1属の中に、これほどたくさんの種が存在する植物は他にいない。カヤツリグサ科スゲ属、世界に約2000種が分布していて、日本には252種が確認されているそうだ。多くは、固有種のために、日本のRDBに挙げられている。都道府県別のRDBまで網羅すると、その固有種ぶりは、後25年以内に野生消滅するだろうということは統計学の計算を待つまでもなく、想像に易い。


 さて、このスゲ属の植物を勉強しようと思うと、いきなり、秋山茂雄『極東亜産スゲ属植物』(1955)とか、吉川純幹『日本産スゲ属植物図譜1~3』(1957,1958,1960)にたどり着くのだ。

 っが・・・。

 半世紀ほど前の図譜にたどり着くと言うことは、大変なことである。そこら辺の大きな本屋や図書館に行っても、お目にかかれない。古書店や古書市に足繁く通ったり、本を所有する先輩から借りて、コピーを取ることになる。最近になって、岡山県では、星野卓二・正木智美・西本真理子『岡山県のスゲ属植物図譜』(2002)が出版されたが、全国を網羅するものではない。都道府県単位での植物誌などからスゲ属を拾い集めて、見るしかなかった。

 ところが、この年末になって、スゲ属植物ファン待望の1冊が出版された。


   勝山輝男 著

   日本のスゲ

   ISBN4-8299-0170-5

   文一総合出版

   2005年12月31日 発行

   定価(本体4800円+税)


 果期、生育環境、分布、環境省レッドリストカテゴリー、独自の解説付きで296種について記載されいる。273種については、オールカラーで、全体像、穂、種子などの写真がそえられている。解説は、著者が自分の目で見ているからこそ分かることが書かれている。近年、国内で見つかった外来のスゲ植物についても書かれているので、プラントハンターでもない限りは、この1冊でスゲ属の植物は大丈夫だと思う。

 自分の興味ある方向の書籍なので、すぐに買ったが、4800円(外税)は安い。これは、買いだと思う。分類と同定に必要なポイントは写真と記述で押えてある。掲載されているほとんどの写真が、著者の手によるものだそうで、その苦労は大きかっただろうと思う。カメラがオリンパスOM-2Nだったことに、驚きとうれしさを感じた。ボクは、OM-1人間だったから、TTLダイレクト測光にはあこがれたね~。

 話がそれていくが、撮影の苦労話も書いてある。自分だけが下手に撮っているわけではないことに、コンプレックスも幾分かは和らぐ。


 この一冊が、手に入ったことで、今夜はうれしくって、寝られない。早春のフィールドが待ち遠しい。



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スゲ006  すっかりと夏になっちゃって、今では、黄茶色くなっているけれど・・・。


 2000年の初夏、川の中州をオギを掻き分け、植物相の調査をしていたとき、草丈が突然腰くらいまでの空間が開けた。15mを超えるオオタチヤナギやセンダン、オニグルミの下で、涼しげな木漏れ日が差す2坪ほどの空間だった。

 始めてみる形態の草に、すぐに気がつき、近づいて仲間に尋ねた。


ボク 「これ、なんでしょ?」

Aさん 「ええっ~! なんで、こんなんがここにある~ん。Bさん、地下はどうなってる?」

Bさん 「いや~、珍しいこともありますね~。」


 この時点で、仲間の2人はわかっていたようだ。すぐに地下を掘り、この植物の地下部がどのような形態をしているのかを確かめた。


Bさん 「やっぱり、地下茎でしょう。」

Aさん 「ほんとや、地下茎や。間違いないわ。」


 大喜びの2人。キョトンとするボク。物知らぬボクは、後に2人からこの植物について説明を受けた。2人は、5株ほど野冊に挟んで、後日、搾葉標本(押し葉標本)として関係機関に寄贈されていた。スゲの先生が連絡を受けて、すぐに現地に走ったそうだ。後から後から、このスゲに関わる話を聞くのだが、大きな話ばかりだ。

 

 ボクとしては、このスゲの貴重さを尊重し、希少だということについて、このスゲを大事にするということは賛成だし、気にかけている。ただ、このスゲの果実を付けた状態を画像に収めたいと発見時から思っていて、毎年、3~6月に時間が許せば、覗きにいった。早いか遅いかが4年続いた。5年目の今年、アナンデルカイメンやスクミリンゴガイの様子を観察に行くついでに足を伸ばして、このスゲの様子も見に行った。

 5月半ばに行ったとき、図鑑で見ているままの小穂をつけたスゲがあった。興奮して、夢中で撮った。恥ずかしいことに、その日帰って画面で画像を見たら、画像がブレていた。翌日、撮りなおしに行った。撮りながら、発見時を思い出す。思い出すと、エピソードに、今も胸がおどる。自然に手が震えてくる。何枚も撮り直しをした。電池の換えもちゃんと充電して持ってきた。安心して、取り直す。ファインダーとモニター越しに、5年間、図鑑でしか拝めなかった花穂を観ていたが、良く考えると、肉眼であまり見ていなかった。今度は、肉眼でまじまじと見入った。


 このスゲは、ヤガミスゲといわれる。湿性地の植物で、多くの県でRDBに上げられている。岡山では、1999年に記録があるそうだ(Aさんの話)。県内の数箇所に分布しいてるようだが、大きな群落には発展していない。というより、小さなコロニーに衰退しているといったほうがいいと思う。

 このスゲは、氾濫原に生えるスゲで、言えば河川でよく見ることができる。しかし、河川でしか見ることができないという感覚のほうが正しいと思う。しかも、最近、治水が良く、河川内での氾濫も回数は少ない。生育地が、生育地を広げるチャンスが、きわめてまれだということである。梅雨時期に実をつけ、氾濫原など湿地に展開する戦術は、今の河川では衰退するしかない戦術のように思われる。

 このスゲに繁栄の光は見えるのだろうか?最近、河川行政では、川の中に限定した大水を年に数回起こし、河床をかく乱することを唱えているとか、いないとか。氾濫原にしか生きる場がないものにとって、一縷の望みかもしれない。



 

 

 

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 今日から夏。水平線の向こうから、お~い!って、入道雲が手を振っているような気がする。

見上げると、梅雨前線君が「ボクが先ですけど」って顔をしていた。明日から雨だそうな。


 今日のお仕事は、草刈り


 ゴルフではありません


 草刈りって、植物観察しながらできるので、好きな作業です。


ヤガラ001

さて、本題。


 上の画像が、ウキヤガラです。カヤツリグサの仲間です。スゲもカヤツリグサの仲間です。図鑑では、イネの仲間の前後で見かけると思います。茎(稈)が1.5mくらい真っすぐに伸びるので、昔々、矢柄(やがら)に使われた植物だそうです。使っているのを見たことがないので、自信がありません。

この植物を使った矢は浮いたので、「浮き矢柄」といわれたそうです。


 下の画像は、コウキヤガラです。ウキヤガラとは、この並べた画像だったらはっきりと違いがわかりますが、フィールドで単独に生えていると、ボクは???です。小穂の柄が伸びないのが特徴です。これは、矢柄に使われたのでしょうか?稈は細いです。きっと、ウキヤガラの小さなものということでコウキヤガラという名になったのだと思います。

 

 

 

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