2008-07-26 23:10:38

『アキレスと亀』

テーマ:映画・DVD[あ行]
CLUB Cメンバーの限定試写会に当選したので、京橋テアトル試写室に北野武監督最新作『アキレスと亀』の試写会に行ってきました。

********************

裕福な家庭に生まれながら、突然の両親の死によってひとりぼっちになってしまった真知寿(まちず)少年。それ以来、彼はずっと描いてきた“画家になる”という夢だけを人生の指針として生きることにした。やがて、そんな真知寿の前に、一人の理解者が現れる。絵に対する彼の純粋さに心惹かれた幸子。2人は結ばれ、画家の夢は夫婦の夢となる。だが、彼の作品は全く評価されることなく、2人の創作活動は次第に街や警察をも巻き込むほどにエスカレートしていき、家庭崩壊の危機にまで直面していくのだが…。売れない画家の夫と、彼を支え励ます妻を描いた、愛と幸福の物語。若き頃の夫婦を柳憂怜と麻生久美子が、その後をビートたけしと樋口可南子が演じる。(From CinemaCafe.net)

********************

売れない画家と彼を支える妻の夫婦の絆の物語のような作品紹介がされていますが、なんとなくそれでは違和感が残るかなー。
自分もそういう作品なのかなと思っていたんですけれど、作品を観てみるとどうもそこに重きをおいているような感じがしないんですよねー。。。
何より、意外と少年期のエピソードが結構な時間がさかれているので、余計にその思いが強いのかもしれません。
どちらかというとこの売れない画家の半生を描いた作品ってとらえて観に行った方が良いような気がします。

裕福な家に育ったがためにまわりに甘やかされて育った少年。決してわがままとかそういう育ち方をしたわけではなくて、絵を書くということにだけ集中していた彼には世の中の常識などが見えておらず、どこか浮世離れした異質な少年として育ってしまったというバックグラウンドがあり。
そんな中両親を亡くしてしまって、今まで許されてきたことが常識として受け入れられないという現実に直面していく。
好きな絵ばかりを描いているだけでは許されない状況がある中でも、彼は画家になるという夢を諦めずに成長していく。
彼の浮世離れした感覚のおかげで、関わった人が気の毒になるケースもあったりして、少年期から観ていて主人公に共感が出来なかったので、話に自分は入り込めなかったかなと。
ただ、自分の夢を追うことにしか興味をみせない子ども時代ってこんなものかもしれないという気もするので、孤独さを感じさせる少年期に同情を感じさせるようなところも多々あるかな。

その後、青年~中年と時間が進んでいくなかで感じる違和感。若き日の夫婦を演じる柳憂怜と麻生久美子のキャラクター設定を考えると、中年に入ってからのビートたけしと樋口可南子のキャラクターにギャップをすごく感じる。
青年期まではわがままだとは思えなかった主人公のキャラクターが中年期以降にはただのわがままで生活力のない人物としてしか受け入れられず、観ていて苦い感じがする。
特に画家としての大成を目指して、より絵画への没頭を見せる主人公の普通の空気感を抱えていながら壊れていく様は見様によってはとっても恐ろしい感覚でもあり。芸術化肌の人の感性は普通ではないということが家庭崩壊にまでつながる流れを淡々と描いているところには興味深いものを感じる作品だったかな。

アーティストを目指すことでの苦悩や挫折の部分を描くシーンがあって重いシーンがあったと思えば、中年期に入ってからの夫婦のシーンではとてもコミカルなシーンもあり笑わされたりもする。
ビートたけしはお笑い畑の人だと思うとその辺りはお手の物だろうが、樋口可南子のコメディエンヌぶりが随所に楽しめる作品になっていることは確か。
若き日の主人公を演じる柳憂怜の朴訥とした雰囲気もよいと思うし、麻生久美子の透明感もこの映画の癒しになっていると思う。
脇を固めているのも中尾彬や伊武雅刀、大杉漣、筒井真理子、大森南朋など芸達者な面々が演じていて安心して観ていられるのはよかった。

ストーリーとして共感は出来なかったものの、いいも悪いも芸術家の生き様を感じられる作品にはなってると思う。

2008年9月20日よりテアトル新宿・銀座テアトルシネマで公開。

監督:北野武
出演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、筒井真理子、吉岡澪皇、徳永えり、大森南朋 etc

アキレスと亀 [DVD]

¥2,952
Amazon.co.jp

にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加中。応援クリックもお願いしまーす。

コメント

[コメント記入欄を表示]

コメント投稿

コメント記入欄を表示するには、下記のボタンを押してください。
※新しくブラウザが別ウィンドウで開きます。

一緒にプレゼントも贈ろう!

