歯を食いしばって何とか突破していく、そういうバイタリティある人間に自分もなろうと今までやってきた。しかし、だんだんそんな昭和な人間は少なくなってきたのかもしれない。お客さんの中でもめっきりそういう人がいなくなってしまった。

ラーメンを食べ終わって、また携帯をいじっている。ったく、携帯と何時間おしゃべりすりゃ気が済むんだい、坊っちゃん。

「お茶飲むか?」

あんまり暗い奴だから、ちょっと喜ばせてやろう。なあに、ちょっとした手品みたいなものさ。

俺は、寿司屋にあるでかい湯呑みを取り出し、その中に熱いお茶を注いだ。そして、ちょっとだけあるものを加えて俺の目の前にいる暗くて、人生に絶望している若者に渡した。

「あっ、茶柱!」

そいつは、叫んだ。

「おっ、ラッキーだな。なんかいいことあるかもしれないな。」

「そうですね、そうであるといいですけど。」

おいおい、「けど」ってなんだ!あるに決まってんだろ。

「いいことあるに決まってんだろ、昔から茶柱ってのは縁起がいいもんだって言うじゃねえか。」

「はぁ。」

えっ、なんでそんなリアクションなの??俺は、これが世代間の価値観の差なのかと改めて認識させられた。普通、茶柱が立ったらもう少しリアクションするもんじゃないか。これって、俺の偏見なのか。いや、そもそもこいつちょっと疲れてんじゃないのか。

「なんか、疲れてんじゃねえか、お前さん。」

思わず、心で思っていたことが口をついて言ってしまった。

「疲れてる、確かに疲れてますね。もう、自分が疲れているのかどうかさえもわからなくなってきました。毎日、仕事して、家に帰って、寝て、また朝が来て、会社 に行って仕事をして、家に帰って、寝る。この繰り返しです。たまにある休みも上司から電話がかかってくる有様ですから、ゆっくり休んだことななてありませ んよ。」

「なんか、聞いているとあんまり楽しそうじゃねえな。」

「そうですね、楽しくないですね。ただ、今の僕の選択肢の中には、これしかないんです。他にあれば、そっちにいきますよ。」

青いな、若者よ。ただ、こいつもこいつなりにいろいろ悩んでるんだろうな。俺にはよくわからんが、俺の若い時とは全く時代が違うし、要求されているレベルも違うんだろうな。自分で自分を苦しめている。これだけは確かな気がするが。

「まぁ、他に何があるのかわからないけどな。わからないから、選択肢がないってことか。でもよ、その選択肢を狭めているのは、自分だってことも確かだよな。違うか?」

俺は、考えながら言葉を慎重に選びながら言った。

「この道を選んでしまったのは、自分ですから、楽しくない道を選んでしまったのは自分のせいってことは、わかるんです。だから、ほかの人の責任ではない。ただ、自分で選んで自分自身に不満を言っている。それだけです。」

「辛いな。わかもの、そういう生き方はカッコ悪いんじゃねえか。お前さん、ほかにやりたいこととかねえのか?なんか目標とかそういうのは??」

「さぁ、何がしたいのか、自分でもよくわかりませんよ。夢とかそういうのはないんです。ただ、毎日を平穏無事に生きていければ、それでいいって感じかな。」

「それって、今流行りの草食系ってやつか?俺の息子もちょうど今年社会人になったばかりでな。なんかうちの家内が『あの子は草食系なんだから』とか言ってたが。」

「さぁ、どうなんでしょうね。草食っていうよりも、僕の場合は、植物系じゃないですか?ただ、懸命に生きる。そこに夢があるのかないのかなんて、どうでもいい。ただ、生きて、そして死ぬ。」

「植物系とは初めて聞いたな。そんあ植物系のサラリーマンに出会えるとは、面白いね。ラーメン屋の店主やってるといろんな人間に出会えるけれど、植物系は初めてだな。」

植物系なんて、ただ生きているだけってことか。なんかうまいこと言う奴だな。なるほど、植物系ね。俺は妙に納得してしまった。ただ、夢がないこの若者に対して、自分は何も言ってやれなかった。夢とは、誰かに与えられるものじゃないし、自分で見つけるものだから、変に「夢だ、希望だ」といったところで何の意味もない。でも、そうだったとしても、何か言ってやりたかった。どうして、そういう気持ちになったのか俺にもわからない。おそらく、自分に子供がいるからかもしれない。自分の子供が今、目の前にいる若者のようになってしまったら、どうしよう。父親として、なんて言葉をかけてやれるんだろう。

