久しぶりに、アユモドキの話題です。頻繁に、傍を通過しているのだが、車を止めて、じっくりと観察することは、3ヶ月ぶりくらいかな?


 『アユモドキの里』も、山は紅葉し、田んぼは稲刈りが終わっている。静かに、冬を待っている感じです。

 


アユモドキの里0811-01

 

 水路にも、少し入って、アユモドキの塒(ねぐら)を撮影しようと思ったが、3枚ほど撮ったところでハウジング内に水滴が見つかった。あいにくとメンテナンスが悪かったようで、水中カメラの防水が切れていたようだ。カメラが水没することはなかったが、危ない、危ない。

 


アユモドキの里0811-02

 

 水中ハウジングから出して、水面からの撮影になった。


 このアングルを見て初めて、水路からの撮影って、めったにしていないことに気が付いた。

 

 

 

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 金曜日に、実験動物の研究会で、アユモドキについての講演とシンポジウムが開かれた。

保全活動と生態調査の講演が1題ずつ、シンポジウムでは、研究者による繁殖場所の発見、行政による保護・保全、研究者が感じた生息のための障害、保護団体が抱える次世代への活動の継続などが討論された。


 日ごろ、動物舎において、純系化した生き物を繁殖・飼育し、実験に使用する研究者たちに、水路に泳いでいる魚を自然繁殖させるために保護・保全している活動は、どのように映っただろう?トキやムジナモの後をアユモドキも追っかけるのだろうか?


 アユモドキが、水路や川で泳ぎ、氾濫原で繁殖するという、その営みが重要であるため、個体を水槽に隔離して、保護しても価値は小さい。一生を淡水域で過ごすため、日本海で隔てられた大陸との近縁種との地殻活動を伴う地理的隔離、そして種の分化の証拠としても、自然繁殖による保護が必要であることが、再認識されたように思う。

 


 昨年、アユモドキの論文を紹介した。その後、すぐに下のような論文が公表されていたのだが、紹介する時を逸して今に至った。

 反省方々、早速、紹介しよう。


 前回の論文では、アユモドキは、一時的な水域を利用して産卵する行動について論じられていた。今回のは、アユモドキの産卵は、一時的な水域が作られた直後の期間に限られていることを論じている。


大雑把に、

 アユモドキは、日本の数本の河川の流域だけに生き残っている絶滅危機種で、6月の初めに川から移動して水田で産卵する。アユモドキの産卵に必要な環境状況を特徴づけるために、産卵行動の直接観察と、6月から10月までの卵、稚魚、幼魚の様子を2年間に渡って調べた。
 アユモドキの産卵のすべては、水位の著しい増大による一時的な水域の形成後の二日以内に限られていた。
水温と日雨量は調査期間の間に変動し、これらと産卵とのはっきりした関係は見つけられなかった。しかし、産卵のすべては、陸生植物が生えている一時的な水域にだけ観察された。

 アユモドキの産卵期間が、陸生植物の生えている一時的な水域の形成後に限定されていることから、一時的な水域の適切な管理が、この種の存続のために重要である。

という上のようなことが、


  Abe, T., Kobayashi,I., Kon, M., and Sakamoto, T.

  Spawning of the kissing loach(Leptobotia curta) is limited

  to periods following the formation temporary waters.

  Zoological science. Vol. 24: 922-926 (2007)

 

に掲載されている。


 次は、この産卵行動を誘発する物質の解析か、産卵行動を起こすアユモドキの体内のメカニズムの解析かな?


 こうして、水路でのアユモドキの産卵に関わる外的要因や内的要因が解析されてくると、それらのことから、世代交代を脅かしているマイナス要因や、欠落している要因が解ってくるから、それらを保全しつつ、フィードバックをかけていくといいのだろうなぁ。

 


アユモドキ003