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10120433535/3f33c300

  • 1 ブログタイトル:cinema!cinema!~ミーハー映画・DVDレビュー
  • 記事タイトル:『アキレスと亀』
  • 記事概要:CLUBCメンバーの限定試写会に当選したので、京橋テアトル試写室に北野武監督最新作『アキレスと亀』の試写会に行ってきました。********************裕福な家庭に生まれながら、突然の両親の死によってひとりぼっちになってしまった真知寿(まちず)少年。それ以来、彼は...
  • 2 ブログタイトル:映画通信シネマッシモ☆プロの映画ライターが贈る映画評
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:夫婦愛の形を借りた芸術残酷物語だ。画家の真知寿(まちす)は妻の支えで絵を描き続けるが、まるで評価されない。やがて夫婦は奇行に走るようになる。絵のことしか頭にない真知寿と彼がとり憑かれている芸術は、いわば怪物。献身的な妻でさえ、夫がアーティストでなかったら.
  • 3 ブログタイトル:悠雅的生活
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要: 芸術、って・・・?  
  • 4 ブログタイトル:象のロケット
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:幼い頃から絵を描くのが大好きだった真知寿は、父の会社の倒産、両親の自殺、生活の困窮を経て、画家として生き、ひたすら絵に打ち込んでいく。 彼の作品の理解者は妻・幸子だけ。 なかなか世間の評価や成功を得ることはできないのだが、創作活動はどんどんエスカレートし
  • 5 ブログタイトル:☆彡映画鑑賞日記☆彡
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要: 『スキ、だけど。 スキ、だから。』  コチラの「アキレスと亀」は、北野武監督の14作目となる9/20公開の最新作で、”夢を追いかける夫婦の物語。”なのですが、早速観て来ちゃいましたぁ?♪思わず笑っちゃうような北野監督らしいブラック・ユーモアに溢れ、静かに流...
  • 6 ブログタイトル:唐揚げ大好き!
  • 記事タイトル:『アキレスと亀』
  • 記事概要:  スキ、だけど。  スキ、だから。   ■裕福な家庭に生まれた真知寿は、幼い頃から絵を描くことが大好きで、“画家になる”夢を抱いていた。しかし、ある時父の会社が倒産し、さらに突然両親が自殺したことで環境が一変。芸術に無理解な叔父の家に預けられ、辛く孤
  • 7 ブログタイトル:富久亭日乗
  • 記事タイトル:映画「アキレスと亀」(2008年、日)
  • 記事概要:    ★★★★★  北野武監督の14作。 芽の出ない画家と妻の物語。       ◇   群馬県で製紙工場や銀行を経営する父親(中尾彬)のもと 好きな絵を自由に描いていた倉持真知寿(吉岡澪皇)。 だが、父の会社が倒産、 父は芸者と心中してしまう。 叔父(大杉漣
  • 8 ブログタイトル:紫@試写会マニア
  • 記事タイトル:「アキレスと亀」を観る
  • 記事概要:世界のキタノ作品会心の一作、と前評判の高い「アキレスと亀」を観てきました。 監督一連の作品の大きな特徴といわれる美しい映像“キタノブルー”や、劇中たびたび登場人物の見舞われる「死」の連続。あまり監督作品を多く観ていない私でも、全編に流れる静かで不気味で、
  • 9 ブログタイトル:masalaの辛口映画館
  • 記事タイトル:映画「アキレスと亀」を鑑賞
  • 記事概要: 23日「アキレスと亀」@TOHOシネマズ川崎 スクリーン3 映画の話 絵を描くのが大好きな少年・真知寿(吉岡澪皇)は、自宅を訪れた画家に自分が描いた絵をほめられて、赤いベレー帽をもらう。真知寿は、その日から画家になることを夢見て毎日のように絵を描くよ...
  • 10 ブログタイトル:だらだら無気力ブログ
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:画家になることを夢見るものの一向に売れない画家とその夫に献身的に 支える妻との歩みを描いたドラマ。少年・真知寿は、自宅に来た画家に絵を褒められ、ベレー帽をもらう。 依頼、真知寿は画家になることを夢みて、絵以外のことには興味をもたなく なってしまう。実家が破産
  • 11 ブログタイトル:京の昼寝〜♪
  • 記事タイトル:『アキレスと亀』
  • 記事概要:□作品オフィシャルサイト 「アキレスと亀」 □監督・脚本・編集 北野武 □キャスト ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、円城寺あや、吉岡澪皇、徳永えり、大森南朋■鑑賞日 9月20日(土)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyaz
  • 12 ブログタイトル:新!やさぐれ日記
  • 記事タイトル:【映画】アキレスと亀
  • 記事概要:■動機 見たいという人がいたので ■感想 教育を受けられる機会を逸した少年の悲しい人生? ■満足度 ★★★★☆☆☆ そこそこ ■あらすじ 絵を描くのが大好きな少年・真知寿(吉岡澪皇)は、自宅を訪れた画家に自分が描いた絵をほめられて、赤いベレー帽をもらう。
  • 13 ブログタイトル:MONSTER
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:売れない画家の真知寿(まちす)は、幼い頃に両親を亡くしてからも画家になることだけを夢見てきた。そんな純朴な真知寿に惹かれた幸子と真知寿はやがて結ばれ、夫婦で創作活動に没頭していくが……。真知寿のかなわぬ夢に立ち向かう苦悩や、彼を陰から支える幸子の夫婦....
  • 14 ブログタイトル:息子と映画を考える
  • 記事タイトル:北野武「アキレスと亀」初日
  • 記事概要:新宿では10:50から監督挨拶があった初日。そちらは満員だったでしょう。 私と息
