第五話:「コールセンター日和」
テーマ:日記
November 17, 2009
10月7日 午前10時@8階オフィス
僕は、今日もコールセンターでお客さんからの注文を待っている。今日は、注文が多くてまだ1時間も経っていないのに、15件以上は電話を取ったかもしれない。キャンペーンで多くの化粧品が少し安くなっているからかもしれない。
まだ、言ってなかったかもしれないけど、僕は化粧品会社で働いています。しかも、今はコールセンターで研修中の身分でありまして、会社に入ってようやく1カ月経った感じなのです。
こんな不景気によく転職ができたのもだと自分でもびっくり。こればっかりは、縁だったのかなって今でも思う。転職活動しているときは、まさか自分が化粧品会社に勤めるなんて夢にも思わなかった。自分とは関係ない世界だったし、前の会社は大手電機メーカーだったから、全くつながりなんてなかった。だけど、こうして働いているわけだから世の中何が起こるかわからないね。
そんなわけで、僕は晴れて化粧品会社に転職することができた。内心、ほっとしたし、とにかく働く場所が確保できたことだけでうれしかった。化粧品ってどんな雰囲気なのかいまいちよくわからなかったけど、少なくとも前の会社よりは、環境が整っているようだったから、安心していた。
ただ、一つを除いては。。。
「ねぇ、ちょっといいかな?これ見てほしいんだけど。」
SVの坂井さんが僕のところにきて、1枚の紙を渡した。ちなみに、SVとはスーパーバイザーのことだ。現場の管理者であり、責任者みたいなものだ。
「はい。」
僕は、電話が入らないように離席ボタンを押して、渡された紙をみた。そこには、CS検定受験の案内と書いてあった。
「今度、CS検定っていう試験があるんだけど、それに林くんも受けてほしいと思って。もちろん、受験料は会社負担だし、試験は会社内で行われるから、これってすごくチャンスだと思うよ。興味があったら、受けてみて。返事は、来週までにお願いね。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
それにしても、坂井さんの笑顔には癒されるなぁと僕は、渡された紙とは全く関係ないことを考えていた。一体、いくつなんだろう、年齢不詳だ。そもそも、このコールセンターで働いている女性は年齢不詳が多すぎる。たぶん、自分より10歳は上なんだろうと思っていたら、20歳も上だったり、中には自分の母親と同じ年齢の女性もいた。さすがにそれにはびっくりして、働いていると若くなると本気で信じてしまいそうになる。
僕の見る目がないって言われたら、その通りなんだろうが、働いている女性は見た目以上に若く見えると僕は思う。みんな、充実感や達成感があるようで、笑顔で応対している様子は、とっても気持ちがいい。それがおばさんであろうと、母親であろうと関係ないね。
中には、僕と同じぐらいの20代もいるみたいだけど、多くがパートさんで構成されていて、みんな家庭を持っている主婦でもあるわけだから、30~40代が中心のようだ。
ちなみに男は僕1人。だから、みんな僕を息子のように思ってくれて、すごく優しく接してくれる。前の会社にはなかった暖かい人の感情に僕は思わず心打たれる毎日でもあった。
ふと、もう一度渡された紙を読んでみた。CS検定…。顧客満足度??
「実技と筆記を通じて、あなたの顧客満足のスキルがどれほどなのかを試験するものです。ベーシック、プロフェッショナルスペシャリストとランクがありますが、今回みなさんには、ベーシックを受験していただきます。」
と書いてある。詳しくは、http://www.cs-kentei.jp/
「なるほど、面白そうだから、受けてみるか。それに、この研修の成果を出すためにもこれに挑戦することは悪くない。」
僕は、ひとまず受験することを決意して、離席ボタンを解除した。するといきなり電話が鳴ってくる。
「今日は、100件ペースかな。」
僕は、ちょっと憂鬱になったが、CS検定という目標ができて、ちょっとやる気が出てきた。たくさん電話に出ることでスキルが少しでも上がるかもしれないと思ったからだ。
そういえば、受験日っていつだったっけ??
