ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資

世界一の投資家ウォーレン・バフェットの投資哲学、人生論、さらに経済や会計の知識がこのブログ一本で「あっ」と驚くほど簡単に習得できます!特にこれから米国株投資を始める初心者や投資入門者向けの情報が充実しています。


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IBMは確実に復活しつつある!


東条雅彦です。

IBMが2016年第4四半期(4Q)の決算を発表しました。

決算書を読んだ印象では前回の第3四半期とほぼ同じ傾向が見られました。

つまり、一言で表現すると「確実に復活しつつある」ということです。

大きな傾向を捉えると、「戦略的重点分野の売上がUP、非戦略的重点分野の売上がDOWN、トータルの売上がDOWN」という以前と同じ流れが続いています。

19四半期連続の減収となりました。

年数に換算すると4.75年です。

しかしながら、後で述べますが、だんだんと全体の売上高も改善してきており、下落傾向には歯止めがかかっています。

おそらく次の(3ヵ月後の)決算で「IBM、5年ぶりに増収増益」と報道される流れになるでしょう。

IBMの決算資料に書かれている文言も次第に「自信に満ち溢れた言葉」が目立つようになってきました。

決算報告書の1ページ目に書かれている文章を以下に引用します。

2016年に当社の戦略的事業分は総収入の40%以上を占めるようになりました。業界をリードする認知ソリューションとクラウドプラットフォームとしての地位を確立しました。

・・・ん?、業界をリードする地位を確立した!?ちょっと気が早いのでは(笑)

ただ、戦略的重点分野の占める割合が増えてきて、IBMの事業全体が押し上がる格好になっていることは確かです。

2016年第4四半期決算のハイライト


<2016年第4四半期決算>
・EPS: 5.01ドル (事前予想の4.88ドルを上回った)
・売上高: 218億ドル (事前予想の216.3億ドルを上回った)

<注目ポイント>
・2016年通期の売上高は799.1億ドル (2015年通期は817.4億ドル)
・2016年通期における戦略的重点分野の売上高は328億ドルで13%増
・2016年通期におけるクラウドの売上高は137億ドルで35%増
・2016年通期のEPS(non-GAAP): 13.59ドル
・2017年の予想EPS(non-GAAP): 13.80ドル(事前予想の13.74ドルを上回った)

目玉が飛び出る程の衝撃はないかもしれませんが、市場予想を上回る速度で改善が続いています。

IBMのわかりにくい決算書に関する注意点


戦略的重点分野とはデータ分析、クラウドサービス、モバイルコンピューティング、セキュリティソフト、ソーシャルソリューションの5つの分野を指します。

プレゼンテーション資料の方にはこの5つの重点分野に関する売上高が記載されています。

ところが、決算書資料の事業分類は次のようになっています。

【A】認知ソリューション
【B】グローバルビジネスサービス
【C】テクノロジーサービス&クラウドプラットフォーム
【D】システム
【E】グローバルファイナンス


各事業から「この部分はクラウド。この部分はデータ分析…」というように抽出して、金額を積み上げているのでしょう。

あくまで戦略的重点分野は各事業を横割りで横断する形になっていることを理解しておかなければいけません。

縦で割ると、上記の【A】~【E】となります。

データ分析やクラウドサービス等の新しい技術が既存プロジェクトに取り入れらていっているため、このようになっています。

2016年第4四半期と通期の決算書


2016年第4四半期と通期の決算書は次の通りです。

<IBM 2016年第4四半期と通期の決算書>
IBM 2016年第4四半期と通期の決算書

①売上高が全体は下降しているが、下落率は過去最小になった

2015年通期の売上高が817.4億ドルで、2016年通期が799.1億ドルでした。

2.2%落ちていますが、この下落幅は過去5年間で最も低い下落率になっています。

<IBM 売上高の前年比> (売上高の単位:億ドル)
年度売上高前年比
2011年1069.16 
2012年1028.74-3.8%
2013年983.67-4.4%
2014年927.93-5.7%
2015年817.41-11.9%
2016年799.19-2.2%

②認知ソリューションが大きく伸びている!