  • 15 ブログタイトル:佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン
  • 記事タイトル:アキレスと亀+大久保清
  • 記事概要:公式サイト。北野武監督。ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、筒井真理子、吉岡澪皇、徳永えり、大森南朋。この、車に乗ったベレー帽のビートたけしって、連続殺人犯大久保清そのまんまじゃないか。彼はテレビドラマ「昭和四十六年 大
  • 16 ブログタイトル:映画のメモ帳+α
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:アキレスと亀(2008 日本) 英語題  Achilles and the Tortoise   監督   北野 武 脚本   北野 武          撮影   柳島克己                      音楽   梶浦由記 挿入画  北野 武                
  • 17 ブログタイトル:Cartouche
  • 記事タイトル:*アキレスと亀*
  • 記事概要:{{{   ***STORY***               2008年  日本 裕福な家庭に生まれ育った真知寿は絵を描くのが大好きで、将来画家になる夢を持っていた。しかし両親が突然自殺し、一人ぼっちに。青年に成長した真知寿は、バイトで貯めたお金で美術学校に通
  • 18 ブログタイトル:ダイターンクラッシュ!!
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:10月2日(木) 21:20~ 銀座テアトルシネマ 料金:0円(テアトル会員Club-Cポイント利用) プログラム:700円(買っていない) 『アキレスと亀』公式サイト 売れない画家の話。 「監督・ばんざい!」の劇中映画にそんなのあったな。それの拡大版かと思ったが、あっちは
  • 19 ブログタイトル:廣瀬研一映画感想文
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:売れない画家、それを支える妻・・・ 主人公の画家はお坊ちゃんだった。しかし、父が破産し家庭が崩壊し両親が自殺。青年になると自活しながら画家になることをあきらずに働いている。印刷工場の同僚と結婚するが、妻と娘に働かせ、絵具代を無心する。 まったく評価されな
  • 20 ブログタイトル:ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!
  • 記事タイトル:【2008-220】アキレスと亀
  • 記事概要:人気ブログランキングの順位は? スキ、だけど。 スキ、だから。 夢を追いかける夫婦の物語。 ふたりだから、できることがある。
  • 21 ブログタイトル:もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)
  • 記事タイトル:アキレスと亀 ブラックユーモアも吹き飛ぶ厳しさの果てにあるものは
  • 記事概要:タイトル:アキレスと亀、製作:オフィス北野 ジャンル:芸術家の転落物語/2008年/119分 映画館:TOHOシネマズ二条(68席)16:30?、     かなり入ってましたがプレミアスクリーンでの1日1回上映。 鑑賞日時:2008年10月4日(土) 私の満足度:75%  オススメ度:65%
  • 22 ブログタイトル:別館ヒガシ日記
  • 記事タイトル:アキレスと亀&UAE
  • 記事概要:アキレスとは劇場で先月18日に鑑賞したが 結論は美術は嫌いだが言いたい事は分るね 内容は絵を描くのが大好きな主人公の真知寿の 人生を絵を描きながら進む夫婦の展開だね 俺は昔から美術は大嫌いで全くヤル気が無いが 絵を見るのは好きと言う変わった性格だった
  • 23 ブログタイトル:読書・映画・ドラマetc覚書(アメブロ版)
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要: 芸術家と暮らすってどういうことなのか…ちょっと考えてしまう映画だった。 以下ネタばれあり!  真知寿(吉岡澪皇)は大金持ちのお坊ちゃまだった。好きな絵をほめられ、画家からベレー帽をもらう。そのときから、将来は画家になるのだと思う。学校で
  • 24 ブログタイトル:しんいちろう茶屋BLOG
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:ぼくは武さんの映画は好きなので、楽しみに見に行きました。でも、これはいまいち乗れなかったなぁ。 良くない時のキタノ映画には、底の浅いウケ狙いのようなものが顔を出すことがあり、ガッカリしてしまうことがあります。 たとえば、主人公の夫婦が警察につかまって、警.
  • 25 ブログタイトル:映画、言いたい放題!
  • 記事タイトル:アキレスと亀
  • 記事概要:北野監督の作品はあまり好きではないのですが、 私が参考にする映画の批評サイトで関心を持ったのと、 まー、観ないと何も言えないので とりあえず見ておくかという感じです。f(^^;) 絵を描くのが大好きな少年・真知寿(まちす)は、 自宅を訪れた画家に絵を
  • 26 ブログタイトル:虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ
  • 記事タイトル:『アキレスと亀』'08・日
  • 記事概要:あらすじ絵を描くのが大好きな少年・真知寿(吉岡澪皇)は自宅を訪れた画家に自分が描いた絵を褒められて赤いベレー帽をもらう。真知寿は、その日から画家になることを夢見て毎日のように絵を描くようになる。そんなある日、父親(中尾彬)の会社が突然倒産して両親が立て...
  • 27 ブログタイトル:プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
  • 記事タイトル:映画評「アキレスと亀」
  • 記事概要:☆☆☆★(7点/10点満点中) 2008年日本映画 監督・北野武 ネタバレあり
powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト