2011-05-23 06:57:19

シリンダ・ゲージの使い方

テーマ:ゲージ屋の仕事

シリンダ・ゲージは、ワークの内径や内幅を測定する比較測長器であるのだが、

その比較するべき場合の基準について、

教科書等では「基準リングゲージ」を使うということが説明される。


つまり、寸法が分かっている(よく校正された)リングゲージ(マスター・リングゲージ)を使って、

シリンダ・ゲージのゼロ点をセットするわけである。

ゼロ点といっても、シリンダゲージの寸法値表示器はダイヤル・ゲージであるから、

そのダイヤル・ゲージの寸法表示範囲の範囲内で、

適宜なところをゼロ点(基準寸法値の表示ポイント)として、

それとの相対的な差分量をワークの実測値とするわけである。


このような場合、測定の必要に応じて、基準リングゲージをそれぞれに用意するとなると、

例えば、膨大な量産品について全量を寸法測定するという場合ならばコスト的にも引き合うのだろうが、

実際には、そういう方法が採られるわけではない。


私の場合は、

ブロックゲージを用いて、ゼロ点(基準点)セットを行っている。



京都暮らしの日々雑感



京都暮らしの日々雑感

対向2面間の寸法値を写し取ろうという場合、

初等幾何学(ユークリッド幾何学)の単なる適用なのだが、

シリンダ・ゲージの測定部を上下・左右に振って、

その最小値が表示されるポイントというのがブロックゲージの寸法なのであるから、

その「最小値」であるということが確認できていれば、

ブロックゲージの寸法値をシリンダ・ゲージ側へ写し取っているということになる。


ただし、シリンダ・ゲージの側のダイヤル・ゲージの寸法表示機構には、

±3μm程度の「曖昧さ」が含まれているから、

ブロックゲージを基準としてゼロ点セットを行っても、

そのゼロ点にはブロックゲージ並みの精度が反映されていると考えることはできない。


このようなゼロ点セット方法のバリエーションとして、

マイクロメータを基準に使うという方法もよく用いられている。

このような場合、ゼロ点セットする場合の「ゼロ点」には、

マイクロメータの内包する誤差要因と、

シリンダ・ゲージ(ダイヤルゲージ)の内包する誤差要因とが累積してしまうから、

多少「心許ない状況」が生じ得ることに注意しないといけない。


ワークの寸法測定(検定)に際して、

どのような精度条件での寸法測定(検定)が求められているかを前提にして、それを踏まえて、

シリンダ・ゲージのゼロ点セットが行われないと、

測定作業全体が極めて曖昧模糊としたものに帰してしまう。


つまり、

寸法測定におけるトレーサビリティの問題と、測定結果値をどう評価・判断するかの問題に結びついていく。

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