【A】の認知ソリューションが大きく伸びてきています。

おそらくAI革命が始める2020年代に入ると、最も売上高の大きい【C】テクノロジーサービス&クラウドプラットフォームを抜かす展開になると予想します。

③システム事業は大きく下落している

ハードウェアの販売等がこの「Systems」に入っていると思われますが、売上高の下落が止まりません。

この傾向はまだまだ加速すると思われます。

昔は顧客はハードウェアを購入して手元に置いておくしかありませんでした。

現在はネットワークの発達により他の拠点に集約したり、他社のサービス(いわゆるクラウド)が利用するケースが増えてきています。

④認知ソリューションの売上高総利益率がめちゃくちゃ高い

【A】の認知ソリューションの利益率が80%を超えている!

正直、この80%を超える利益率はバブルだと思います。

一番伸びている認知ソリューション事業がこの高い利益率を維持できれば、IBMは将来的にトンデモナイ会社になると思われますが、そこまで甘くはないでしょう。

⑤売上高総利益率が前年より落ちている

2015年通期は49.8%だった売上高総利益率が今期は47.9%に落ちています。

第4四半期だけで見ると、51.7%から50.0%への下落でそこまで酷い下落にはなっていません。

認知ソリューションが伸びてきているので、将来的には利益率も改善されてくるでしょう。
(ただし、全体で売上高利益率が80%とかにはなりませんが・・・。)

⑥一株当たり利益は下落!

売上高が落ちて、純利益率も落ちているので、一株当たり利益が下落するのは当然の流れです。

2015年度の1株当たり利益が13.48ドルで2016年度が12.43ドルとなっています。

ここで一つ、注意点があります。

多くの米国企業はGAAPに基づく利益とGAAPに基づかない(=non-GAAP)利益の2種類を発表しています。

IBMもGAAPとnon-GAAPの2種類の利益を公表しています。

GAAP(ギャープ)とは企業の財務会計の作成と報告を行うルールのことで、一般的にはGAAPベースの方が利益は低くなります。

見栄えを良くするため?に、多くの企業はGAAPのルールに基づかない利益(コチラの方が少し金額が上がる)も公表しています。

non-GAAPの1株当たり利益は13.59ドルとなっています。

⑦IBMの十八番「自社株買い継続」

2015年度の発行済株式数9億7870万株から9億5540万株に減っています。

2.3%の減少です。

今後も自社株買いは継続していくと思われますが、以前よりかは少しペースを落とす方針のようです。

バフェットは今後に期待しながら「IBMの復活」を待っている!


今回のIBMの決算を見て、とても安心しました。

株価の方は時間外取引で一瞬、170ドルまで駆け上がり、その後、大きく下落したようです。

いずれにしても、現在の株価水準を見ていると、将来の価値をあまり織り込んでいないように感じています。

不確定な要素も多いため、市場は慎重姿勢のようです。

逆転ホームランみたいな劇的な業績の変化がなければ上がらないのかもしれませんね。

まぐまぐのメルマガの方でも質問がありましたので、ざっくりとした個人的な見解を述べたのですが、私自身は「明確な反転」は2018年頃だと予想しています。(参照:2017年1月15日号「Q&Aのコーナー」)

売上高799億ドルのうち、戦略的重点分野の売上高が328億ドルとなり全体の41%を占めるようになりました。

そして、この戦略的重点分野は前年よりも13%増も伸びています。

こういう状況にもかかわらず、売上高は817億ドル(2015年度)から799億ドル(2016年度)に落ちて、2.2%の下落となっています。

やはり既存事業の下落が激しいことには変わりません。

CFRAリサーチのアナリスト、デイビッド・ホルト氏は、売上高がいつ増加に転じるかについて疑問が残る決算だったと指摘しています。(耳が痛い話ですが、おっしゃる通りです。)

ウォーレン・バフェットは今の現状をどう見ているのか?

戦略的重点分野の威力が本当に出てくるのは2020年代に入ってからです。

AI革命が訪れるであろう2020年に突入した時にIBMが業界をリードしている姿を鮮明に思い浮かべているのだと察します。

(参考)
IBMの2016年決算関係の資料はコチラ
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