TPP の議論が不毛な理由
こんにちは 心のソムリエ 橋本文隆です。
昨日、マネジメントレベルが低い例としてTPPを出しました。
少し分かり難かったようですので、詳しく書いてみます。
問題には次元/レベルというものがあります。
次元の異なる問題を混在して議論しても、
適切な話し合いはできません。
例えば、TPP問題であれば
構想・ビジョンレベルの問題
戦略レベルの問題
戦術・方策レベルの問題
個別の問題レベルの問題
などと分類することができます。
どのレベルの問題について話しているのか分からず、
ただ自分の主張を述べているだけだと、次元の異なる
すれ違った議論になります。
発言を見ていると、TPP賛成派は構想、戦略レベルの話をし、
TPP反対派は、個別の問題の話をしているようです。
例えば、構想・ビジョンレベルの問題であれば、
自由貿易に基づく構想、
管理貿易に基づく構想、
東アジア共同体構想、
アジア・ゲートウェイ・構想
グローバル経済構想
など、いくつかの構想が考えられます。
戦略レベルの議論では、
輸出増加、国内輸出産業育成、外国人労働者活用、
食糧調達など、さまざまな戦略が考えられます。
可能性とリスクを明確にして、メリットが大きくデメリットが少ない
戦略を立案する必要があります。
そのような戦略が立てられないのなら、そもそもそのような
構想は推進する価値がないということです。
これらの戦略を実現するための方策も議論の対象になります。
例えば、問題になっているISD条項(投資家対国家の
紛争解決条項)は、議論の対象になるでしょう。
これは、外国投資家が投資した国家を訴えることができる
という条項なのですが、日本に投資した米国企業が
日本国を訴えまくると危惧している人がいます。
しかし、これは投資家を保護する目的の条項なので、
日本も東南アジアなどと締結しています。
また条項は相互なので、米国も他国の投資家から
訴えられています。
ですから、方策としては、
1.FTAにISD条項を入れないオーストラリアと一緒に反対して、
TPPからISD条項を外す
2.ISD条項の条文を精査して、不当な訴訟はできなくする
の2つが考えられます。
海外投資を今後増やしたい日本としては、「2案」の方が
ベター、無理なら「1案」ですね。
いずれにせよ、どちらかの方策を採れば問題はないので、
まともに議論すれば、大騒ぎする必要はありません。
後は、交渉力の問題です。
個別事例レベルの問題
メリットの大きい戦略や方策が立案できたとしても、
個別の反対は必ず起こります。
いわゆる総論賛成、各論反対というものです。
「米の関税はどうするのか」とか、
「さくらんぼは自由化しても生き残った」
などというのは、個別の事例の話です。
「今後米作をどうしていくのか」
とか
「さくらんぼが生き残った事例から法則を見つけ出し
他の作物の生き残り策を立案する」
となると戦略レベルの話になってきます。
戦略から方策まで固まっていれば、方向を変える必要は
ないので、「その方向のなかで、何をやればその問題を
解決することができるのか」と考えることになります。
こう見てくると、まともな議論を何もしていないのに
決断するという政府の方針は無謀だと言えるでしょう。
とはいえ、ここで交渉参加取り止めると、野田総理腰砕け
という印象になるので、もはや引けないのでしょう。
もっとも、交渉に参加しても、国会がTPPを否決すれば
通らないので、そんなに心配することはないと思います。
人と組織を活性化するマネジメント・コーチング
昨日、マネジメントレベルが低い例としてTPPを出しました。
少し分かり難かったようですので、詳しく書いてみます。
問題には次元/レベルというものがあります。
次元の異なる問題を混在して議論しても、
適切な話し合いはできません。
例えば、TPP問題であれば
構想・ビジョンレベルの問題
戦略レベルの問題
戦術・方策レベルの問題
個別の問題レベルの問題
などと分類することができます。
どのレベルの問題について話しているのか分からず、
ただ自分の主張を述べているだけだと、次元の異なる
すれ違った議論になります。
発言を見ていると、TPP賛成派は構想、戦略レベルの話をし、
TPP反対派は、個別の問題の話をしているようです。
例えば、構想・ビジョンレベルの問題であれば、
自由貿易に基づく構想、
管理貿易に基づく構想、
東アジア共同体構想、
アジア・ゲートウェイ・構想
グローバル経済構想
など、いくつかの構想が考えられます。
戦略レベルの議論では、
輸出増加、国内輸出産業育成、外国人労働者活用、
食糧調達など、さまざまな戦略が考えられます。
可能性とリスクを明確にして、メリットが大きくデメリットが少ない
戦略を立案する必要があります。
そのような戦略が立てられないのなら、そもそもそのような
構想は推進する価値がないということです。
これらの戦略を実現するための方策も議論の対象になります。
例えば、問題になっているISD条項(投資家対国家の
紛争解決条項)は、議論の対象になるでしょう。
これは、外国投資家が投資した国家を訴えることができる
という条項なのですが、日本に投資した米国企業が
日本国を訴えまくると危惧している人がいます。
しかし、これは投資家を保護する目的の条項なので、
日本も東南アジアなどと締結しています。
また条項は相互なので、米国も他国の投資家から
訴えられています。
ですから、方策としては、
1.FTAにISD条項を入れないオーストラリアと一緒に反対して、
TPPからISD条項を外す
2.ISD条項の条文を精査して、不当な訴訟はできなくする
の2つが考えられます。
海外投資を今後増やしたい日本としては、「2案」の方が
ベター、無理なら「1案」ですね。
いずれにせよ、どちらかの方策を採れば問題はないので、
まともに議論すれば、大騒ぎする必要はありません。
後は、交渉力の問題です。
個別事例レベルの問題
メリットの大きい戦略や方策が立案できたとしても、
個別の反対は必ず起こります。
いわゆる総論賛成、各論反対というものです。
「米の関税はどうするのか」とか、
「さくらんぼは自由化しても生き残った」
などというのは、個別の事例の話です。
「今後米作をどうしていくのか」
とか
「さくらんぼが生き残った事例から法則を見つけ出し
他の作物の生き残り策を立案する」
となると戦略レベルの話になってきます。
戦略から方策まで固まっていれば、方向を変える必要は
ないので、「その方向のなかで、何をやればその問題を
解決することができるのか」と考えることになります。
こう見てくると、まともな議論を何もしていないのに
決断するという政府の方針は無謀だと言えるでしょう。
とはいえ、ここで交渉参加取り止めると、野田総理腰砕け
という印象になるので、もはや引けないのでしょう。
もっとも、交渉に参加しても、国会がTPPを否決すれば
通らないので、そんなに心配することはないと思います。
人と組織を活性化するマネジメント・コーチング