制限デザイン概論│[4]ジャッジメントのカラクリと制限のための初期設定 | 「制限デザイン」ガイド

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─限界やネガティブな経験の「罠」としての仕組み─


たとえそれが未熟な反応だったとしても、その反応を禁止することにより"波動が上がり"ましたか?

実際はその反応を起こした原因から目を逸らせているだけであり、そう仕向ける巧妙さこそが『制限デザイン』の神髄なのです。
原則の表面的な適用や、形ばかりのルールが制限を強化します。

自分の未熟な反応を禁止するとき、未熟な反応が「悪い」ものであるという前提をもとにしています。
このように善悪や優劣の視点を持ち込んだ上に禁止することで、制限をさらに強化しているのです。

「未熟な反応を禁止する」という行為自体が無意識の反応であり、ゆえに未熟な反応なのです。

未熟と成熟の違いがあるだけです。あるいは視野の大小があるだけです。
それらは単に意識状態の違いというだけであって、善悪や優劣とは本来無関係です。
そこに善悪や優劣観念といった制限の力学を持ち込むことで、未熟あるいは視野の狭い状態を維持強化しているのです。


制限の解除が良い/優れたことで『制限体験』が悪い/劣ったこと、という見方は、制限の維持強化のためのカラクリです。

善悪や優劣の二元性(分割)の力学をやめることが制限解除の本質です。
『制限体験』に批判的、あるいは善悪は幻想という見方に抵抗がある内は、制限の力学下にあります。

善悪や優劣といった二元性は分離の力学であり、この力学により無限から分離された制限の状態を創り出しています。
つまり「制限の解除が良い/優れていて、制限体験が悪い/劣っている」と、善悪や優劣の視点から制限の解除を求めると、制限の状態が維持強化されるというカラクリなのです。

この「制限解除の意図通りにならない」メカニズムと同様のことは日々の様々な場面で起こっています。
この仕組みによって混乱をますます深めるようにデザインされており、それを担っているのが思考や無意識の反応パターンなのです。
二元性の視点や分離の観念を採用しないことが制限の解除です。


制限を実現させるために、例えば無意識でジャッジ(批判判断)するような初期設定がされているのです。
そして制限が実現されているので自分の反応に無意識でいられるのです。
自分の反応に無意識であることにより反応の自動化を実現しています。
これが制限の「自動維持強化」のカラクリです。

『制限体験の追求』が人間経験の主な目的の一つです。
だから制限の構造がここまで複雑、巧妙なのです。
そして同じ理由から、制限が自動的に実現されるような初期設定がなされているのです。

制限を解除するためには、この制限体験のコンセプトとそれに基づく仕組みについて知ることが重要です(不可欠ではありませんが)。


[5]エゴの真の役割と機能
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