若者は、テーブルに600円を置き、コートを羽織った。店の扉まで言った時、ふと思い出したように俺は言った。、

「頑張れよ。別に植物系だろうが、なんだろうが、お前がやりたいようにやれることが一番いいんだから。他人に振り回されるなよ。」

たぶん、父親としてどう言ったらいいのか考えて出した、自然な言葉がそれだった。自分のやりたいようにしろ、夢がなくたって、自分のやりたいことが何であれ、自分の思うようにやることが一番いいんだ。他人の考えに振り回されて、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、そんな振り回される人生は絶対に幸せにならない。他人なんてのは、案外無責任なんだから。

「ありがとう。」

若者はそう呟いて店を出て行った。

一杯のラーメン。

若者は、何を思ったのだろう。俺は、そんなことを考え、店を後にした。

                                                        ラーメン屋 終わり
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とあるラーメン屋の話し

テーマ:雑感
February 01, 2010
都会の雑踏から少し離れた小さな路地に一軒のラーメン屋があった。だれに知られることもなく、ひっそりとしたその 佇まいからは、思わずここが都会であることを忘れさせてくる。静かで、ちょっとレトロな昭和の匂いが感じられる、なんだか懐かしい思い出に浸ることができる貴重な場所。

僕は、時々、仕事終わりにそのラーメン屋に立ち寄った。店は、マスターとお客が2~3名ほどで、みな黙々とラーメンを食べて家路についた。騒ぐ客もいなければ、大声で話す客もいない。みんな、このお店の雰囲気を楽しみ、自分の世界に浸り、自分自身と会話する。

とある日に行った時には、僕1人だった。時間は夜の23時。店じまいまであと1時間ほどだったが、ちょうどスープが1人分しかなかったとのことで、その日は僕が最後の客になった。この店には、一杯600円の醤油ラーメンしかない。しかも、客の要望を一切聞かない珍しい昔ながらの頑固親父のラーメンだった。油少なめとか、麺を固めにとか、そういうサービスは全くない。全てはマスターの気持ちしだい。

僕が席につくと、マスターはいつものように麺をゆで始める。僕は、携帯をいじりながら時折、物思いにふける。今日も仕事で1つトラブルになってしまったことを思い出した。ただ、そのトラブルも人間関係がもう少しうまくできていれば、防ぐことができた。メールとのやり取りから、お互いの誤解が生じて、気がついたら全く見当違いなことをやっていることに気がついて、、、

今の人間関係は、非常に複雑だ。年功序列は崩れて、先輩後輩の垣根もよくわからなくなった。みんな何を信じていいのか分からず、常にだまされないように用心深くなった。いろんな価値観が渦巻く中で、本当に信じるべきものは一体何かよくわからない。尾崎豊の歌詞のように、僕はあまりにも学生のような青臭い考え方に思わず鼻で笑ってしまった。もう20代も後半にさしかかっているのに、いまだに卒業できない自分を嘲笑った。

「はい、ラーメン。今日最後だから、ありがたく食えよ。」

マスターぶっきらぼうにそういってラーメンを置いた。僕は、透き通った醤油ベースのスープをすすり、麺とからませて食べた。このラーメンを食べると、なぜだかほっとする。食べた後に醤油の香りがやさしく僕の口の中を満たしてくれる。

「結構、遅くまで働いてるんだな、若いの?」

マスターは、店の扉を見つめながら僕に話しかけた。

「そうですね、最近忙しくて。だいたい22時ぐらいまではやってますね。」

僕は、この時初めてマスターと会話した。いつもは他にもお客がいて、マスターは1人で切り盛りしているものだから、忙しそうにして、会話している姿をあまり見たことがなかった。僕もラーメンだけ食べて帰ってしまうのが常だった。

少しの沈黙の後、

「今日のラーメンは、いつもより味がちょっと違うんだが、わかるか?」

「う~ん、、、」

僕は、唸ってしばらく味を確かめた。前に食べた味と違っているような感じもするし、そうでない気もする。少し薄味なような気がしたが、正直に言うと、ここのラーメンは毎回同じ味だったことはなかったように思う。いつもなんか味が濃かったり薄かったり、油が多かったり、麺が太麺だったりと悪く言えば、常に安定した味を提供できない店だと思っていた。ただ、だからと言って、まずいということはなく、むしろ毎回同じラーメンを食べているのに、全然飽きなかった。そういう作戦なんだと勝手に僕は思っていた。だから、唸るしかなかったのだが。

「まぁ、おいしければそれでいい。」

マスターはそういって、薄ら笑みを浮かべて店に壁にかけてある時計をみつめている。この店には、ラジオもテレビも流れていないので、マスターのだみ声が店に響き、店の外に誰かいたら聞こえてしまうんではないかと思われるほど、今日は特に静かであった。ただ、時折、猫の喧嘩する声だとか、酔っぱらって帰宅途中のサラリーマンの会話とか、タクシーが店の前を通り過ぎる音とか、そんな日常生活で聞こえるような音が聞こえる。ただ、そんな音に普段生活していれば、あまり気にも留めないが、妙にそういう音が聞こえてくる。

