VRオーディオと体験の引き出し | ハリウッド映画音楽業界の歩き方

VRオーディオと体験の引き出し

先日、LAで開催されたAESは非常に収穫が多かった。今回はカンファレンスとコンベンションが同時開催だったので、今回はVRカンファレンスのセッションにのみ参加。2日間朝から夕方まで、VRオーディオ三昧で本当に色んなことを勉強できたので、早速、色々と研究中です。

 

コンベンションはエキスポをチラ見するぐらいしか時間がなかったけど、やはりVR系が多かった。一番興味深かったのはSennheiser/Neumannのブース。「録る、ミックス、リスニング」と、プロからエンドユーザーまでを繋げるビジョンを掲げ、録りはSennheiserのAMBEO VR MIC、リスニングは9.1サラウンドを提案していた。

 

9.1サラウンドのリスニングデモは、Neumannスタジオモニターで5.1+天井4つで9.1サラウンドを組んで、AMBEOで収録したオケの演奏や9.1用にミックスされたポップ系の楽曲を流してくれた。5.1とは違う圧倒的な臨場感は素晴らしく、とても夢がある。Senneheiserはステレオを9.1にアップミックスするDSPも開発中で、スターウォーズのステレオ>9.1のデモも面白かったなぁ。

 

VRオーディオの世界は、まだまだ黎明期で、スタンダードが生まれるのにはもう少し時間がかかるだろう。ヘッドフォンとプラグインだけで、世界を作れるというのは本当にワクワクする。それと同時に、何を作れるかは、最終的に自分の想像力と体験の引き出し次第だと思うのです。実際、アンビソニックマイクで色々録ってわかったことは、アンビエントでしかないので、今まで以上にミキサーやサウンドデザイナーのクリエイティブビジョンやセンスが重要になってくる。そして何よりも体験の引き出しが重要なんだろうなぁ。9.1サラウンドをバイノーラルで表現するにも、9.1サラウンドを聴いたことがないと再現できないし、山頂からの朝日の音を作るのも体験しなきゃいけない。そしてオーディエンスの心を動かすには、その風景の感動のポイントを演出しなきゃならないので、演出力も重要になってくる。『サントリー サタデー・ウエイティング・バー AVANTI』みたいに。

 

そんなことを思いながら、最近、目を閉じて、音から情報を汲み取ったり、無になって聴く時間を取るようにしている。生き物は本当に様々ん情報を音から得ているんだね。