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そして、ひと粒のひかり

テーマ:movie
2005-08-30 23:52:43
そして、ひと粒のひかり コロンビアの田舎町で夢も希望もない生活を送る17歳のマリア。 ある日、彼女に妊娠という事実が発覚するが、家族や彼氏との衝突が絶えず、ついにマリアは街へ出る決意をする。 そんな時、友人から “ミュール (運び屋)” の仕事を紹介され、最初は躊躇するが、莫大な報酬に彼女はこの仕事を引き受けることにする……。

62粒のドラッグと1粒の命を抱え、自らの新しい人生を切り開こうとするひとりの女性を描いたドラマ。 すばらしいのは、マリアを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノ。 やり場のない憤り、抱える不安、そして自らを信じるという確固たる信念。それらの複雑な感情を見る側に伝える表現力は、デビュー作とは思えない。 オスカーにノミネートされたのも納得の演技である。 

監督はアメリカ人であるジョシュア・マーストン。 これまでに多くのショートフィルムを手がけ評価を得た後、本作でついに長編デビューを果たした新鋭監督で、移民の多い地域で育った自身の経験と、あるコロンビア移民の女性の話からインスピレーションをえて、この作品の脚本を書き上げたという。 その女性の仕事というのが、コロンビアで社会問題となっている、“ミュール” (ドラッグを飲み込んで密輸する運び屋) であった。 

いつ破裂するかわからないドラッグの粒を体内に抱えたマリアの表情や、密輸先のニューヨークに着いた直後から降りかかる数々の困難など、シビアなシーンをドキュメンタリータッチで描き、観る者を釘付けにしていく。 はっきり言って、彼女のとる行動は犯罪であり、愚かなものだと思えてしまうが、それは、私が日本という国で生まれ育ち、穏やかな生活を送っているからに他ならない。 この映画を見て、つい忘れてしまいがちな地球の裏側の現状を、目の前に叩きつけられた。

しかし、この作品に救いがない訳ではない。 それは、ラストでのマリアのまっすぐな視線で感じることができるはずである。
 
公開は10月、渋谷シネ・アミューズ他にて 
『そして、ひと粒のひかり』公式HP

L'amant ラマン

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2005-08-04 23:48:58
らまん 17歳の誕生日、チカコは自分よりかなり年上の男3人と1年間の愛人契約を結んだ。彼らはチカコのことを 「華子」 と呼び、チカコは彼らのことをただ 「A」 「B」 「C」 と呼んだ。 常に優しくチカコを抱くA、寡黙でミステリアスな雰囲気をもつB、乱暴にチカコを扱うC。 その情事は古びた洋館の中で繰り返され……。

カリスマ的な人気を誇る女性漫画家・やまだないとの同名コミックを、『ヴァイブレータ』 の廣木隆一監督が繊細なタッチで描いたドラマ。 なんといっても3人の男を演じる田口トモロヲ、大杉漣、村上淳がいい味出してました。 手に入らないものをいい年になってもいつまでも求め続ける無垢さと、漂うエロティシズム、たまに見え隠れする弱々しい部分がたまりません。 そして特にエロいのはトモロヲ! 太ももを弄られながら、「早くキミにイクことを教えてあげたいよ……」 なんて言われた日にゃ、「もうどうにでもしてぇ~」 ですよ! 

ただ、チカコ役の安藤希がどうも…。 エロいシーンも頑張って演じてるあたりは評価できるんだけど、やまだないと作品に登場する女の子とはイメージが違いすぎるんだなぁ。 あと、映画全体としては、少女の成長を描いたドラマなのに、彼女の微妙な心の動きよりも中年男たちのロマンの方が色濃く出ているのが残念……いや、それは嬉しいかも。 

ヴェニスの商人

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2005-07-26 22:04:08
ヴェニスの商人 ヴェニスの裕福な商人アントーニオは、親友バッサーニオからお金を貸してほしいと頼まれるが、彼は全財産を船に乗せて航海に出してしまっていた。 仕方なくアントーニオは、ユダヤ人の金貸しシャイロックをバッサーニオに紹介し、その保証人になり契約を結ぶ。 しかし、その内容は「3ヶ月後に返済できぬときは、保証人のその身から肉1ポンドを切らせる」 というものだった。 そしてアントーニオの船が難破したとの報が入る……。 なんて説明は必要ないですかね。 日本でも一番公演回数の多い、シェークスピア喜劇の映画化です。

