川や池にも海綿は生息している。何も、海の磯や海底にだけいるのではない。


 淡水に生息しているので、淡水海綿(タンスイカイメン)と呼んでいる。

 

 海に棲む海綿たちは、、黒、などカラフルな感じだが、川や池に棲む淡水海綿たちは、褐色灰色、白などとなんとなく色彩に欠けて、地味である。

 

 そんなタンスイカイメンたちは、進化系統樹では、動物界の最下層、出発点と言ってもいい。多細胞動物の一番単純な構造をしている動物で、こいつらの一つ前は、ゾウリムシ、ツリガネムシ、ワムシなどの単細胞生物で、モネラ界の生き物たちになる。海綿より進化したものは、ヒドラ、イソギンチャク、クラゲなどがいる。われわれとは、驚くくらい遠くはなれた位置に存在している。 

 

 しかし、そんな単純そうな生き物たちだが、実は、それほど判っていない。それは、結構、複雑で手に負えないからだ。

 

 この画像は、そんな複雑さを説明する1枚だ。

 

 やっと、水中ハウジングに入れたオリンパスE-410+35mmマクロレンズで撮影した画像を載せられた。

 よかった、よかった。

 

 


オカヤマのフィールドノート-タンスイカイメン2種

 

 

 左の緑のタンスイカイメンはアナンデルカイメン(仮)で、右の灰褐色のタンスイカイメンはマツモトカイメン(仮)だと思う(後日、同定した結果をお知らせする)。

 アナンデルカイメンの細胞には、クロレラのような共生藻が共生している。そのために、植物のような緑になってりる。一方、マツモトカイメンは、共生藻がいないので、灰褐色になっている。


 単純な生物だが、同種と他種をちゃんと識別している。

 

 アナンデルカイメンが水中の岩の表面にへばりついて広がっているところへ、右からマツモトカイメンが広がってきて、アナンデルカイメンの上に覆いかぶさってきているのだ。アナンデルカイメンとマツモトカイメンはお互いに相手を他種だと判っていて、威嚇し合いながら、競っている。

 今回は、マツモトカイメンがアナンデルカイメンの上に覆いかぶさって、コロニーを広げてている。しかし、アナンデルカイメンも負けじと、大孔を死守しているいるようだ。

 

 

 

AD

 カイメンは多くの自然科学や生命科学の実験動物として使われているが、カイメンの専門家は十指でも余るほどに少ない。驚くなかれ、世界規模での話だ。


 幸いにも、岡山には、そんな希少なカイメンの学者がいる。それゆえ、中国地方の県RDBには、カイメンが評価され、多く掲載される結果となっている。


 っで、岡山県のレッドデータ生物にも、たくさんのカイメンが上がっていることに、今頃気がついた。(お恥ずかしい~)


 岡山県内には、文献・聞き取りなども含め、ボクが知る限り、16種類生息している(か、あるいはいた)。


ヨワカイメン属

 エンスイカイメン

  Eunapius coniferus (Annandale, 1916)

 ヨワカイメン

  Eunapius fragilis (Leidy, 1851)

 リュウコカイメン

  Eunapius ryuensis (Sasaki, 1973)

 シナカイメン

  Eunapius sinensis (Annandale, 1910)


ホウシャカイメン属

 アナンデルカイメン

  Radiospongilla cerebellata (Bowerbank, 1863)

 フンカコウカイメン

  Radiospongilla crateriformis (Potts, 1882)

 センダイカイメン

  Radiospongilla sendai (Sasaki, 1936)


カワカイメン属

 カワカイメン

  Ephydatia fluviatilis (Linneaus, 1758)

 ミュラーカイメン

  Ephydatia mulleri (Lieberkuhn, 1855))

 ミュラーカイメンモドキ

  Ephydatia japonica (Hilgendorf, 1882)

 

ツツミカイメン属

 ツツミカイメン

  Trochospongilla latouchiana (Annandale, 1907)

 ジーカイメン

  Trochospongilla philottiana (Annandale, 1907)

 ミマサカジーカイメン

  Trochospongilla pennsylvanica (Potts, 1882)

 

カワムラカイメン属

 カワムラカイメン

  Heteromeyenis stepanowii (Dybowsky, 1884)

 

ジャワカイメン属

 ジャワカイメン

  Umborotula bogorensis (Weber, 1890)

 

異型盤属

 マツモトカイメン

  Heterorotula multidentata (Weltner, 1895)

 

 このうち、7種類が岡山県のRDBに上がっている。


準危急種

 シナカイメン

 ツツミカイメン

 ジャワカイメン


留意種

 エンスイカイメン

 カワカイメン

 ジーカイメン

 センダイカイメン


 減ってきているのか?もっとも、最初から、ため池なんかに生息していたから、改修されたり、埋め立てられたりして、池ごと丸々なくなることがあるので、全滅というようなダメージになる。インパクトが大きいよな~。


 近頃、よく見かけるカイメンに、マツモトカイメンがあるんだが、こいつはカイメンの外来種なのか?用水路でよく見かけるので、ちょっと注意が必要なのかも知れない。



2006.11.14


タンスイカイメン06 「これ、な~んだ?」 で紹介した黄色い粒々も、やっぱり芽球でした。骨格骨片に埋まるようにして、保管されているのが分かりますよね。冬になって、カイメンが死ぬと、骨格骨片をくっつけている成分が壊れて、ばらばらになってしまいます。そうすると、埋め込まれていた芽球が、転げ落ちたり、流されたりして、まるで植物の種子のように散らばって広がっていきます。

 この芽球の特徴は、「マツモトカイメン」とは違って、芽球の口のところが管状になっています(白い矢印)。ということは、種類が違うということです。

 「じゃ~、なにカイメン?」って、ことになるんだけど・・・。

 このタンスイカイメンの骨格骨片と芽球骨片の観察は、またの機会に・・・。