「戒壇」が怖い~(祖のXXXⅥ)
テーマ:「森」の番小屋
お前らの中には、近付いてはならん、という「注意」を無視して、、、、、
そう言いながら、「先輩」は、回りを取り囲んだ「一年坊主」の集団を
ジロリ、と一瞥した。。。。
まぁ、いい、俺の話を聞いたら、自然とあの「堤」に今の時期に近付
くもんは居らんようになるだろう。。。ふふふ
そういうと、何故か「先輩」は、Snoopy達3人組の方に視線を絡めて
来たのだった。
お前らの中には、近付いてはならん、という「注意」を無視して、、、、、
そう言いながら、「先輩」は、回りを取り囲んだ「一年坊主」の集団を
ジロリ、と一瞥した。。。。
まぁ、いい、俺の話を聞いたら、自然とあの「堤」に今の時期に近付
くもんは居らんようになるだろう。。。ふふふ
そういうと、何故か「先輩」は、Snoopy達3人組の方に視線を絡めて
来たのだった。
ゴクンという生唾を飲む音が、あちこちでし出しすと、その先輩は、
一年坊主達の「輪」の中心で「ゴホン」と大きく咳払いをして、皆を
グルリと一瞥した。
先輩は、小声ながら腹の底から絞り出すような、不気味な「声音」
で、トツトツと話始めた。。。。
「お前等も、薄々は聞いたりしてるだろうが、春先の温かい日には、
何故か水面 から靄が立ち上がり、夕陽が沈む頃になって靄が晴れ
ると、妖しい「唸り声」と共に水面が紅く染まって来るという言い伝えが
あるんだ・・・」
そう話始めた「先輩」の横顔が、心なしか蒼ざめて行くような気がし
たのは、Snoopyだけでは無かった。
浮かれ気分の一年達は、一様に互いの顔を見合わせると、再び「先輩」
の話の行方を追おうとして、肩を寄せ合い、湧き起こる武者震いを互いの
身体でとめようとしていたのだった。。。
Snoopyが、想い起した「話」というのは、同じ町の中学校の出身の先輩が、
この高校で入った『歴史クラブ』の先生から仕込んできたものだった。
入寮の前に「懇親会」という名目で開かれた、同じ町の出身者の集いには、
「寮」に入っている先輩も、知人や親戚の家に「間借り」していた人もいたが、
この高校の「歴史」をそのまま引き継ぐ「寮生」の方が幅を効かせていた。。。
中学校の先輩達は、たった一年か二年違うだけなのに、何処か妙に大人
びて見えていた。
『お前等、入るとすぐに色んな「洗礼」を受けると思うけど、身体が慣れだした
頃には「中間考査」もすぐに始まるし、うかうかするなよ~~、特に4月はさぁ、
「女子寮」との花見もあるしなぁ~』
おおお!!という「どよめき」が男子の輪の中で沸き起こった。
『それから5月のGWの休みの前辺りになるとぉ、色々「カップル」が出来て、
「寮」の裏の道から上がっていく「堤」んとこら辺でよぉ、デートが始まりだす訳よ』
ニキビ面のその「先輩」は、すっかり色気付いていて、一年坊主達には、どっか
眩しく見えていた。その先輩が、「浮かれ話」の途中で、急に声を潜めると、一年
達に手招きして、輪を縮めて話を聞くようにと腰を屈めて来たのだった・・・・
Snoopyは、痺れる頭の隅で、あの頃に「寮」で友達になった仲間と
一緒に来た時の事を想い起そうとしていた。。。
≪そうだ!あの時、跡を付けた「制服」の二つの影が、手を繋いで早
足 になって木立の向こう回り込んで行くのを『堤』の対岸で見た3人
は、 目くばせをすると、右の方から接近する形を取りながら、二手に
別れる事にしたのだった・・・・
Snoopyは、そのまま『堤』の縁に沿うように腰を屈めて近付き、後の
二人は、大きく迂回して、『堤』の右側のすり鉢状の小山の方から、
二人の行方を追う事にした。。。
そこ迄、その時の「二人」の影の追跡に拘っていたのには、ちょっと
した訳が あった。。。≫
******************************
---そう、やはり「あの話」は本当なのかも知れない!!とSnoopy
は思っていた。その「話」というのは、こうだった。。。
気が付くとSnoopyは、草露の中に横たわっていた。
何時の間にか、心の中に響き渡る「声」が遠ざかり、換わりにSnoopyの
「頭の芯」を突き刺して来る夥しい「虫」の声が、頭蓋のなかで反響し始めた。
その「響き」の重なりは、Snoopyから、総ての「聴力」を奪い取って行く。。。
「ここに居る」 「ここへ早く来てくれ・・・」