とにかく私の心を惹き付けたのは、シャイロックをアル・パチーノが、アントーニオをジェレミー・アイアンズが演じるということ! (因みに、バッサーニオはジョセフ・ファインズなんだけど、それはどうでもよし) 特にパチーノは、マイケル・コルレオーネ時代から好きで好きで。 そんな彼がシャイロックを演じるとなると、放っておけなくて、なぜか猛ダッシュしちゃったよ (映画は決して逃げませんって)。

監督は、『イル・ポスティーノ』 のマイケル・ラドフォード。 シェイクスピア劇なだけあって、セリフは劇調でかなり長め。 でも、出来るだけ映画ベースに近づけてあるので、かなり原作に忠実ながらも割と見やすいと思います。 ただ、こういう劇は、やっぱり舞台で見たほうがおもしろいんじゃないの? パチーノとジェレミーはやっぱり渋かったけど。

公開は秋、テアトルタイムズスクエアにて

サマータイムマシン・ブルース

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2005-07-22 01:32:17
さまーたいむましん・ぶるーす ある大学のSF研究会の男5人と、写真部の女2人。 SF研究なんか真面目にやるわけもなく、ただはしゃぎまわって夏を過ごしていたが、ある日、部室のクーラーのリモコンが故障してしまった。 しかし翌日、突如、部室にタイムマシンが! うだる暑さに耐え切れず、壊れていないリモコンを前日まで取りにいくが……。

『踊る大捜査線』 シリーズでお馴染みの、本広克行監督作。 だから、それなりに楽しめる映画なんだろうなぁと思って見に行ったら、これが期待以上のモノでした。 まじでおもしろい! 「老若男女、誰でも楽しめるか」 と言われれば、ノリ的に若い世代向けなんだろうけど、いやぁ、単純に楽しめましたよ。 タイムマシンで過去と未来を行き来する話で、こういうのってタイムパラドックスっていうの? あらゆる疑問点が生じてくるはずなんだけど、そこを小難しい内容にすることなく、簡潔にうまくまとめてくれていて、「うまい!」 って感じ。 それに、笑いどころも散りばめられてて、とりあえず文句なし! な仕上がり。

頭を使わずに、純粋に楽しみたいときにはオススメ。 超オススメ (まで言ってみる)。 逆に、深い作品を堪能したい気分の時には、避けてほしい映画ですが。

公開は夏、渋谷アミューズCQNほかにて
 『サマータイムマシン・ブルース』公式HP

メゾン・ド・ヒミコ

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2005-07-12 01:30:19
めぞん・ど・ひみこゲイの父親を嫌ってその存在をも無視して生きてきた沙織のもとに、ある日、春彦という男が訪ねてくる。 そして、沙織の父親が癌で先が長くないため、父が営むゲイのための老人ホーム “メゾン・ド・ヒミコ” を手伝わないかと話を持ちかけてきた。 最初は断っていた沙織だが、破格の日給と遺産相続の話を持ち出され、ホームの手伝いに行くことを決意する……。

『ジョゼと虎と魚たち』 の監督・犬童一心と、脚本・渡辺あやのコンビによる人間ドラマ。 なんて言いつつ、私、『ジョゼ虎』 は見てないんですけどね。 ただ、本当にいい映画だということは、嫌っていうほど聞かされてたから、すっごく期待して見に行ってきました。 それが悪かったのかなぁ。 父親との絆を取り戻していったり、偏見を持っていた人々との触れ合いを通して成長していく沙織の姿を温かく見つめるその描写に、こっちの心も自然と解きほぐされていくのは確か。 ただ、時おり入るコミカルなシーンのお陰で興醒めに。 どれだけ映画に入り込んでいても、急にみんなで踊りだされちゃ、そりゃあドン引きするってもんよ。 その他は満足できる作りなのになぁ。

