日本政府が黄長●(ファン・ジャンヨプ)氏を招聘(しょうへい)したのは、凍結状態にある日本人拉致問題への前向きな取り組みをアピールする狙いがある。一方の黄長●氏は、金総書記の健康不安や経済混乱で不安定化の兆しがみえる北朝鮮情勢について、元側近としての知見を日本政府に直接伝えたいとの希望があるようだ。(久保田るり子)

 政府は中井洽(ひろし)拉致担当相が昨秋、訪朝し黄氏の訪日について韓国政府に要請した。「横田めぐみさんに会った」と述べている金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員についても5月招請で調整中だ。

 鳩山政権は日本人拉致事件について、鳩山首相を本部長に平野博文官房長官、岡田克也外相、中井拉致担当相で構成する拉致対策本部を組み、予算・人員も拡充してきた。しかし、成果はあがっていない。日朝協議が核問題の6カ国協議の枠組み内の位置づけであることも要因だが、政府としては「拉致に弱腰」との世論を回避するためにも、北朝鮮が「背信者(裏切りもの)」と名指しする大物亡命者を来日させたかった。

 黄氏は過去、訪韓した野党時代の鳩山首相ら民主党幹部に面会しており、新証言が出る可能性は高くないが、「国民の生命を守るため政府は解決に全力を尽くす」(中井氏)との姿勢を強調するには役に立つ。

 黄氏は西側亡命者としては北朝鮮で最高位で、現在、韓国で2万人を超えた脱北者らの長老的な存在。「金正日(キム・ジョンイル)独裁体制を打倒」を掲げる「北朝鮮民主化委員会」の委員長を務め、メディアで北朝鮮情勢の分析や講演をしている。

 韓国の金泳三(キム・ヨンサム)政権(当時)と水面下の接触を通じ亡命を果たしたが、親北・革新の金大中(キム・デジュン)政権では「警護」を名目に厳しい監視下に置かれた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権でも韓国国内は親北ムードで、親北過激派から「反逆者」と脅迫もあり、亡命以来の常に数人の警護に付く生活は現在も続いている。

 金正日総書記を10代から知っており、北朝鮮の統治理論である「主体思想」を体系化した学者で金日成総合大学総長のほか、朝鮮労働党書記、最高人民会議常任委員長など半世紀にわたり権力の中枢にいた。

 97年、日本での会議出席を機会に亡命を決意して来日したが、情報が漏れ、宿泊ホテルなどで朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の目が厳しく断念。中継地の北京で失敗の折の自殺用毒薬を懐に韓国大使館に駆け込んだ。以来13年目の来日となった。

●=火へんに華

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