今回は声帯の閉鎖と開大について説明していきます。
声帯の状態は甲状軟骨と披裂軟骨と輪状軟骨の3つの軟骨の位置関係で調整されます。
伸展は甲状軟骨と輪状軟骨の位置関係
閉鎖・開大は披裂軟骨の動きによって決まります。
披裂軟骨の動きは主に3つあります。
・閉鎖方向の回転である内転
・開大方向の回転である外転
・披裂軟骨間の距離が変わるスライド
(Rauber-Kopsch解剖学より引用)
この図で左から外転・内転・スライドを表しています。
直接的には
外転は後筋(後輪状披裂筋)
内転は側筋(外側輪状披裂筋)
スライドは横筋(斜・横披裂筋)
によってなされます。
(Frank H.Netter (著), 相磯 貞和 (訳), 「ネッター解剖学アトラス」より引用)
さて、閉鎖と開大の仕組み自体は筋収縮によって披裂軟骨が回転することなのですが、問題はこれらの筋肉の収縮を感じることは生理的にできないことにあります。
内喉頭筋には筋紡錘という筋肉の収縮を感知する器官がないため収縮感覚はないのです。
そのため、声帯表面の接触感覚か音声によって閉鎖の具合を予想するほかありません。
閉鎖が分かる声帯の感覚の例としては
・完全に閉鎖していれば喉で息が止まる
・閉鎖が強くなると喉で息が遮られる感覚が強くなる
・声帯がビリビリ振動するような感覚が得られる
があります。
閉鎖された時の音声としては
・息漏れがない
・声量が増す
・地声感が増す
・固い声になる(強すぎる閉鎖)
などでしょうか。
曖昧な内容になりますが、実際のところ閉鎖についてははっきり分かりようがないと考えています。
多数の閉鎖の仕方がありその筋収縮感覚もないのに「これが閉鎖した声です」と言い切ってしまうのは危険だと思います。
とはいえ、これでは実践的な価値がないので一つだけこれは信用できると思う訓練法をこちらで紹介しておきます。
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追記20151006
声帯閉鎖の状態をどう知覚するかについて書いた記事はこちら