主演は、沙織役に柴崎コウ、春彦役にオダギリジョー。 そして沙織の父親・卑弥呼役に 『だそがれ清兵衛』 の田中泯。 あ、オダギリジョーは良かったです。決して全面的に好きにはなれないキャラなんだけど、溢れんばかりの色気を感じました。 何をやらせてもある程度モノにしてしまう。 器用な人だね、ほんと。

公開は9月、シネマライズ他にて 『メゾン・ド・ヒミコ』公式HP

NOTHING [ナッシング]

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2005-07-08 00:13:38
ナッシング 高速道路に挟まれた家に住むデイブとアンドリューは、9歳からの幼馴染。 世間にうまく馴染めない2人は、デイブが外で働き、アンドリューが家の中のことをすることで、互いの欠点を補いながら楽しく暮らしていた。 しかしある日、2人に次々と不幸が襲いかかる。 そして、世の中全てに嫌気がさしたデイブとアンドリューが 「放っといてくれ!」 と叫んだ瞬間、彼らは信じられない光景を目にする……。

待ってました! 立方体に閉じ込められ極限状態におかれた人々が、死への恐怖から本性をむき出しにしていく物語 『CUBE』、記憶の迷路に迷い込み、混乱していく産業スパイの姿を描いた 『カンパニー・マン』 のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作。 両作品のイメージから難解なサスペンスを想像してたんだけど、この映画はコメディテイストでお気楽な感じ。 自分の嫌なものや悩みなど “何もない世界(NOTHING)” を描き出してて、とっても奇想天外な物語です。

ただ、ある意味期待はずれ……。 いや、おもしろかったんですけどね。 “何もない世界” を映像化するって、そりゃあ並外れた創造力が必要だろうから誰にでもできるわけじゃないし、そういう意味ではすごいことなんだけど、ナタリじゃなくてもいいだろうよ! な感じ。 そういうのはスパイク・ジョーンズあたりに任せておけば、期待以上のモノができるってもんで。 オチも読めてしまうしさ。 だから、これまでの 「ナタリ色」 を味わいたい人は、少し物足りなさを感じるかもね。

公開は秋、シネセゾン渋谷にて公開 『NOTHING [ナッシング]』公式HP

陽のあたる場所から

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2005-07-06 01:26:40

陽のあたる場所から エロくないエロディ・ブシェーズを久々に観たよ! (あ、洒落ではないよ……恥)


精神科の研修医として働く女性コーラは、何も喋らず、名前も身元もわからない女性患者の担当になった。 彼女は、頑なに心を閉ざずその女性を何とか救いたいと願い、患者につきっきりで賢明に話しかけ続ける。 やがてその甲斐もあって、2人は次第に心を通わせていくが……。


若い女医の葛藤と成長を描いた人間ドラマということだし、タイトルがこんなだから温かいまなざしの作品かと思ってたんだけど、目線はかなりシビア。 それがアイスランドの荒れた気候と相まって悲壮感いっぱい。 さらにそれを、波や風の音、工場の騒音などで煽る煽る。 どんどん暗い気持ちになっていきます。


でも、特筆すべきは、患者役のディッダ・ヨンスドッティルの演技。 映画初出演とは思えないほど真に迫ってます。 それに、監督がドキュメンタリー畑の人らしく、ディッダの演技が “演技” には見えなくなってきて、まるで記録映画でも見てる気分になるほど。 ただ、ラストはもう少し明確な答えを提示してほしかったというのが本音かなぁ。 最後のブシェーズの微笑みは心に沁みたけどね。

スクラップ・ヘブン

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2005-06-24 23:57:08
すくらっぷ・へぶん “正義の味方” を夢見て警察官になったのに、事務職の単調な毎日にうんざりしていたシンゴは、ある日、バスジャックに遭遇する。 その3ヵ月後、シンゴは事件のバスに乗り合わせていたテツと再開。 思わず日ごろの鬱憤をぶちまけてしまったシンゴに、テツはある提案をする。 それは、復讐の代行業だった。 医療ミスを隠蔽する医者へ、子どもを虐待する母親へ――次々と舞い込む復讐依頼。 自由奔放なテツに引きずられ、ふたりのゲームはどんどんエスカレートしていく……。