辛うじて残された「思考」の片隅で、その『想い』の主が「虫の声」を切り拓い
て迫って来ていた。。。
************************************************
Snoopyの目覚めた場所は、「戒壇話」に出て来る、あの「堤」に違いなかった。
昼間は、校舎の裏手を下った行くこの「堤」は、春先から夏にかけて、上級生
達の「逢引」の場所の一つになっていた。
Snoopy達、一年坊主には、勝手に近付く事の出来ない「聖域」である。。。
それでも、中には「猛者」がいて、学校に慣れだした5月頃には、何人かで連れ
立って放課後に「探索」を開始したり、気の早い連中は、早速「彼女」?を誘い
出す場所に指定して、デートらしきものを「敢行」する者も出て来始める。
夕暮れ時や、学校が休みのポカポカ陽気の日には、幾組みかの男女が、そ
の「堤」の周りを、互いを牽制し合うように、木々の間を縫って、自分達の「語ら
い」の場を求めて動き回る。。。。
校舎の崖下に位置する「寮」の一年坊主達は、初夏を前に、そわそわしなが
ら、その甘い「影」を追跡するのが「日課」のようになっていたのだった・・・
・・・・『ココに居る』 『ココへ来てくれ』・・・・
その声が、「心」に響いて聴こえて来る方に向かって、自分の身体が、
深い「水中」を進むかのように、ゆっくりと重くて軽い四肢が、勝手に動
いて行く。。。
「虫の音」も、「風のそよぎ」も感じられない。
「無音」の濃密な空気が、辺りの景色を揺らめかしている。
足が、湿った草々の間の「夜道」を掻き分けるようにして、確かめて行
く、その「感触」が無いのが少し不安であった。
だが、前のめりに歩を圧し進めないと声の方向に近付いて行けない、
という「現実の課題」の前に、地面から浮き上がっているような自分の身
体への「違和感」は、退けられていた。
『ヴォ~~ン』『ヴァ~~ン』『わぁ~~ん』『おぉ~~ん』
「心」への「響き」が、どんどん競り上がって来た。
胸から、肩へ、肩から首へ、、、、そして、耳元から、「脳髄」の中一杯に
反響し合い、グルグルと旋回を早めて行く!!
Snoopyの「身体」は、その「響き」の渦の回りを、
ウンウン言いながら、回転し始めて行った。。。
白い「首」のように見えるモノが、上下左右に揺れながらSnoopyの這入っている
「蚊帳」に近付いて来る。「胴体」は見えない。
震えが来ているSnoopyには、眼に這入るモノが「恐怖心」という心の「小屋」で増
幅され、総てがあの「怪談噺」の「モノノフ」に関係付けられて仕舞う。。。
オドロオドロしい「生首」のようにも見えるその白い物体から、突然ふた筋の光が
Snoopyの眼に差し込んで来た。
「影」によって凹凸を付けた「ソレ」は、黒い斬バラ髪に覆われた「モノノフ」の蒼ざ
め、痩せ細った「面立ち」に見て取れる・・・・
Snoopyの「眼」は、その「首」から発する光の動きを
追う内に、「暗示」に掛けられたように、瞬きさえも失いかけていた、、、、
*********************************
====時間が、止まった====
「モノノフ」の「声」だけが、Snoopyの「心」に直に響いて来る)))))))
限られた「空間」さえも解き放たれ、
Snoopyは何時しか、「寮」の外を歩いていた。。。
後ろに廻した両手で、辛うじて体を支えたまま、さっきから届いている啜り泣き
の「声」の方に向かって、Snoopyの総ての「感覚」が研ぎ澄まされて行く。
体は小刻みに震えたまま動かないというのに、何故だか心の中だけが、心臓の
「拍動」と共にゆっくりと波打ち、自由にその「音」を掴まえようとして動き出す。
奥の「水屋」の方から、何かの「気配」が起き上がって来るのが分かった。
電灯の明かりが消えて、辺りの「闇」に眼が慣れて行くに連れて、その啜り鳴く
ような「声」はSnoopyの耳の中に仕舞い込まれて行く。
替わりに、ぼんやりとした「視界」の向こうで、白っぽい物がふぅ~っと動いたよ
うに見えた。。。
「蚊帳」の外から何かがこちらを見詰めているような気がしてならない。
カラカラに乾いた「喉」の奥に、無理矢理「唾液」を沁み出させて「クツリ」、と飲み
下してみる。
Snoopyの「耳」の中がクッと広がると、あの「啜り鳴き」が戻って来た!
