前回は集団免疫のお話だったので、今日は『個体免疫』のこと
よろしければ前の記事と合わせてお読みください
『3年に1回の接種で感染症の流行は抑えられる』と前回ご説明しましたが、
だからといって『みんなが発症しない』とはならないわけです
わかりやすく火事と耐火構造のおうちで例えてみます
75%のおうちが耐火構造の住宅街に、放火魔がやってきて火をつけました
木造のおうちが1軒燃えてしまいましたが、周りのおうちは耐火構造だったので、
延焼することはなく、火事は1軒で済みました
お察しの通り、集団免疫がしっかりしていれば火事(感染症)は広がらないよ、
っていう例えなのですが、
冷静になると、
1軒燃えてるし
その1軒になりたくないよね
そう、ここが接種間隔を固定することの落とし穴かな、と個人的に思っています
それは接種間隔が1年だろうと3年だろうと同じこと
火事が広がらないのはいいことだけれど、その1軒を出さないためにどうするか、
というのが我々臨床に携わるものが柔軟に対応すべきことだと思っています
火事になりやすい生活なのか(行動圏)
火事になりやすい家なのか(個体免疫)
火事が起こりやすい街なのか(流行地域)
そんなことも踏まえつつ。
実際のところ「うちのコが病気にならないか」という個体免疫が、
みなさまにとっては重要なのではないでしょうか
それを把握するための手段が抗体検査ですね
もちろん抗体がしっかりしていれば絶対に発症しないかといえば、この世に100%はないのですが、感染実験(チャレンジ試験)という研究があって、
実際に充分な抗体を持つ個体ではウイルスによる攻撃を受けても発症しないことがわかっています。
なので、抗体検査というのは現状で個体免疫を調べるツールとして、有能であると言えると思います
研究というのは日々進歩していきますから、また新たなエビデンス(科学的根拠)が提示されたら方法も変わってくることもあるでしょう。
今回の空の木いんちょーの発表(※2017年獣医内科学アカデミー)はワクチン会社の方も聞いてくださり、且つ興味を示してくださったので、将来的にはそちらの方も変わっていくかも知れませんね
新しい情報や方針の転換があった場合には、またアップデートいたします
2017年現在空の木では、
集団免疫や個体差、犬猫&ご家族への負担を考えた上で
ブログで書いたような方法をご提供いたします
動物病院や地域性によって、まだまだ様々な方法があるのは知っています。
決められたルールも昔のままが多い現状。
ただワクチンを機械的に接種する時代は終わったかな、と(これも個人的な考えか)。
私たち獣医師は、よく説明をしないといけませんね
お読みくださったみなさまはホームドクターとよく相談して、治療と同様、ワクチンも納得のいく方法をお選び下さいませ
というわけで、これにてシリーズは終了