卒業制作作品の 『青 ~chong~』 が、「ぴあフィルムフェスティバル」 でグランプリを含む4部門を独占し、最近では、村上龍原作・宮藤官九郎脚本の 『69 sixty nine』 を手がけた李相日監督の最新作。 キャスティングも豪華で、警察官のシンゴ役には、『ロックンロールミシン』 や 『アカルイミライ』 などに出演し、着実に評価を高めている加瀬亮。 テツ役には、もう何も言いますまい、オダギリジョー。 あと、このふたりに絡んでくる女性を栗山千明が演じてます。

前半、復讐請負い業をこなしていく件あたりまでは、テンポもよくっておもしろかったです。 刺激のある生活を得たシンゴの変化も良かったし。 ……そう、「前半」 までは。 後半に入ると、そのテンポはスローダウン。 いっきにどんよりした雰囲気に包まれだします。 でも、「いい意味で」 じゃないんだなぁ。 最初は気持ちいいほどの疾走感、しかし、それが暴走していくにつれて漂いだす不穏な空気――みたいな、暗いながらも 「いい」 流れってあると思うんだけど、そうじゃないんですな、これが。 前半の疾走感をうまく活かしきれてないというか。 もちろん、こういう歯がゆいエンディングが好きな方は少なくないと思いますけど。 

しかし、なんだか最近、わかりやすい物語の方が見ていて楽チンでいいなぁと思うようになってきたんだけど、これって、年のせいかしら。

公開は9月、シネ・アミューズほかにて 『スクラップ・ヘブン』公式HP

0:34 レイ_ジ_34_フン

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2005-06-19 22:28:47
0:34 最近、地下鉄のホームの端から
線路を覗いてしまいます。

パーティから別のパーティに移動しようとしたケイトは、タクシーをつかまえることができず、仕方なく地下鉄を利用することにする。 しかし、ほろ酔い気分の彼女はベンチで眠ってしまい、気がついた時には、すでに終電は出てしまった後だった。 駅から出ようとするが、構内に人影はなく、シャッターも閉められている。 朝までここで過ごすしかないのか、と思ったとき、ホームに電車がやってくる……。

いやいや、なかなか怖かったっす! 怖いというか、ビックリ! って感じか。 唐突にやってくる “得体のしれない何か” に、音響が重なって、飛び上がりまくりだったよ。 でも、その “得体のしれない何か” の正体がわかってからは、ある意味コメディ。 それがかわいく思えてきちゃったり。 ハリウッド・ホラー (この映画の製作国はイギリスだけど) 特有の、「あー! そんなところに逃げるから…」 や 「おいおい! トドメ刺せってば!」 など、突っ込みどころ盛りだくさんのホラーでございました。 しかし……実は最近、地下鉄が怖いんだな……。

公開は7月、アミューズCQNほかにて 『0:34 レイ_ジ_34_フン』公式HP

サヨナラCOLOR

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2005-06-18 23:07:03
さよならCOLOR 海が見える病院に勤める医師・正平の元に、高校時代の初恋の人・未知子が子宮がんで入院してくる。 正平は彼女に自分のことを覚えているか尋ねてみたが、どうやら忘れられているらしく、正平は献身的に治療をすると同時に、何かと自分を思い出してもらおうと試みる。 始めはしつこくされて迷惑気味の未知子だったが、いつしかそんな彼に心を開いていき……。

『無能の人』 で監督デビューを飾ってから、多方面で活躍を続ける俳優・竹中直人の最新作。 前作の 『連弾』 以来、4年ぶりっす。 『乾いた花』 や 『復讐するは我にあり』、近年では 『ひとりね』 などの馬場当のオリジナル脚本を読み、SUPER BUTTER DOG の名スローバラード 「サヨナラCOLOR」 を想起した竹中直人が、自身のアイデアも織り込みながら馬場と共同で脚本を執筆して作り上げられたラブストーリー。 俳優としての竹中直人のアクの強さは抑え気味。 でも、しっかり笑いドコロは盛り込まれてて、その笑いが切ないエンディングをより一層引き立てている感じです。 こういう竹中直人って好きよ、私。 

公開は8月中旬より、ユーロスペースほかにて 『サヨナラCOLOR』公式HP

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