『う、う、う、うお、お、お、お~~~ん!』
・・・・不気味な「声」が、腹に響き始めた・・・・
部屋の障子の向こうから聞こえたその「しわがれ声」の主は、聞き覚えのある
「部屋長」のような気がした。
「???」
しばしの沈黙の後、思い切って「失礼しまぁす」と言って、障子戸を静かに開けた。
蚊取線香の煙と匂いが充満した「蚊帳」の奥に、肩幅の広い男が背中を丸めて
座り、身体をゆっくり前後に揺らしている。
「あ、あのぅ、○○先生は・・・・?」
「部屋長」のように見えるその男は、こちらに背を向けたまま、右手で「蚊帳」の中
に入れというように合図して来た。。。
Snoopyは一瞬、躊躇したが、(えぇ~い、ままよ!)とばかり、意を決して「蚊帳」の
裾を捲くり上げた。
その時、奥の「水屋」の方で、「ゴトゴト」という物音がして、一陣の生温かい「風」が
吹き込むと、「線香」の煙が自分の方に吹き寄せて来た。Snoopyは思わず目を伏せ
「ゴホゴホ!」 と、咳き込んでしまった。
(この時の「煙」は、蚊取線香のものではなかったのかも知れない・・・・?)
ゆっくりと「顔」を上げると、何時の間にか「蚊帳」の中には誰も居ない。。。
何だか、いやな展開になって来たな、とSnoopy思った。
ふぃに、天井から吊り下げられた電球の灯りが消えた。
「マ、マジかよ!!」 そう思う間もなく、何処からか、啜り泣くような「声」
が聞こえて来た・・・・
早くこの場から逃れようとして、立ち上がろうとしたが、「膝」がガクガクして力が
入らない。背中に「悪寒」が走り抜け、腕に鳥肌が立って行く。
Snoopyの身体は「金縛り」にあったように動かなくなってしまった。。。
・・・・「本物」の「怪談」が始まりそうであった・・・・
掲載写真はみなっちの海日記より
ぬるい「終い湯」に浸かって、チビッタ下着を取り替えたSnoopyは、
ホットする間もなく、「舎監室」へと向かった。
カラカラと入り口の引き戸を開けたが、踏み込みの先の障子は閉
まり、ぼんやりとしたマメ球の灯かりが蛍のように頼りなく見えている
だけであった。
『先生、○○です。』
そう声掛けをして見たが、中から応答は無かった。
手洗いにでも行ったのか?とも考えたSnoopyは、その踏み込みの
「薄暗がり」の中でしばらくじっと立ち尽くしていた。
と、障子の向こうで軽い咳払い?のような声がして衣擦れの音と共に、
人がいる気配が感じられた。
Snoopyは、妙な寒気を背中に感じながら、掠れた声で、もう一度
『先生』
と、呼びかけて見ようとした。
その時、中から「野太い声」がした。
『おぅ、入れや』・・・・・・???
掲載写真はみなっちの海日記より
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