1日の業務を終えた後に、坂井さんに受験することを伝えて、そのことを聞いた。
「あらっ、ちゃんと読んでないの?ここに書いてあるじゃない。1か月後よ。」
「1か月後ですか、あまり時間がないんですね。」
「大丈夫、2週間前に直前セミナーをやっていただけるから、それにちゃんと出席して勉強すれば合格できるわよ。あっ、そうそう、この直前セミナーって必須だから、必ず予定空けておいてね。じゃないと受験できないから。」
「わかりました。何か対策とか事前にやっておけることってないですか?」
「そうね、今はたくさん電話に出て慣れることが重要よ。林くん、最初は、お客様に敬語を使ってもとてもたどたどしかったよね。今は、とてもスムーズに言えるようになってきたし、あとはお客様へエクセレントフレーズや気遣いの言葉がかけられるように頑張らなきゃね。」
「気遣いの言葉ですか?」
「そう、お客様のことを思っていれば、自然に出てくるって思われがちだけど、これも意識してないとなかなか言えないものなの。今度、時間があるときに教えてあげるわね。それまでに、基本的な敬語はばっちり身につけておいてよ、それができなきゃ、まずは失格よ。」
「わかりました、よろしくお願いします。」
僕は、この後、コールセンターの仕事の奥深さに気づくことになる。
僕は、今日もコールセンターでお客さんからの注文を待っている。今日は、注文が多くてまだ1時間も経っていないのに、15件以上は電話を取ったかもしれない。キャンペーンで多くの化粧品が少し安くなっているからかもしれない。
まだ、言ってなかったかもしれないけど、僕は化粧品会社で働いています。しかも、今はコールセンターで研修中の身分でありまして、会社に入ってようやく1カ月経った感じなのです。
こんな不景気によく転職ができたのもだと自分でもびっくり。こればっかりは、縁だったのかなって今でも思う。転職活動しているときは、まさか自分が化粧品会社に勤めるなんて夢にも思わなかった。自分とは関係ない世界だったし、前の会社は大手電機メーカーだったから、全くつながりなんてなかった。だけど、こうして働いているわけだから世の中何が起こるかわからないね。
そんなわけで、僕は晴れて化粧品会社に転職することができた。内心、ほっとしたし、とにかく働く場所が確保できたことだけでうれしかった。化粧品ってどんな雰囲気なのかいまいちよくわからなかったけど、少なくとも前の会社よりは、環境が整っているようだったから、安心していた。
ただ、一つを除いては。。。
「ねぇ、ちょっといいかな?これ見てほしいんだけど。」
SVの坂井さんが僕のところにきて、1枚の紙を渡した。ちなみに、SVとはスーパーバイザーのことだ。現場の管理者であり、責任者みたいなものだ。
「はい。」
僕は、電話が入らないように離席ボタンを押して、渡された紙をみた。そこには、CS検定受験の案内と書いてあった。
「今度、CS検定っていう試験があるんだけど、それに林くんも受けてほしいと思って。もちろん、受験料は会社負担だし、試験は会社内で行われるから、これってすごくチャンスだと思うよ。興味があったら、受けてみて。返事は、来週までにお願いね。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
それにしても、坂井さんの笑顔には癒されるなぁと僕は、渡された紙とは全く関係ないことを考えていた。一体、いくつなんだろう、年齢不詳だ。そもそも、このコールセンターで働いている女性は年齢不詳が多すぎる。たぶん、自分より10歳は上なんだろうと思っていたら、20歳も上だったり、中には自分の母親と同じ年齢の女性もいた。さすがにそれにはびっくりして、働いていると若くなると本気で信じてしまいそうになる。
僕の見る目がないって言われたら、その通りなんだろうが、働いている女性は見た目以上に若く見えると僕は思う。みんな、充実感や達成感があるようで、笑顔で応対している様子は、とっても気持ちがいい。それがおばさんであろうと、母親であろうと関係ないね。
中には、僕と同じぐらいの20代もいるみたいだけど、多くがパートさんで構成されていて、みんな家庭を持っている主婦でもあるわけだから、30~40代が中心のようだ。
ちなみに男は僕1人。だから、みんな僕を息子のように思ってくれて、すごく優しく接してくれる。前の会社にはなかった暖かい人の感情に僕は思わず心打たれる毎日でもあった。
ふと、もう一度渡された紙を読んでみた。CS検定…。顧客満足度??
「実技と筆記を通じて、あなたの顧客満足のスキルがどれほどなのかを試験するものです。ベーシック、プロフェッショナルスペシャリストとランクがありますが、今回みなさんには、ベーシックを受験していただきます。」
と書いてある。詳しくは、http://www.cs-kentei.jp/
「なるほど、面白そうだから、受けてみるか。それに、この研修の成果を出すためにもこれに挑戦することは悪くない。」
僕は、ひとまず受験することを決意して、離席ボタンを解除した。するといきなり電話が鳴ってくる。
「今日は、100件ペースかな。」
僕は、ちょっと憂鬱になったが、CS検定という目標ができて、ちょっとやる気が出てきた。たくさん電話に出ることでスキルが少しでも上がるかもしれないと思ったからだ。
そういえば、受験日っていつだったっけ??
1日の業務を終えた後に、坂井さんに受験することを伝えて、そのことを聞いた。
「あらっ、ちゃんと読んでないの?ここに書いてあるじゃない。1か月後よ。」
「1か月後ですか、あまり時間がないんですね。」
「大丈夫、2週間前に直前セミナーをやっていただけるから、それにちゃんと出席して勉強すれば合格できるわよ。あっ、そうそう、この直前セミナーって必須だから、必ず予定空けておいてね。じゃないと受験できないから。」
「わかりました。何か対策とか事前にやっておけることってないですか?」
「そうね、今はたくさん電話に出て慣れることが重要よ。林くん、最初は、お客様に敬語を使ってもとてもたどたどしかったよね。今は、とてもスムーズに言えるようになってきたし、あとはお客様へエクセレントフレーズや気遣いの言葉がかけられるように頑張らなきゃね。」
「気遣いの言葉ですか?」
「そう、お客様のことを思っていれば、自然に出てくるって思われがちだけど、これも意識してないとなかなか言えないものなの。今度、時間があるときに教えてあげるわね。それまでに、基本的な敬語はばっちり身につけておいてよ、それができなきゃ、まずは失格よ。」
「わかりました、よろしくお願いします。」
僕は、この後、コールセンターの仕事の奥深さに気づくことになる。