僕は、ラーメンを食べ終わって、携帯電話を開いた。着信一件。上司からだった。どうせ、今日のトラブルのことだと思って、面倒だから明日会社に行って直接話すことにしようと思った。

「お茶、飲むか?」

そういって、マスターは一杯のお茶を差し出した。湯呑みは、なぜか寿司屋に出てきそうなたいそう立派なもので、その中に緑茶がなみなみと注がれていた。

「あっ。茶柱!」

僕は、思わず叫んでしまった。湯呑の真ん中にきれいに茶柱が一本立っていた。

「おっ、ラッキーだな。なんかいいことあるかもしれないな。」

「そうですね、そうであるといいですけど。」

「いいことあるに決まってんだろ、昔から茶柱ってのは縁起がいいもんだって言うじゃねえか。」

「はぁ。」

僕は、ため息交じりに言った。

「なんか、疲れてんじゃねえか、お前さん。」

マスターの励ましに対して、僕の反応がよくなかったので、そう聞いたのかもしれない。でも、確かに疲れていることは間違いなかった。

「疲れてる、確かに疲れてますね。もう、自分が疲れているのかどうかさえもわからなくなってきました。毎日、仕事して、家に帰って、寝て、また朝が来て、会社に行って仕事をして、家に帰って、寝る。この繰り返しです。たまにある休みも上司から電話がかかってくる有様ですから、ゆっくり休んだことななてありませんよ。」

「なんか、聞いているとあんまり楽しそうじゃねえな。」

「そうですね、楽しくないですね。ただ、今の僕の選択肢の中には、これしかないんです。他にあれば、そっちにいきますよ。」

「まぁ、他に何があるのかわからないけどな。わからないから、選択肢がないってことか。でもよ、その選択肢を狭めているのは、自分だってことも確かだよな。違うか?」

マスターは、ゆっくりと考え込むように言った。

「この道を選んでしまったのは、自分ですから、楽しくない道を選んでしまったのは自分のせいってことは、わかるんです。だから、ほかの人の責任ではない。ただ、自分で選んで自分自身に不満を言っている。それだけです。」

「辛いな。わかもの、そういう生き方はカッコ悪いんじゃねえか。お前さん、ほかにやりたいこととかねえのか?なんか目標とかそういうのは??」

「さぁ、何がしたいのか、自分でもよくわかりませんよ。夢とかそういうのはないんです。ただ、毎日を平穏無事に生きていければ、それでいいって感じかな。」

「それって、今流行りの草食系ってやつか?俺の息子もちょうど今年社会人になったばかりでな。なんかうちの家内が『あの子は草食系なんだから』とか言ってたが。」

「さぁ、どうなんでしょうね。草食っていうよりも、僕の場合は、植物系じゃないですか?ただ、懸命に生きる。そこに夢があるのかないのかなんて、どうでもいい。ただ、生きて、そして死ぬ。」

「植物系とは初めて聞いたな。そんあ植物系のサラリーマンに出会えるとは、面白いね。ラーメン屋の店主やってるといろんな人間に出会えるけれど、植物系は初めてだな。」

マスターは、妙に植物系男子にはまったようで、うれしそうだった。僕は、そんなマスターを横目にお茶を飲んで、携帯をいじっていた。メールが2件。1件は、会社の同僚からの合コンのお誘いメール。もう1件は、前に友達から紹介されて、連絡先を交換した同じ年の女の子からだった。

合コンは、日程が合わずにキャンセルのメールを打った。女の子からのメールは、僕の趣味の映画のことや、会社での出来事についていろいろ聞いてきた。とりあえず、すぐには返事が出来そうにないメールだったから、後で家に帰ってから打つことにした。

時計をみると、0時を回っていた。これで家に帰って、風呂に入れば、もう1時過ぎ。明日は、6時起きだから、約5時間の睡眠。5時間も寝られるなら、儲けもんだ。

僕は、テーブルに600円を置いて、マスターは、無言でそれを受け取った。コートを羽織って、店の扉までいった時、マスターがふと思い出したように言った。

「頑張れよ。別に植物系だろうが、なんだろうが、お前がやりたいようにやれることが一番いいんだから。他人に振り回されるなよ。」

「ありがとう。」

僕は、呟くようにそう言って、店を出た。外は、ひっそりと静まり返っている。空を見上げれば大きなお月さまが1つ。それ以外は、何もない。星のひとつも見えない。明るい満月が一つだけ。いや、違った。1つ満月の下に輝いている星があった。満月の明るさでわからなかったが、よく見ると1つ星があった。

この寒空のなか、満月と1つの星。彼らに思考というものがあるのなら、一体何を考えているのであろう。僕のカッコ悪い生き方に、彼らはなんて言うだろう。

                                                              つづく

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