隠れた名曲☆スマッシュヒット-タモリ

昨夜は深夜に雨がパラつき憂いていたのですが
本日は晴れやかな万聖節(ハロウィーン)。
巷の子供たちは、お菓子を貰いに仮装に走り
今夜の夕食は煮込んだカボチャとカボチャスープ?
そんな本日、136回目に贈る隠れた名曲は
タモリが唄った「ミスターシンセサイザー」。

1980年10月から11月にかけてNHK「みんなのうた」で
唄われたユーモラスなテクノポップソング。

番組が愛されて50年を誇る「みんなのうた」。
バラエティ豊かな楽曲やアニメーションや映像が
その人気の理由のひとつなのだが
やっぱり多彩なシンガーの起用も人気のひとつ。

有名無名を問わずに起用されるシンガーには
今回紹介するタモリの様なコメディアンや
え?あの人が的な意外な人物の起用も多い。
圧倒的な歌唱力を誇るシンガーの起用も良いが
意外と味わい深いのが、この本業がシンガーでは無い
タモリのような人たちの起用だったりする。

声優の山田康雄やコメエディアンの谷啓、
藤村俊二らの飄々とした歌声は印象深いものがある。

タモリがこの楽曲を発表した当時は
「笑っていいとも」出演前。もう31年前である!。

たけし、さんま、タモリと人気コメディアン達は
レコードを出してしまっていたりするが
サックスを吹きもする音楽の素養のあるタモリが
3人の中では一番、歌は上手い。
普通に音符通りに唄える人である(さんまは…)。

この「ミスターシンセサイザー」が発表された頃
時は空前のテクノブームで欧米に遅れながらも
日本もピコピコとテクノ歌謡が流行り出した頃。
「みんなのうた」にこの楽曲が登場したのも時代の色である。

作詞、作曲は田中正史。彼は「みんなのうた」にて
10曲程関わっていたりするのだが、他の楽曲の
顔ぶれを見ても、この楽曲だけ異色の出色。
アレンジも田中氏自身が行っている。
アニメーションは、これまた印象的な福島治。
彼も「みなのうた」には縁の深いアニメーターで
アーティスティックなイラストレーションの方である。
十数曲程関わっているが初期のサイケデリックな色彩が
他のアニメータ達より尖っている印象が在る。
代表作は不可思議な「アスタルエゴ」と本曲だろう。

前述した様にタモリは歌が普通に上手い。
シンガーには話している時と唄っている時の声が
異なるタイプと同じタイプが居るが
タモリはトークの声で歌を歌える器用な人。

さらに彼はミュージカルを嫌う割には
舞台役者やミュージカルシンガーの様に
唄声に感情表現を上手に乗せられる才のある人。
熊倉一雄ばりに聴いた子供達が喜ぶように
田中氏の綴るミステリアスなストーリー性ある歌詞を
わかりやすくユーモラスに声に表情を付け唄って魅せる。

タモリが唄うのが先に決まっていたのか
歌詞に彼の得意としたネタのイグアナなどの言葉が居並ぶ。
表情豊かに唄っているものの決してふざけてはおらず
丁寧な唄い方に好印象を持ってしまうが
さすがエンターティナーのタモリは自己主張を忘れず
しっかり歌唱中に犬の鳴きまねを盛り込んだりしており
結果的にカラフルでユニークな仕上がりとなっている。

聴きどころのポイントはどこも魅力を放つが
やはり低いタモリの声と高音の合唱団の掛け合いが
独特の個性を放つ終盤のサビのコーラスか。
タモリが♪Who are you?♪と英語で唄い
合唱団が♪ミスター シンセサイザー♪と高音で上がり
再度タモリが♪and What are you ?♪と唄い
合唱団が♪ミスター シンセサイザー♪と語尾が下がり
最後は一緒に♪ふしぎなミスター シンセサイザー♪と
共演するパートには感銘すら憶えてしまう。

そして印象的なのが2番まで唄い終えた後の
本曲に置けるエンディング・パート。
タモリと合唱団が1番と同じように
♪ゆかいなミスター シンセサイ…♪と
唄い終わる前に声は伴奏のシンセサイザー音と共に
グニャ~と掻き消えてしまうと言う斬新さ。
アニメーションでは子供達がコンセントを抜き
ミスターシンセサイザー(宇宙人?)が
音と共に、やはり、ぐんにゃり潰れてしまう。

まさに「みんなのうた」ならではの、歌と音楽と
アニメーションが合致した素晴らしい楽曲のひとつ。
タモリには機会があればミュージックステーションで
小室哲哉か浅倉大介あたりをバックに唄って欲しい。